それは決して明かされるべきではないこと。
「─── これは・・・。」
特級の聖遺物ということもあり、一応 腐っても専門家にあたる【イカレ修道女】に聖剣の回収を頼んだのだが、バラバラに砕け散った大岩から聖剣を拾い上げたシスターは眉間に皺を寄せて しげしげとそれを検分し始めた。
「どうかしましたか、シスター?」
ようやく《魔術の閃光》から立ち直った案内人の助祭に『聖剣の間』から脱出する為の隠し道の存在を聞き出していた私は、その詳細を聞くのを一旦止め、シスターに何かあったのか尋ねる。
「・・・偽物です。」
「・・・はい?」
「─── この聖剣は、偽物です。」
シスターは心底汚らわしいといった様子で問題の聖剣を、『破砕の種』から咲いた結晶の花の上に叩き付けた。
結晶の花弁が『聖剣の間』に舞い散る。
「なにが・・・なにが聖剣ですか・・・!
こんなガラス玉を嵌めんだだけの鉄屑が、最も偉大な聖遺物の名を僭称するなどと・・・!!」
憤慨するシスターの横で、【歩く災害】が叩き落とされた聖剣を手に取ってシスターと同じように検分し始める。
「・・・ふむ。
確かにシスターの言う通り、『偽物の聖剣』のようだ。
造りも良いし見た目も豪奢だが、何の力も感じない。
剣身はただの鋼だし、嵌め込まれている宝玉も只のガラス玉だね。」
興味を失ったらしいルインが偽物の聖剣を手放す。
偽物の聖剣は再び白い結晶花の花畑の上に捨て置かれた。
「どうする、アスカ?」
「・・・え、何か問題あります?」
ルインに判断を問われた私だが、その意図までは察することが出来ずに首を傾げる。
私は結晶花の上から偽物の聖剣を抱き上げた。
「私は別に『本物の聖剣』を盗み出せとは言われていません。
ただ、『聖都にある聖剣』を持ってこいと言われただけです。
・・・そうですよね?」
「えっ、はい、そうです。」
大聖堂の聖剣が偽物と診断されたことにショックを受けていたのか呆然としていた助祭が慌てて私の言葉を肯定する。
どうやら依頼主である『枢機卿』の関係者といえど、大聖堂の聖剣が偽物だというのは想像の範疇を超えていたようだ。
「それなら、これは私にとっては『聖剣』です。
偽物だろうと本物だろうと、それは大した問題じゃありませんよ。」
私は『聖剣』を用意してきた布で丁寧に包んだ。
その様子をシスターが不可解そうな、ルインは興味深そうな目で それぞれジッと見つめてきていた。




