拷問編
「いい加減、白状したらどうだ?
この写真をみろ。
お前が隣国の要人と内通してた証拠はあがってるんだ。
今更言い訳したってもう通用しないぞ?」
「だからなんだ?
ここまでの証拠を掴んでおきながら、今更何を俺に話せと言うんだ?
お前らの思った通りだ。
俺は革命軍の闘士だ。
それ以上でもそれ以下でもない。
話す事など何もない!」
「そんなこちらが既に掴んでいるような話はどうでも良いんだ。
話して欲しいのは『アジトの場所』『仲間の居所』だけだ。
それを話せばお前を解放しても良い」
「誰がお前の言う事など信じるか!
帝国の犬め!」
「『犬』か。
私に言わせれば貴様は『革命の闘士』などではない。
単なるテロリストだ」
「何だと!?」
「貴様らの行動のどこが『革命』だ?
暗殺とクーデター計画・・・まさにテロリストじゃないか?」
「テロではない!
腐敗した政府の打倒を目指しているのだ!」
「貴様らのクーデターにどれだけの罪なき市民が巻き込まれると思っているのだ?」
「大事の前の小事だ!
革命に犠牲はつきものなのだ!」
「民衆を犠牲にする貴様らが『民衆のため』を口にするな。
『民衆の犠牲』が小事の訳あるまい?」
「ふん!どうせお前ら犬に理想を説くだけ時間の無駄だ!
殺せ!」
「殺す訳あるまい?
貴様らの手口はわかっている。
仲間が殺されたら、それを口実にして『敵討ち』『聖戦』と称してテロ行為を行う。
お前らは仲間が犠牲になるのを待っている。
仲間にダイナマイトを抱かせて敵に突っ込ませる『自爆テロ』を頻繁に行っている貴様らに自分らの命を大切にしよう、なんて考えがある訳がない。
それに我々とてテロリストに正論を説く時間はない。
我々が知りたいのは貴様らの仲間がどこにいるか、アジトがどこにあるのか、それだけだ」
「言うと思うか?
革命の闘士が仲間を売ると思うか?」
「思うね。
貴様らも一枚岩じゃない。
貴様は疑問に思わなかったか?
『何故自分の居所がバレたのか?
自分は何か下手を打ったのか』と」
「まさか・・・」
「そのまさかだ。
貴様らの情報は他のテロリストを尋問して聞き出した結果だ」
「し、信じられん。
『革命の闘士』の中に拷問で口を割る者がいるなんて・・・」
「拷問に屈する者もいる。
だがそうじゃない者もいる」
「どういう事だ?」
「たとえばコレだ」
尋問官は注射器をチラつかせる。
「まさか!?
『自白剤』か!?」
「どうだろうな?」
「ふ、ふん!
『男は絶対に仲間を売らない』のだ!」
「いつまでその虚勢がもつかな?」
拷問官は男に注射する。
「大丈夫なんですか?」
「何がだ?」
「自白剤の大量投与は廃人を作り出します。
なかなか尻尾を掴ませなかったテロ組織でようやく捕まえた一人です。
アイツを『殺す』『廃人にする』と再びテロ組織の情報源が闇に消えてしまいます。
悔しいですが、アイツに死なれる訳にはいきません」
「そうだな。
アイツの居所を白状したヤツも本当に苦労した」
「何か尋問のコツがあるんですか?」
「アイツらが厄介なのはマインドコントロールを受けていることなんだよ」
「マインドコントロール?」
「そうだ。
アイツらは元々インテリ大学生なんだ。
言ってみれば『モヤシっ子』な訳だ。
ヤツらは暴力に弱い。
マインドコントロールを受けてない状態なら、暴力的な尋問ですぐ自白するんだ。
だが『命にかえても秘密は守り通す』ようにマインドコントロールを受けてるんだよ。
『男はどんな拷問を受けても仲間を売らない』という風にな」
「厄介ですね。
だから強力な自白剤を使うんですか?」
「自白剤なんて使わない。
自白剤なんて使ったらアイツらを壊してしまうかも知れないし、それが世間にバレたらヤツらを擁護してるような自称『革新的なメディア』に餌をやるようなモノだ」
「でもさっき注射をうってたじゃないですか」
「アレは自白剤じゃないぞ」
「じゃあなんですか?
偽薬的な物ですか?」
「別にあの注射は『プラセボ効果』を狙った物じゃない。
思い込みだけではなく、ちゃんと薬として効果があるものだ」
「どんな効果ですか?」
「アイツらの『思い込みを打ち砕く』物だ」
「思い込みというと?」
「『男は絶対に仲間を売れない』っていう思い込みだよ」
「よくわからないですね」
「そうか。
アイツらは『男だから』『絶対仲間を売れない』と思っているんだ。
その前提条件を崩してやる新薬なんだ」
「前提条件?」
「今頃新薬の効果が出て、その『前提条件』が崩れているはずだ」




