話の途中ですが、外から聖堂騎士団です。
「─── それはそうと、コイツの甲冑 剥ぎ取って良いですか?」
「・・・。」
愚痴が終わったと見ると、私は【鋼の戦車】の遺体を指差して【動く要塞】に尋ねた。
火葬するワケでも無いなら別に良いかとも思うが、一応 兄弟分だったらしいので聞いておくべきだと思った。
少し呆れたように溜息をついたルークだったが、少しして確かに頷いた。
「・・・別に、構わない。」
「そうですか。」
言質をとった私は、まずチャリオットの得物だった両手剣をルークに持たせると、そのまま おもむろにチャリオットの首を愛剣で刎ねた。
いとも簡単に切断された鎖帷子が、血に濡れて虚ろに揺れる。
「・・・なんだ、やっぱり簡単に切れるじゃないですか。
ホントに神銀製なんですか? この鎖帷子。」
「・・・。」
チャリオットの両手剣を抱えたルークが、何か言いたげな様子で こちらをジッと見ていた。
・・・何だか気まずい。
「・・・なんです?
やっぱりルークの兄弟分の剥ぎ取りは止めといた方が良かったですか?」
何度も言うようだがルークには世話になっている自覚があるので、賞金と引き換えの首と、材料の重晶鋼と神銀(愛剣で簡単に切断できるので、今となっては眉唾ではあるが)からして超高額である鎧一式を諦めるだけの配慮はするつもりがある。
「いや、違うが ───」
「─── 静かに!」
何か言おうとしていたルークを遮る形で、死者を慰める祈りを捧げていた【イカレ修道女】が突然、いつにも増して強い口調で警告を発した。
・・・。
少しの間、沈黙が聖剣の間を支配する。
「・・・この感じ、聖堂騎士団ですね。」 [1]
「聖堂騎士団!?」
どうやら何か聖なるパワーを感じ取ったらしいシスターが聖堂騎士団の名を口にする。
腐っても聖職者としての力と知識は本物であるシスターが言うなら、本当にそうなんだろう。
ちなみに聖堂騎士団とは、ざっくり言うと大聖堂の警備の中でも一番ヤバい奴らのことだ。
「・・・こちらに向かってきてます?」
「こちらに向かってきてます。」
・・・。
───── バッ
数拍置いて、私達は行動を開始した。
まず、ルークが例の隠し道である やけに広い通気口を遮っている鉄格子を持ち上げる。
そこにシスターが案内人である助祭を投げ込み、私が未練がましく戦利品の詰まった革の大袋を持って行こうとしている【歩く災害】を蹴り飛ばして入らせた。
追うようにしてシスターと私が隠し道の中へと入り、最後にルークが鉄格子を閉じながら隠し道の中へと滑り込む。
───── バンッッ
その直後、聖剣の間へと続く扉を蹴破る音が聞こえた。
鉄格子を挟んだ向こう側から、無数の鉄靴の音が響き始める。
(・・・間一髪でしたね。)
(うむ。)
(長居は無用です。
さっさと退散しましょう。)
(私の研究費・・・。)
一人だけ未だ金に目が眩んでいるルインの頭を、音を立てないように軽く叩いて正気に戻すと、私達は隠し道を通って大聖堂を脱出した。
[1] 聖堂騎士団:
教皇直属の騎士団で、構成員全てが修道士でありながら騎士でもあるという超エリート。
ゲーム的に言えば高レベルの僧侶でありながら、同時に高レベルの戦士でもあるというヤバい奴ら。




