第5話 「イグニス、、こいつ焼き殺せ」
日が落ち始めた夕暮れ時、俺とヘルメスは馬車を止めてキャンプの準備を進めていた。
「ヘルメス、今日の飯は?」
「今日はサバ缶です。アンジーに行ったら取り寄せてくれました。」
え、そんなことできるんだ。
「銃とか取り寄せれないのか?」
「さばかんはてんかいでつくられ
「この辺りで地震なんてあり得ません。」
じゃあなんだよ、と言いかけて俺は気がついた。声の主はヘルメスじゃない。ヘルメスの声じゃない。
振り向いた。
「いい夜ですね、」
聞くだけで震えてしまう男の声、剥き出しにされた殺意は俺の体を凍らせた。
「安心してください。何もあなた方を殺すために来たわけじゃない。ただ——」
「う゛ぅ!」
「ヘルメス!」
ヘルメスが腹を抑えて倒れた。
「この方のように反抗するなら殺すまで。」
ヘルメスが血反吐を吐いた。抑えている腹からは血が溢れ出ていた。
「残念ながら、その方はもう助かりません。すぐに死ぬでしょう。あなたもそうなりたいですか?」
怒りが込み上げる。躊躇なくヘルメスを殺しにかかったからだ。
それと同時に恐怖が込み上げる。あのヘルメスが死にかけているからだ。
ヘルメスが一瞬でこんなにされたのに俺に敵うはずはない。
「イグニス!」
俺の呼びかけにイグニスがあらわれ、辺りを自分の炎で明るくした。
そこでわかったが男はローブを着ていて杖を持ってからいかにも魔術師だ。顔はフードを深く被っているのでよく見えない。
「イグニス。こいつ、ぶっ殺せ」




