第四十一話 ハーレムいい人戦略 第一部完
ザコーニが連行されたことで、ひとまず騒ぎは収まった。
「ザコーニが連行された以上、奴隷商との繋がりも明るみに出るだろう」
レオンがそう言った。
「奴隷商との繋がりまで?」
「ああ。ザコーニ一人で終わる話ではない。奴隷商との取引記録なども調べられることになるだろう」
「そうなんですか」
「上手くいけば、奴隷商そのものを潰せるかもしれない。そうなれば、奴隷解放を進める上でも大きい」
「そう言っていただけるなら、俺としてもありがたいです」
俺としては、目の前で困っている人を助けただけだ。
その結果として奴隷商まで潰れるなら、それはそれでいい。
すると、今まで黙っていた宰相が突然こちらを向いた。
「ところで、先ほどの魔法だが――」
「はい?」
「あれは一体どういう仕組みなんだ?」
「仕組みですか?」
「ああ。あれほどの威力を、あの速度で発動するには、魔力をどう流している? 詠唱は? 魔法陣は使っていなかったように見えたが……」
質問が一気に増えた。
「えっと……」
「そもそも、あの魔力量はどうやって――」
「宰相閣下」
父さんが口を挟んだ。
「はい?」
「一つお願いがございます」
「何でしょう?」
「レンとリカは、まだ子供です。二人の魔法について、あまり人前で話したり、必要以上に目立たせたりすることは避けていただけますでしょうか」
「む……」
宰相が止まった。
「しかし、あの魔法は――」
「お気持ちは分かります。ただ、二人の力が広く知られることは、本人たちにとっても危険かと思います」
「……確かに」
宰相は少し残念そうにしながらも、頷いた。
「分かった。人前では控えよう」
「ありがとうございます」
父さんは頭を下げると、今度は王様のほうを向いた。
「陛下にも、お願いがございます」
「うむ」
「レンとリカのことを、必要以上に世間へ知らしめることは避けていただけますでしょうか」
「もちろんだ」
王様はすぐに頷いた。
「二人がまだ幼いことは私も分かっている。こちらから騒ぎを大きくするようなことはしない」
「ありがとうございます」
父さんが頭を下げる。
そのときだった。
「ただいま戻りました」
リッチが戻ってきた。
「おかえり、リッチ」
「はい」
俺が声をかけると、リッチは俺のところへやってきた。
その様子を見ていたレオンが、ふと口を開く。
「レン」
「はい?」
「リッチはA級魔獣だぞ」
「そうなんですか?」
「ああ」
「知りませんでした」
「……知らなかったのか?」
「はい」
そもそも、魔獣のランクなんて気にしたことがなかった。
「A級魔獣というのは、国としても警戒するレベルの存在なんだぞ」
「そうなんですか?」
「ああ」
宰相も頷く。
「A級魔獣を飼っているなどと知られれば、それだけで大騒ぎになるだろうな」
「そうなんですか?」
「そうだ」
「じゃあ、人前ではあまり言わないほうがいいですね」
「ああ。それがいい」
レオンが苦笑する。
その横で、父さんが頭を抱えていた。
「レン、お前、母さんに何て説明するつもりだ?」
「え?」
「勝手にペットを拾って帰ってきたんだろう?」
「でも、リッチは大人しいよ」
「そういう問題ではない」
「ちゃんと餌もあげるよ」
「餌の問題でもない」
「散歩も俺がするから」
「散歩……?」
父さんの顔がさらに険しくなった。
「父さんからも母さんに言ってよ」
「なぜ私が?」
「父さんが味方してくれたら、母さんも納得してくれるかもしれないじゃん」
「いや、だからな……」
「大丈夫だよ。俺がちゃんと面倒見るから」
「……はぁ」
父さんは大きく息を吐いた。
「分かった。母さんには私から話しておこう」
「本当?」
「ああ。ただし、最後まで面倒を見るんだぞ」
「うん。もちろん」
よし。
これで何とかなる。
リカ、ミカ、ユカ、ミオーリ。
現在、俺が想定している嫁候補は四人。
うん。
ハーレム計画は順調だ。
まだ俺も子供だ。
焦る必要はない。
困っている人がいたら助ける。
頼まれたら応える。
相手の気持ちを考えて行動する。
そして、好意を向けられても、あえて気づかないふりをする。
そうしていれば、いつか向こうから言ってくれるはずだ。
「レンと結婚したい」と。
こちらから迫る必要はない。
むしろ、こちらから迫らないからこそ、相手から言ってもらえる。
完璧な作戦だ。
成人したら――。
月曜日はリカ。
火曜日はミカ。
水曜日はユカ。
木曜日はミオーリ。
……金曜日と土曜日は、まだ空いている。
まあ、その頃には何とかなるだろう。
日曜日はみんなで過ごす。
みんなで食事をして、どこかへ出かけて、楽しく過ごす。
うん。
完璧だ。
理想のハーレム生活。
俺は心の中で拳を握った。
よし。
成人した時には、これを実現するぞー。
――天上界。
神様は地上を眺めながら、楽しそうに笑った。
「やはりアホじゃのう、こいつ」
そう呟きながらも、その顔には優しい笑みが浮かんでいた。
ここまでお付き合い頂きありがとうございます。ここでいったん区切りとします。最初は一部の終わりまで書くなど考えず好きに書いてやる気がなくなったらやめる気だったんですが、日々pv数を見ていると読んでくれている人が少なからずいることに驚きつつとても嬉しくなりました。皆さんのおかげでここまで書くことができました。また、気が向くか、感想などで続きが読みたい、などが奇跡的にあれば書こうと思います。
最後に後書きまで読んでいただいた方に感謝いたします。ありがとうございました。




