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・あらすじ:

 護衛対象である商隊を襲ってきた盗賊の統率が弱そうなところに目を付けて盗賊の首領を狙撃するが、アスカが思った以上の効果が出て、盗賊団が雪崩式に潰走してしまう。

私は軽弩(ライト・クロスボウ)を構えたまま、ちょっと思ったより効果があり過ぎてビックリしていた。


私のクロスボウは特注品で、肩に当てることが出来るストックの他にスコープが付いていたり、弓の部分が滑車式になっていたりと、現代のクロスボウに近い形状をしている。

その為、サイズの割に良く飛んで狙撃に適しているのだが、それにしても刺さり過ぎた。


指揮官っぽいのを狙撃して盗賊の動きを鈍らせようくらいの考えだったのに、どういうワケか あっという間に瓦解してしまった。

まさか ここまで脆いとは・・・。


「どうします、ヴェイル?」


びっくりし過ぎて我が愛馬に尋ねてみるが、グリムヴェイルはフンッとしか言わない。

・・・分かっている、考えるのは私の役割だ。


「そうですね・・・せっかくですし、追撃してみますか。」


私はクロスボウを馬具に固定すると、そのままグリムヴェイルに飛び乗った。


────────────────────


<数十分後>


おーおー、尾けてみたら案の定ありましたよ野営地が。

まぁあんだけ盗賊の数がいるなら野営地くらいあるのは当たり前ではありますが。


「さ~て、何がありますかね。」


そんなワケで私は、そこらへんで一人で ほっつき歩いていた盗賊の下っ端の装備を拝借して野営地に入り込んでいた。

冒険者用の装備?

そんなものは鎧櫃(よろいびつ)に仕舞ってグリムヴェイルに任せてありますよ。


こういうのは案外バレないもので、商隊襲撃から逃げ帰ってきた盗賊に挨拶をしても気付かれなかったりする。

堂々としてた方が逆にバレないんですよ。


「─── だから言っただろう! こんな話 無茶だったんだ!!」


「うるせぇ! そんな話は聞きたかねぇ!! 今は逃げるんだよ!」


「おい、アンタら いい加減に───」


む?

野営地をうろついていたら、何か口論をする声が聞こえてきたぞ?


見たら何か一番豪奢なテントで、一番立派な装備をしている連中が怒鳴り合ってた。

・・・こんな分かり易く黒幕がいることある?


しかも何人かは顔に見覚えがあるぞ?

もしかしてアイツら賞金首では?


絶好のチャンスと見た私は、偶々近くを通りかかった給仕役と思われる盗賊をテント脇に引き摺りこんでシめ、その装備を奪って成り済ました。

そして厨房のテントから酒の入ったジョッキを お盆ごと貰う。


勿論、酒には即死の猛毒を適量仕込んだ。

これで音もなく暗殺できる。


「どうも、酒で~す。」


「ん? あぁ、気が利くな。」


黒幕達のテントに酒を運ぶと、丁度切れたところだったのか一人が無造作にジョッキを手に取って、そのまま酒を流し込んだ。

・・・よし、これで一人。


「・・・見ない顔だね、アンタ新人かい?」


「え、はい。 実質、新人みたいなもんですよ。」


今さっき入り込んだばっかだし。

ていうか早く呑め。 そんで死ね。


「ほ~ん・・・。」


「そんなことは今はいいだろ。

それよりも今は これからどうするか ───」


───── ガシッ


黒幕の一人が、ジョッキを掴んで酒を流し込もうとしたところを、もう一人が制した。


「─── まちな。」


「・・・なんだよ。

まさか酒を呑むななんて硬ぇこと言わねぇよな。」


「あれを見ても呑みたいのかい?」


黒幕の一人が指をさした先では、さっき酒を流し込んでいた一人が顔を紫色にして泡を吹いて倒れていた。

・・・チッ、バレたか。


私は反射的に、腰に佩いていた愛剣を抜いた。

それは刃渡り30cmほどの大型の短剣で、こういった超至近距離の接近戦では重宝する。


そして、抜いた勢いで手近にいた黒幕の一人の喉を裂いた。


「─── っ。」


「─── まずは一人。」


振り返る。

斬りかかってくる もう一人。

愛剣で受け止める。

膝を蹴り飛ばす。

倒れる黒幕。

後ろから足音。

振り向きざまに肘打ち。

血反吐。

そのまま心臓を一突き。


「─── 二人。」


後ろで物音。

起きようとしていた黒幕の一人の顔面を蹴り飛ばす。

後頭部を強打。

そのまま動かなくなる。


「─── 三人・・・あれ?」


もう一人いたはずだが、気付けばいなくなっていた。

・・・まぁいいか。

少なくとも賞金首4人は大収穫だ。

これだけあれば 金貨何枚になるかな・・・?


───── ザクザクザクッ


そうして私が首を持ち帰ろうと、黒幕達の死体に愛剣の刃を立てているときだった。


───── バサッ


「・・・。」


「・・・。」


盗賊の団体様と目が合った。

どうやらテントの中にいた黒幕達に用があったらしい。

・・・もっとも、既に死んでいて私がバラしている最中ではあるが。


「・・・あなた達は何も見ませんでした、OK?」


「・・・OK。」


盗賊たちは武器を抜いた。

私は賞金首を置いて逃げ出した。


「─── なんでいっつもこうなるんですかぁ!!」


最低限の狙いを達成するところまではいいのだが、そこから欲をかき始めると失敗するのが私のジンクスだった。

分かってはいるのだが、どうにも止められない。


───── ヒュンッ ヒュンッ ヒュンッ・・・


飛んできた矢が足元の直ぐ近くに刺さる。

最初は小雨程度だったそれは、やがて土砂降りのように私の周りに降り注いだ。


帰りの足であるグリムヴェイルが隠れている茂みまで1kmといったところ。

その距離を、私は殺気立った盗賊連中に追われながら全力疾走で走り抜けた。


・・・多分、タイムを測ってたら世界レベル狙えたと思う。

・アスカの軽弩ライト・クロスボウ

 特注品のクロスボウ。

滑車式なので少ない力でボルトを装填することができ、またサイズに見合わない程の威力で射出することが出来る。

ただし故障を警戒したシンプルな造り故に装填が遅く、連射には向かない。

あくまで狙撃用装備の一つ。


・鎧櫃:

 鎧を収納する為の木箱。

冒険者用のものは小型で二つに分かれている為 携帯し易い。


・野営地:

 大人数が寝泊まりする際に必ず出来るもの。

沢山の大型テントが寄せ集まって、小さな街のようになる。

 勿論 商隊だって作るし、盗賊だって作る。


・テント:

 持ち運び式の家屋。

必要によって大きかったり小さかったりするが、おおよそ雨風を凌げれば まず問題はない。


・賞金首:

 権力者やギルドなんかから、その死に金銭を設定されている人。

首を提出しないと正誤がつかない為、仕留めたは良いが賞金が貰えないこともしばしば。


・即死の猛毒:

 アスカがいつも持ち歩いてる便利道具の一つ。

飲食物に適量混ぜると数秒で摂取した人間が死ぬ。

 音もなく殺せるので、暗殺には便利。


・金貨:

 日本円の感覚でいうと大体10万円くらいの硬貨。

ものによっては もっと高かったりするが、大体それくらい。

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