目が覚めると
アルフは目を覚ます。モフモフという毛布でくるまれたような感覚がする。辺りを見渡す。景色に違和感を覚えた。それは景色が少し色落ちをしているからである。そして、ゆっくりと立ち上がる。しかし、二本足になった時、後ろに思いっきり転んでしまう。そのせいで、目線の高さにケモノの後ろ脚が映る。
「グオ…(足…)」
そして、慌てて彼は口を押さえる。抑えたはいいが獣の前足となっていたのである。
「ウォーン(そんなー)」
この時、アルフは自分が狼にされたことを認識したのである。だが、あの魔女を見つけないと人間に戻れないことは確かである。彼は人里に行きたくても行けない。なにせ、今は狼の姿である。行くと殺されてしまうことは分かる。どうやって、魔女を見つければよいのか彼には分からないのである。魔の領域には近づくなとはこういうことである。彼は魔の領域に足を踏み入れたものは人間を辞めさせられることである。
彼はとぼとぼと慣れぬ四本脚で森の中を歩く。周りにはたくさんの小動物がいる。そして、自分も小動物ではないが、動物の中の一匹である。おそらく、自分は今、タイリクオオカミであろう。子供の頃、一番、好きな動物だった。少し、ホッとしているのである。豚やウサギなどにされなくて。まあ、人間を辞めてしまったことにはショックは変わりはないが。だが、早いとこ魔女を見つけて人間に復帰しなくてはいけない。
彼が慣れぬ体で歩いていると、数匹の狼が彼の前に現れる。そして、彼の周りをグルグルと歩き始める。
(何?)
(貴様、人間くさいぞ。ここは狼の楽園、ウルフズヘブンだ)
(ウルフズヘブン?俺は人間だったが今、狼の姿だ)
(そうか。人間に戻りたいのか)
(もちろんだ。だから、通してくれ)
(よしといたほうがいいぞ)
と、狼の中の一匹が彼を引きとめる。その狼は左目に傷を負っている。だが、その傷は古傷である。
(魔女には会わない方がよい。こんど、会ったら殺される。お前と同じ奴を見たからな)
それを聞いたアルフはショックを隠せなかった。だって、魔女にさえ会えれば戻れると思っていたからである。左目に傷がある狼は他の狼を連れて、ついて来いと言う。アルフはついていくことにした。他に行くあてもない。狼として生活するならば、他の狼と居た方がよいであろうと考えたのである。




