パロディ編
「氷室さんが犯人だと決めつけるのは少し早いと思います。
このダイイングメッセージ『ICE』には不自然な点が二つあります。
一つは瀕死の被害者がわざわざアルファベットを残すでしょうか?
『I』は三画、『E』は四画です。
『ヒムロ』で一番画数が多いのは『ロ』の三画ですが、もう瀕死でメッセージを残す体力も無いのであれば『ロ』は『◯』と書いて一画で済ませますよね?
わざわざ『ヒムロ』を紛らわしく『ICE』と表現した理由がありません。
もう1つ、『ICE』という文字は不自然に画張っています。
その理由は一つしかありません。
警部、何故だかわかりますか?」
「よく脅迫状なんかで、筆跡を隠すためにわざと画張った文字を書く事があるが・・・。
そうか、ダイイングメッセージは犯人が残した偽装なんだな!?」
「全然違います。
このダイイングメッセージは間違いなく被害者が死ぬ間際に執念で残した物です。
このダイイングメッセージは『ICE』と読むのではありません。
逆さから見て読んで見て下さい」
「えーと・・・『ヨコエ』・・・。
ん?『横江』だと!?
横江さん!アンタが犯人だったのか!?」
「絶対バレないと思ってたのに・・・。
さすが『名探偵菜音』だな。
お前さえいなければ・・・完全犯罪が完成していたのに・・・」
「この事件を解決したのは私ではありません。
被害者の無念、執念が私に真実を教えてくれたのです。
では柄暮警部、犯人を連行して下さい。
覚えていてください。
『真実はいつも一つとは限らない』
人は常に複数ある答えから『最適解』を見つけ出して選択します。
しかし『最適解』は人によって違うものです。
また『本当の最適解』を見つけ出せずに人は誤った行動をするものです。
『真実はいつも一つ』などという固定観念がミスリードを産むのです」
「わかった。
しかしさすがは『名探偵女子高生』と呼ばれるだけの事はある。
今回も鮮やかな解決劇だった!」
そうだ、俺は『今は』女子高生なのだ。
俺は人気推理小説家を父親に持つ『加藤甚八』、高校生探偵だった。
数々の難事件を解決してきた俺は幼馴染みの『島津葵』とのデート中、『謎の集団』の取引現場を目の当たりにする。
俺は口封じのために毒薬を飲まされた。
俺は死ななかったが毒薬の副作用か女になってしまったのだ。
「貴方大丈夫だった?
ここに男の子が来たと思うんだけど」
葵は『謎の集団』の取引現場で倒れていた俺を見て『この娘は巻き込まれた』と思ったようだ。
そして俺の前で『加藤甚八』を探し始めた。
「貴方、名前は何て言うの?」葵は俺に聞いた。
その時俺は「謎の集団に襲われたショック」「葵に『俺』と認識されていないショック」そして何より「女になってしまったショック」で葵の質問を聞き取れてはいなかった。
「ナオン・・・ナオンだ」俺はうわごとのように言った。
「ナオンちゃんね、わかったわ」
こうして俺は『隅田川菜音』と名乗る事となり、名前と年齢しか覚えていない事となっている俺は、編入試験を受けて葵と同じ女子高に通う事になった。
その女子高で同級生達と『女子高生探偵団』を無理矢理組まされる事になり、数々の難事件に遭遇する。
遭遇するのだが・・・。
「ナオンって名前はねーだろ、バーロー・・・」




