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勇者の血を継ぐ者  作者: エコマスク
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【7話】 ガーディアン・リリア

リリアはルーダリア城下町の西門にいる。キャラバンの護衛を引き受けたい。

日の出の前、城門前はキャラバンが並んでいる。日が昇り始めると鐘がなり、城門が開く。キャラバンがお互いを守りながら隊をなして出ていくのだ。その護衛に雇われたい。本当は東のキャラバンと共に護衛として稼ぎながらルーダ・コートの町まで行きたがったが、護衛の枠は埋まっているようだった。商人の話では、ルーダ・コートとルーダ港方面は貿易が盛んなため、道路周辺は整備され、巡回兵が絶えず回っている。護衛の需要は案外少ないようだ。とにかく稼がないといけない。ルーダリアから西も行ったことない。興味がある。リリアは西門でキャラバンに自分を売り込んでいる。


まず、実績が無い。弓を担い娘が無賃乗車でもするような扱いだ。ギルドに所属していないのもマイナスだ。身元の証明がつかない。居直り強盗にでもなられたら厄介だと言う。

リリアもこれには仕方ないと思う。皆、命と生活をかけている。不慣れな人間が一人いるだけで、全員死ぬことになりかねない。

リリアが交渉するとたいてい「夜のお供なら連れていく」といった冗談が帰ってきて終わりだ。

「実績と身元か…」なるほどと思って頷くが、感心している場合ではない。

“ジャーン、ジャーン、ジャーン”リリアが城壁を見上げると、物見台から鐘を鳴らしている兵士の姿が見えた。恐らく日が出始めているのだろう。ギリギリと音をたてながら、城門が開く。まずは兵士達が、続いてキャラバンが出ていく。靴、馬蹄、車輪の音が城門の外へ流れていく。リリアはちょっと離れたところでそれを見ていた。僅かに残った、雇われなかった人間は街中に消えていく。

“ルーダリアから西って見たことないな”そう思ったリリアは一人城門から少し歩み出て、列を作って去っていくキャラバンと風景を見ていた。東も西も変わらないと思ったが、全然雰囲気が違う。木は伐採され禿げた丘と山が続いている。丘の上や峰には砦らしき建物が立っている。自分の知っている山々と違って明らかに荒涼とした風景が広がっていた。

「どうしよう…」呟くが言うほど困ってもいない。所持金が少ないことは多少問題だったが、自分の力不足を思い知っただけで、リリアにしては納得いく事だ。

しかし、この様子ならルーダリア王国内でギルドに入るか、一人でルーダ・コートの町に行くかだ。しばらく風景を眺めながら考えていると後ろから馬車の音が近づいてきた。


白髭を蓄えた男がリリアを認めて馬車を止めると話しかけてきた。

「やれやれ、出遅れた。お嬢さん乗りたいなら10Gで乗せてくよ。後ろ付いてくるならタダだ」

手綱を握る男の右側が空いている。リリアは護衛がいないと思うと

「よっ」軽い身のこなしでその席に上がった。

「前払いじゃ」男が言う。それには答えず席の上に立ったまま弓と矢を素早く構えるとリリアは言った。

「あのネズミ」

男がその方角を見ると、たいぶ距離があるが確かにネズミが何かを貪っている。

“良く見つけたな”っと男が感心するより早く、リリアが放った矢がネズミを射抜いていた。

「お客じゃなくて、護衛よ」とリリアが言う。

「…キャラバン、先に行ったなぁ」男が言う方向をみると、もうキャラバンが峠を越えるところが見えた。

「お嬢ちゃん、あんたどこのギルドじゃ」男が問いかける。

「次会う時にはどこかに入っている予定よ」前を向いたままリリアが答えた。

「ふぅん、じゃ10Gで雇う」

「リリアよ。10Gならお供は日暮れまでね」さっと男の隣に腰を下ろすとリリアは男に笑顔を見せて言った。

「ふんっ。荷物は葡萄酒じゃ。お前さんが荷物にならんようにな」男は鼻で笑うと馬車を進めだした。


さっきのネズミには、もうカラスか何かがたかっていた。


一方、東側からウッソ村に向かってリリアが帰ると思って、城門付近を捜しまわっていたディルとピエンは人気のいなくなった門前からルーダ・コートの町へ去るキャラバンを見ていた。


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