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異形の領主〜追放された俺はユニークスキルで戦国を駆ける〜  作者: 葵 直虎
第六章 民とは、変革を背負う礎
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第四十九話「決闘領域、再び」

夜の帳が下り、荒れ寺を取り囲む森は不気味な静けさに包まれていた。

月明かりがわずかに差し込む中、雷堂を先頭に一行は忍ぶように進んでいく。


「この先だ。……時貞は寺の本堂に潜んでいるはずだ」

雷堂の低い声に、皆が頷いた。


やがて、荒れ寺の輪郭が月明かりの下に浮かび上がった。苔むした石段、崩れかけた門。だが周囲には、人の気配が濃厚に漂っている。


「……囲まれているな」

雷堂が刀に手を添え、囁く。


次の瞬間、寺の影から無数の残党たちが現れた。

「来たぞ!雷堂だ!」

「白金領を裏切った奴らを討て!」


怒号が森を震わせる。


雷堂は一歩踏み出し、雷を纏わせた剣を抜いた。

「お前ら... 覚悟しろ」


鋭い剣閃が夜闇を裂き、残党たちが次々と倒れていく。

「ひっ、ひぃ..逃げなくては... 」

「もう遅い... この寺ごと潰してやろう」


寺の壁にぶつけられ、気絶すると同時に壁の一部も崩落した。

「雷堂さん、やりすぎじゃない...?」

「ついな... あいつの顔を思い浮かべたら無性に力が入ってしまった。あとはもうあいつらとお前に任せるとしよう」

「わかりました。俺たちも力をつけてきたので、任せてください」

「あぁ」

朔也が笑っている中、雷堂は少しバツが悪そうにして、後ろに下がっていった。


———


茜は妖狐を呼び、若者たちを支援した。


「皆さん、この子の近くに来てください」

「おお!力が漲る..!! 茜さん、ありがとうございます!よし、行くぞお前ら!」

「「おぅ!」」


支援を受けた若者たちは、勢いよく敵陣に飛び込んでいった。


「力が強くなっただけでなく、体が軽いぞ!」

「これなら怖くない!いけるぞ」


荒くれたちは、若者たちの勢いに押されるだけではなく、純粋に力負けしていた。


「なんだ、こいつら...!? ただの農民じゃなかったのか!?」

「時貞様!話が違うんじゃないです...ぐはっ」


荒れ寺から出てきた者たちは次々と打ち倒され、数を減らしていった。


「やったね!茜ちゃん、大活躍だよ!」

「うん!最近はたくさんの人に支援をかけられるように特訓してたんだよね。この子ともどんどん仲良くなってきたみたいで、宗二さんから支援以外も何かできそうだって教えてもらってるんだ」

「こん!」

「さすが、茜ちゃんだね。私も負けないように頑張らないとな」


その最中、本堂の扉が軋むように開いた。

姿を現したのは、加納時貞。

痩せこけた顔に宿る眼光はなお鋭く、かつての忠範の側近としての威圧を漂わせていた。


「雷堂……そして、その子飼いの若造どもめ」

時貞は冷笑を浮かべた。

「よくも忠範様を討ったな。貴様らを地獄に落としてやる」


「その言葉、そのまま返してやる」

雷堂が応じようとしたその時、朔也が一歩前へ出た。


「雷堂さん……ここは、俺にやらせてください」


雷堂が驚いたように目を向けた。

「朔也……そうだな、俺はもう今日は手を出さん」


朔也は静かに深呼吸すると、両の掌を前に掲げる。

「忠範やお前たちは、この領地の人をどう思ってるんだ?必死に作った作物もほとんど持っていき、力を持たないように異形の者についての御触れを出したり、どんなつもりなんだ?」


「は?そんなこと決まっているわ。我らに奉仕するために、我らの繁栄のために働くべきであろう。そんな者たちに力などは要らないのだ」


「そうか。なら、遠慮はいらないな。俺と一騎打ちだ!」


 ——発動条件を確認。対象:知性あり。

 ——スキル【決闘領域】、展開。


足元から淡い光が溢れ、瞬く間に広がっていく。

周囲の喧噪が遠ざかり、寺の本堂前の空間だけが異質な静寂に包まれた。


「な……なんだ、この力は……?おい、お前たち!」

時貞が目を見開いた。


二人のいなくなった領域の外で、驚いている荒くれ者たちは反応せず、困惑しているばかりだ。


「俺は……白金領を守るためにここに立つ。あんたみたいな奴に、もう領民を苦しめさせはしない!」

朔也の瞳はまっすぐ時貞を射抜いていた。


「これはお前の仕業か、これだから異形の者たちは嫌なんだ... だが、小僧が……調子に乗るなよ!」

時貞は刀を抜き放ち、殺気を漲らせて襲いかかる。


決闘領域の中で、宿命の対決が幕を開けた。

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