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怪異事務管理所  作者: channel
第一告
18/24

十八話 観測イマジナリティ

 午後五時二十分。

 明日が休みということもあり、私は家でだらだらと過ごしていた。

 本当ならこのままだらだらと過ごせるはずだったのに。

 スマホが鳴った。

 ナズナさんからのビデオ通話だ。

 とりあえず出てみた。


 そこに映し出されていたのは、ナズナさんと他数名が長机を囲んでいる様子だった。


「セイカちゃん~?これ見えてる?」

「はい、見えてますよ」


 何となく、本当になんとなくなのだけれど、ナズナさんがこんなにも軽くしゃべっている中に、厳格な雰囲気を感じ取れた。


「今、各局の局長さんとその一行とで、会議をしているんだけどね」


 局長が集まる会議でこんなにも軽く話していいのだろうか。

 いや、普通はダメだろ。

 メンタルどうなってるんだ。

 逆に、既に壊れてて無敵状態ということか?


「七告が起こっているんじゃないかって話になったんだけど」

「七告ですか……」

「私的に起きているのか分かる人、セイカちゃんくらいだと思うんだけど」

「んー……。あーでも、一週間くらい前に、いつもと違う音が聞こえたときから、異常な現象が周りで起きている気がしますね」

「あれか、私に電話かけてきた時のやつか……」


 祓務局の局長が「その音とはどのようなものだ?」と口を挟んだ。

 かなり説明しがたい現象であるため、できる限りの説明をしたつもりだが、あまり理解できていない様子だった。


「いつもは、まぁそんな感じなんですけど、その違う音っていうのが、ラッパというか鐘というか……セプテット?みたいな、いろんな音が混ざり合った感じで、それでも、一つ一つの音は独立していて、確かに聞き取ることができました」

「我々はそのような音をここ最近────というか、人生で一度も聴いたことがない」


 この『人生で一度も聴いたことがない』という言葉は、私の中ではかなり響く。

 こういうのを聞くと、私が壊れているのか、優れているのか……どちらか一方に定めようとするために、頭で議論を始める。だが、過程はどうあれ、そのほとんどはマイナスの結果になってしまう。


 すると祭務局の局長がするっと、話に乗ってきた。


「ラッパというと、やはり黙示録だな……」


 全員、気難しそうな顔をしている。

 七告が起きているということにしたくないのだろうか?

 怪異事務管理所は、そういった現象を管理するためにあるのではないのか?

 ────何かを隠そうとしている?


「あー…!今思い出したんですけど、数日前。下校の時、学校の前にナズナさんがいると思ったら、二輪のクチナシだったんですよね」

「クチナシか?」

「はい、クチナシです」

「その話、詳しく」


 つい、数日前のことを思い出しながら、できる限り鮮明に話した。

 少し話疲れ、画面外に目をやり、伸びをする。 

 そして、画面を見ると、完全にフリーズしていた。

 バグっていた。というか、なにかを実行するための計算などで、重くなって動かなくなってしまったのだと思う。

 しっかりプログラムが処理をできている。そういうわけだ。


「ああ、ようやく動いた」


 あちら側はもう、何か解決したようだった。


「蓬莱セイカさん。とりあえず、七告は起きているという結論に至りました。そして今はまだ第一告目だという認識でこれから進めていきます」

「はい……起こっているでいいんですね……」

「これ以上議論を続けると、余計に話が複雑になるだけだと判断しました。あと、セツナが七告関連の話をすると暴れるので」

「暴れるんですか……」


 何か拘束するものでも持ってきていないのだろうか?

 なんかもう、怪異事務管理所という組織が心配になってきた。


「最後に、蓬莱セイカさんには、その『いつもと違う音』というのを聴いたら我々に報告してください。いつでもいいです。聴いたら直ぐに」

「分かりました……聴いたら直ぐに。ですね」


 そして、ビデオ通話が終わった。

 いつの間にか六時になっていた。

 体感20分くらいだった気がするのだけれど。


 ふと、「はあ」とため息が出る。

 責任感が、増えているのがわかる。

 プレッシャーが、どんどん積み重なっていく。

 でも、誰かのためになるなら。


 そう思った瞬間────


 スマホに通知が来た。


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