シューティング編
ゲームの世界に転生・・・冴えない俺も異世界なら無双出来るし、ハーレムだって作れる。
ゲームの世界に転生しても脇役だったら意味がない。
主人公に転生しなきゃ。
そう思っていた時期が俺にもありました。
「何これ?」
「異世界ですよ。
貴方の望んだゲームの世界です」
「そうじゃないって。
俺の考える異世界は文明レベルが中世くらいで剣と魔法の世界なんだって。
この世界、もしかしなくても文明レベルは地球の数倍は高いよね?
サイバーパンクの世界・・・『ブレードランナー』がこんな感じだよね?
地球が人類の望んでない方向に発展していった感じ・・・『ディストピア』って表現がピッタリくる・・・」
「この世界は間違いなく『ゲームの世界』で『異世界』です。
そして貴方が望んだような文明レベルの低い世界と言えるかも知れません。
なぜなら、かつてこの世界は高度な機械文明が繁栄していました。
しかし『AI』が人間に反旗を翻したんです。
人間は持っていた機械文明をほとんど『AI』に奪われました。
人間の人口の95%は『AI』によって滅ぼされました。
貴方はこのゲームの主人公になって、人類の最後の希望として単独で戦闘機に乗り込み『AI』と闘うのです。
戦闘機は人類最後の希望として、最新鋭の機体を誇り、マ◯ロスばりの反応弾をバラ撒きます」
「なんだ?
そのシューティングゲームみたいな設定は?」
「だってシューティングゲームの世界ですもん」
「シューティングかよ!
俺苦手なんだよ!
特に最近の弾幕ゲーム・・・。
それにシューティングゲームの世界観ってイマイチ好きになれないんだよな。
『人類はほぼ滅亡してる』とか、『機体の反応速度を上げるために手足を切って神経を機体に繋げる』とか・・・。
世界観が既に幸せじゃないんだよ。
作ったヤツがサイバーパンクにかぶれてるっていうか、そういう退廃的なのがカッコいいって思ってるヤツがシューティングゲームの世界観にハマるんだろうけど。
この世界も95%の人類は滅ぼされたんだろ?
大方、俺が『人類最後の希望』なんじゃないの?」
「当たらずとも遠からず・・・です。
しかしこの世界はそんなに硬派な世界観ではありません。
何故ならこの世界は『萌えシューティングゲーム』の世界だからです」
「・・・俺あんまり好きじゃないんだよね。
戦国武将を女の子にしたり、戦艦を女の子にしたり、戦車に乗ってる人間を女の子にしたり・・・。
『萌え◯◯』っていうのはよく聞くけど『萌えシューティングゲーム』っていうのは初めて聞くな。
いや、元からあるのか。
俺が詳しくないから知らないだけで」
「はい、PCゲームでは『萌えシューティングゲーム』は人気ジャンルの一つとなっています。
『東方』などが有名どころです。
『萌えシューティングゲーム』の難易度は萌えゲーとしては異例に高いのが特徴です」
「まあ『萌えゲー』は本当にゲームかどうか疑わしいほど難易度が低いのもあるからな。
『サ◯ラ大戦』とか」
「残念ながら萌えシューティングゲームは難易度激高です。
『東方』の弾幕なんておぼえなきゃ避けられませんからね」
「それが俺にとってはムリゲーなんだけどな。
ゲームなら3機いるのが当たり前だし、残機増えたりするのが当たり前だからなんとかクリア出来るんだけどな。
一回死んだら終わりで難易度高いなら詰んでるじゃねーか!
シューティングゲームって死にながらクリア方法学んでいくのが俺のやり方なんだよ。
死んだら全てが終わり・・・まあよく考えたら当たり前の事だけど、ゲームとしては難易度高過ぎなんだよ。
難易度だけはゲームの難易度で機体の数は一機で死んだら終わり・・・って。
少なくとも俺には無理なんだよ!」
「そうは言われましても・・・この世界はそういう世界であなたはこの世界の人類最後の希望として、この機体『シグルズ』に乗ってもらいます」
「わかったよ。
人類はほぼAIによって滅亡したんだろう?
ここで『乗らない』なんて言っても待っているのはAIによって一方的に虐殺されるだけの未来なんだよな?
だったら無駄な抵抗かも知れないけどその『シグルズ』とやらに乗って闘った方がただ無抵抗で殺されるのを待つよりマシなんだよな?」
「理解が早くて助かります。
では全ての指にこの十個の指輪を嵌めて下さい」
「了解。
うわっ!
この十個の指輪、全部の指に嵌めた途端、指輪の内側から何か細い針みたいなモノが皮膚に無数に突き刺さってきたんだが・・・」
「痛いですか?」
「いや、全く痛くないと言ったら嘘になるけど、最初に少しだけチクッとした刺激があっただけで我慢出来ない痛みは全くなかったな」
「その軽い痛みは神経接続されたという事の証明のようなものです。
指輪からごく細く長い管が伸び、あなたの神経と繋がったのです。
これであなたは『シグルズ』を手足のように動かせます。
因みに『シグルズ』のパイロット・・・人類最後の希望を背負った者達の事は『ヒルダ』と言います」
「『シグルズ』に『ヒルダ』・・・何でこの手の設定はやたらと北欧神話なんだろうな。
『シグルズ』って確か『ジークフリート』の事で、『ヒルダ』って『ブリュンヒルデ』の事だよな。
じゃあ、この指に嵌めてる十個の指輪は『ニーベレングの指輪』か?」
「そうです。
その指輪の事を我々は『ニーベレング』と呼んでいます。
あなたの勘の良さは大したモノですね」
「煽てても木には登らないよ。
だけど、俺の予想が正しいなら俺の頭の中に直接語りかけてくるアンタは神なんかじゃない。
アンタは超文明の名残り、人類に味方した数少ない『AI』の一つ。
・・・違うか?」
「・・・その通りです」
「そうだと思ったんだよ。
究極的には人類は『AI』には敵わない。
将棋でもチェスでもそれは立証されている。
ましてや『AI』が発展した世界ならその傾向は更に強いはずなんだよ。
人類が『AI』に対抗する手段を持っているなら、人類側にも『AI』があると思ったんだよ」
「そうです。
そしてあなたは異世界から我々『AI』によって『ヒルダ』として・・・『女騎士』として選ばれたのです」
「そうだった・・・。
『ブリュンヒルデ』は『女騎士』だった。
そしてこの世界は『萌えシューティングゲーム』の世界だった。
男が主人公の訳ないんだよ」
「その事なら心配はいりません。
あなたが『ニーベレング』を指に嵌めた時、軽い刺激がありましたよね?
あの時にあなたの身体を変質させる物質が既に注入されています」
「『心配いりません』じゃねーよ!
何て事してくれるんだよ!」




