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怪異事務管理所  作者: channel
第一告
7/9

七話 雫

──────────── 

                平成二十七年八月十六日

                     怪異事務管理所 

               怪務局 副局長 雪零ナズナ

         怪異事務管理所 特異物・特遺物研究資料


蓬莱セイカから出現した円環と、それから溶け出した雫について。

場所的怪異安定後の現場検証において、溶け出した雫を目視したところ、

既視感や安心感を覚える職員が多数。ごく一部の職員からは誰かの記憶が

頭の中に流れ込んできたという報告もあった。

第一目撃者の澪は、黒く粘性を帯びた液体状で、床に落ちると一瞬で蒸発

することもあれば、残留することもある。と証言した。

科学的な分析を行ったところ成分を特定することはできず。「怪異媒体

由来の未知物質」として厳重に保管することとする。

今回のきさらぎ駅派生型怪異での蓬莱セイカ疑似的覚醒状態(仮定)は、

蓬莱セイカの頭上に出現した円環から天使の怪異(仮名)の関与が疑われる。

だが蓬莱セイカと天使の怪異との関連性は、十分な証拠がないため断定

することはできない。

                           以上

────────────


目が覚めると飾りけも何もない、白い壁の部屋のベットで横になっていることに気が付いた。

おそらくは怪異事務管理所に併設している病室だろう。

静かだ。今自分がいるベットの他にも7つベットがあるが、この部屋にいるのはセイカだけだからだ。

なぜ自分はここにいるんだろう?そう思いながら頭を巡らせる。

怪異と戦っているとき、急に意識を失ったことを思い出した。

「澪さんは…」

ガー!とスライド式の白いドアが開く。

そこには手を負傷している澪がいた。

急いでセイカに駆け寄る。


「セイカちゃん…大丈夫?」

「澪さんこそ…」

「いやまぁこれは…。あ、はいこれ」


りんごを1つ、手渡された。


「帰ったら食べて」

「はい」


数秒間の沈黙の後、セイカが切り出す。


「私どうなってましたか…?」

「ん…」

「なんか途中から記憶がなくて」

「怖かったよ」

「怖かった…?」

「急におかしくなっちゃって」

「…どんな風になってたんです?」

「なんか、怪異みたいな…」


澪は立ったまま俯いている。

光の問題かもしれないが、眼には涙を浮かべているようにも見えた。


「仲間が死ぬのは今まで結構見てきてるけど、慣れないもんだよ」


この言葉には澪の、さまざまな感情が入り混じって聞こえた。

悲しみ、怒り、憎しみ。そんなところだろうか。

これらの感情が怪異になったらどうなるのだろう。


「まぁ、死ぬのに慣れるっていうのも怖いけど…。とにかく、死ななくて本当に良かった」

「はい…」

「ナズナさんには今度会ったらお礼しないとね」

「あ、やっぱりナズナさん、助けてくれたんですか」

「あれ?覚えてるの」

「いや、夢でナズナさんを見たので、そんな感じがして」

「へぇ~…?」


澪の口角が少し上がる。

それは少し不気味でナズナさんの感じに少し似ていた。


「どうしたんですか?」

「いや、ちょっとあってほしい人を思い浮かべてね」

「あってほしい人?」

「うん、ナズナさんに話しとおしとくね」


セイカが相槌をうつと澪は軽くうなずき病室を後にしていった。

高熱出して休んでいました。復活です。

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