14話 凍った海が溶ける時
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天王星さんと移動した先には…。天王星さんが言う通り、
天王星辺りに海王星さんはいた。
海王星さんは天王星をじっ…と見つめている。なぜだろう。
天王星「とりあえず、何をすればいいんだろうか、
月くんが僕にやったように、記憶を思い出すような、
単語を言って海王星さんを傷つければいいのかい?」
地球「そうだね。」
天王星「好きな人を傷つけるのは嫌だけど……。
これも、海王星さんの記憶を知るために…。
海王星さんを救うために…。」
地球「よし、じゃあ行こう…。ちなみに言っておくけど、
海王星さんは天王星さんのこと、
少なくとも嫌いではないよ。」
天王星「そうなのかい?!少しずつ、
僕に堕ちてるってわけだね…ふふふふふ……」
地球「?堕ちるとかよく分かんないけど、行こうか。
警戒されないように、自分の後ろにいてね。
そしてサポートしてほしい。」
天王星「任せておくれ。」
自分は海王星さんに話しかけた。
地球「海王星さん、今、ちょっといいかな?」
海王星「何?…天王星までなんで連れてくんの…嫌がらせ?」
地球「海王星さんと天王星さんは
話し合う必要があると思ったんだ。
でも、ふたりで話し合うと上手くいかないから、
自分が中和役って訳だよ、嫌がらせに感じたら、ごめんね。」
海王星「…まぁ、いいわ。…暇だったし……。」
地球「2人っていつも、一緒にいることが多いよね、
なんで《一緒》にいるの?」
海王星「一緒にいたくているわけ、ないじゃない!
こいつが勝手についてくるから…!」
天王星「そ、そんなに俺の事《嫌い》なのかい…?
《ショック》だなぁ…。」
…あれ、天王星さんがいつも海王星さんにする態度じゃない。
いつもなら、「僕はこんなに好きなのに!!」
とか言いそうなのに…。…もしかして、演技?
もしかして、海王星さんの心理を理解していて……。
わざとそんな言動を……?
海王星「あ、いや、嫌いではない…でも、勘違いしないで。
あなたに気なんて一つもないし、鬱陶しいし……」
…海王星さんって、いわゆる、ツンデレってやつなんかな…。
そこで天王星さんが言った。
天王星「そっか…今まで、そう思っていたんだね、
しつこく、追いかけ回してごめんね。
《執着》されるの、嫌だったよね。
これからは極力《関わらない》ように…」
…天王星さんって、演技が上手いな……。
男優顔負けってぐらい……。そうしたら…。
海王星「やっ……いや…?!はっ、離れないで!!
見捨てないで!!」
空気が固まった。おや…?
海王星「え、あ、あたし…何、言ってんの…?
天王星の、ことなん、て、嫌い、鬱陶し、い…はずなのに…
あれ、なんか、涙が…どう、して…?」
海王星さんは涙を流しながら、喋り続ける。
海王星「お願いだからっ…はな、れないで……。
見捨て、ないで…怖い…行か、ないで……。」
自分と天王星さんはお互い顔を見つめ合う。
天王星さん、「成功したね」って顔をしている。
…なんか、天王星さん。嬉しそうだ。
天王星さんは海王星さんに近づき、
背中をさすってあげている。
天王星「辛い思いさせて、ごめんね、…落ち着いたら、
思い出したこと、俺たちに聞かせてほしいな。」
海王星「うぐ…あり、がとう……。」
あたしの名前は、黒華天。
あたしの人生は…幸せに言えるものでもなかった、と思う。
小、中、高校の頃は根暗で自発的に行動するのが苦手で、
いじめまではいかなかったけど、
陰口を叩かれることもあった。
でも、あたしが悪いし、相談したって…と思って
聞こないフリをした。例えば…休み時間寝たフリをするとか。
誰にも愛されたことがなかった人生だった。
あたしはとりあえず家から近い大学に受験して、
まぁ、ハードルは低かったから、合格は余裕だった。
趣味とか特にないし、勉強ばかりし続けてたから…。
大学生になって、あたしは変わらなきゃ!
と思うようになった。
…それは…。初めて、好きな人が出来たの。
同じサークルの優しそうな人に。
あたしはその人に振り向いてもらうために、
可愛くなる努力をした。
メイクしてみたり、髪型を変えてみたり…。オシャレしたり…。
そして、サークルの飲み会の時に頑張って勇気を出して、
2人きりの空間を作り、告白したら……。
「俺も、好きだよ。」と言われた。つまり…。
両思いだったってこと?!恋が実ったってこと?!
あたしはすごく嬉しかった。…でも、
飲み会が終わったあとにホテルに連れていかれたのは
ちょっと抵抗……あったけど……。
嫌われたくないから、従った。
…何か、おかしい。会う度に毎回彼から誘ってきて、家で、
そういうことしたら、帰らされる。
あたしからデートのお誘い、「水族館とか行きたいな!」
とか言っても、「人混みやだ〜」とか言われてしまう。
…本当にあたしって愛されてるの…?
恋人って、こんなものなの……?
最低な人だった。聞きたくない言葉を言われた。
あたしのこと、好きか確認したら、
「好きだよ」とは言われる。
あたしは聞いたの。
「あたしたちって、付き合ってるよね…?」
その言葉に彼は、
「何勘違いしてんの?ただのセフレなんだけど。
セフレごときが恋愛感情抱くなよ、あーなんかもういいや。
お前、貧乳だし、飽きてきた頃なんだよね。」
セフレ…?あたしは恋人のはずじゃ……と言っても、
「調子に乗るな」「好き=付き合うではない」
「もう話しかけんな、帰れ」
とか他にも罵詈雑言を浴びせられた。
あたしは、ただの性欲処理係だったの…?
好きじゃなかったの…?
あたしは彼の顔をビンタして、「最低!」と叫んで
家を後にした。
…駅のホーム、…もうそろそろ、特急電車が通るのか…。
ちょうどいい、あたしの人生、これ以上生きていても、
いいことなんてあるわけない。…さよなら。
あたしは…特急電車が通過するタイミングで、
身を線路に投げた。
天王星「…辛かったね。」
海王星「あんたに、何が分かんのよ…、
…さっきから、しれっと背中触ってくるけど
ふ、不快だから、やめてよね…」
…正直じゃないなぁ…どう声をかけてあげれば…。
そんな時だった。
月「海王星さん、いい加減素直になったらどうなの。」
地球「月くん…?!」
月「3人の会話、見守っていたよ。
海王星さん、天王星さんのこと。
好きでしょ、大好きでしょ。」
海王星「ちっ!ちが!違うし!大っ嫌いだし!」
天王星「じゃあさっき天王星さんが《関わらない》って
言った後、行かないでって、
見捨てないでって、泣きながら言ってたんじゃん。
それはきみのトラウマが刺激されて、
きみが好きな、好きでいてくれる…天王星さんに
捨てられる、見捨てられると思ったからでしょ?」
海王星「えっと…うん」
月「てか、きみって好きになってもらったこと、
愛されたことがないんでしょ?
あの時はきみからアプローチしていた。
…でも、今回は相手から、
天王星さんからアプローチされてるじゃん。
天王星さんのこと、本当は好きなのに、
前みたいに捨てられるのが怖くて、壁を作っている……。」
海王星「……そ、……」
月「でもさっきいった通り、きみはアプローチされている。
受け身なんだ。…だから、好きならば
天王星さんのことを信じてみるのもありだと思うよ。どう?」
月くん…すごい…。肉体年齢だけど、
9歳とは思えない程、説得力がある……。
海王星「そ……そう、そうよ!!あたしは天王星が好き!
ついてくるのも、正直嫌な感じはしなかった!
む、むしろ嬉しかった!…でも、ここで好きになって、
また裏切られるのが、見捨てられるのが、
どうしても…怖くて…。
無意識に今までトラウマが邪魔をしていたの……。
だから…冷たい態度を、
天王星にも、みんなにもしていた…。ごめんなさい…。」
海王星さんはまた涙を流し始めてしまった。
…意外と乙女な人なんだろうなぁ……。
天王星「…海王星さん、君から好きって言葉を
聞けて、すごく、すごっく……嬉しいよ……。」
天王星さんの顔からぽたぽたと……。
鼻血が出ている。めちゃくちゃ幸せそうな顔をしながら。
月「うわっ、汚ったな……。」
地球「と、とりあえずティッシュを〜!!」
天王星さんの鼻血が止まり、2人の気持ちが落ち着いてから。
天王星「海王星さん、改めて言わせておくれ。
俺は、君が好きだ。大好きだ…。愛している。
君みたいな魅力的な女性に出会ったことはないんだ。
成仏するまであまり時間はないけど、
その時まで俺は君を愛し続けるよ。成仏した後も一緒さ。
…成仏する最期がくるまで、
その後も、幸せにしてみせるから…俺と付き合ってください。」
月「長いし、キザすぎだろ」
地球「今そんなこと言う時じゃないって…!」
海王星「……!…ぜひ、よろしくお願いします。
あたしも…大好きよ。」
天王星「本当かい?!ありがとう!!」
天王星さんは海王星さんを抱きしめる。
海王星さんはまた涙を流しながら、そっと、抱き返す。
天王星「1つ言ってもいいかい?」
海王星「…何?」
天王星「俺の前世の名前が、海音。
…海王星さんのあめって、漢字は何?」
海王星「天だけど。…それが何?」
天王星「2人とも、
前世の名前にお互いの漢字が入っている…。
これって、運命だと思うんだ……!」
海王星「バカね、ただの偶然、よ。
…いつか天王星の前世話も聞かせてね……。」
自分と月くんは、お楽しみの2人を邪魔しないように、
どこか移動した。
月「それじゃあ、海王星さんの
名前と、トラウマ、死因をまとめようか。
名前は黒華天。
トラウマはとにかく捨てられるとか、見捨てられること。
《関わらない》だね。
死因は電車への身投げ。…めっちゃ迷惑な死に方してるよね。」
地球「余計だよその一言。」
月「…とりあえず、海王星さんが
素直になってくれてよかったよね。
でも、嫌いなフリして、天王星さんが離れようとしたら、
しがみつくのメンヘラ拗らせすぎだろとは思うけど。」
地球「だから一言余計だって。」
月「天王星さんの鼻血垂らしながら、してたあの顔、
イケメンだから許されるよなぁ〜。」
地球「それはそう。…後2人か…太陽さんと水星ちゃん…」
月「…ちょっと!ぼくを忘れないでよ!」
地球「そうだった、月くんの記憶を
取り戻すのも目的のひとつだもんね」
月「そう!だから!ぼくのトラウマも…刺激してよね…。」
地球「?!」
月くんにいきなりちゅーされた、…初めて唇に。
月くんは嬉しいそうに、でも切なそうに言った。
月「最期まで一緒にいてね……地球。」
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