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異端者達の茶会

笑い過ぎて酸欠になった【歩く災害(ルイン・ウォーカー)】を介抱しつつ、爆発によって半分 焼け焦げた席に就かせた。

イカレ修道女ルナティック・シスター】が同じように焼け焦げた机の上に、ローズティと茶菓子を並べてくれる。


「ヒィ・・・ヒィ・・・。

いや~・・・向こう三か月は思い出し笑いが持病になりそうだよ。

ここまで笑ったのは、幼い頃に神学が孕む哲学上の矛盾に気付いたとき以来かな。」


可笑(おか)しな子供もいたものですね。」


「え?

そうですか?

私は一周回って最近またジワジワ来てますけど・・・。

『哲学は神学のはしため(召使い)』・・・でしたっけ?」


「その通りだとも、君。

現行の神学が抱えるの矛盾というものは、哲学の道の先を(きわ)めれば究めるほど滑稽に見えてくるものだからね。」


「・・・。」


シスターが「何言ってんだコイツら」みたいな目でこっちを見てくるが、ちょっと待って欲しい。

哲学と宗教の関係は深く、人間の思い込みや当時の社会的価値観によって真実が変質するから面白いんだ。

それを分かるんだよ。


「いや・・・言ってることは理解できますが面白いとは・・・。」


なんでさ。


・・・そんな脱線をしながら、茶を啜り茶菓子を摘まむ。

私達が本題に戻ったのは およそ1時間ほど経ってからだった。


「─── さて、本題に戻るが・・・聖都に聖剣があるのなら、それは間違いなく大岩の頂にあると私は思う。

・・・聖書の記述のブレはともかく、シスターの記憶通りね。」


「・・・ふん。」


「まぁ、それは私も同感ですよ。

万年水不足の聖都に聖剣があるとすれば、間違いなく湖の底ではなく そっちでしょう。」


それについては異論は無かった。

私は私の聖書の記述が正しいと思ってはいるが、それはそれとして何か知らんが聖都に聖剣があるらしいなら、それはシスターの記憶通り大岩の上だろう。

私の聖書の方が正しい記述だとは思うが。


「それでだ。

もしそうであれば、選ばれし者にしか抜けないように定められているはずだが・・・如何するのかな?」


ルイン・ウォーカーが実験動物を眺めるような目で こちらを見てくる。

その期待と計算が入り混じったような視線は人によっては不快に感じるだろうが、私は それを特に何とも思わない性質(タチ)だ。


「えぇ、それについてなんですが・・・。

思ったんですけど『聖剣が刺さってる大岩』の方を()()すれば、それは『聖剣を抜いたこと』にはならなくないですか?」


「─── っ!?

ゲホッ・・・ゴホッ・・・!!」


「─── ブッ!

アハッ、アハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」


私の発言にシスターが茶を詰まらせて咳き込み始め、ルイン・ウォーカーが思わずといった様子で茶を吹き出し、再び爆笑し始めた。

・神学:

 神・宗教・信仰について、理解し、構造化し、批判的に考察するための学問。

 アスカの生まれた文明圏では一般教養であり、下層民ですら触り程度の知識はある。


・哲学:

 世界・人間・知識・価値の根本を理性で問い続ける人間の営み。

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