かつて同じ旗の下に集いし者たち。
「─── それを、寄越せ。」
聖剣を布で包み終えると、不意に何処からか声が響いた。
聞き覚えのある声に顔を上げると、大岩の影に例の無敵の人 ─── 【鋼の戦車】が立っていた。
その背後から何人もの黒装束の魔族がゾロゾロ出てくる。
どうやら助祭の言っていた隠し道 ─── やけに大きい排気口から入ってきたようだ。
・・・あの図体で良く行けたな。
私は聖剣を【イカレ修道女】に預けると、チャリオットと縁の深い【動く要塞】を伴って大岩の上から飛び降りた。
「なんだ、こちらの言葉も話せたのですね。」
「・・・仕事上、覚える必要があった。」
ルークと同じような端的な平原人語をチャリオットは口にする。
兄弟っていうだけあって、流石に似てるな。
チャリオットは両手剣を逆手に持つと、胸の前に柄を持ってきて簡易な剣礼を見せた。
「先代には、世話になった。
お前を殺したくはない。
・・・無論、かつて兄弟だった者も。
だから大人しく聖剣を渡せ。」
どうやら本当に同じく【傷だらけの男】の下にいた人間らしい。
詮索しないようにしていたとはいえ、良くこんな分かり易い巨漢の魔族が視界に入らなかったな。
「・・・。」
ルークが気まずそうに私から視線を逸らした。
私としてはどうでも良いことだが、どうにもルークはスカーズの暗部を私に見せるのが嫌な様だ。
「そうですね、私も別に殺したいワケじゃありません。
だから消えてくれませんか?
仕事の邪魔されると、殺さざるを得ないんですよね。」
「それは、こちらも同じ。」
チャリオットは剣礼を解いて、両手剣の剣先を こちらに向けた。
「・・・。」
ルークが得物のボーディングアックスを構えようとするのを、私は手で制した。
代わりに、私が愛剣である大型短剣を構えた。
チャリオットも同じように背後の部下が短刀を構えるのを手で制した。
自然と一騎打ちの形になる。
「ねぇ、チャリオット。
一つ、約束をしませんか?」
「・・・なんだ?」
「私達の内、生き残った方は残党を見逃しましょうよ。」
「・・・分かった。」
互いの部下が後ろに控える中、私達は同時に一歩 踏み込んだ。




