不眠編
「どうなさいました?」
「あまり眠れないんです」
「ほう」
「こんな事で病院に来るなんて・・・と呆れられるとは思うのですが・・・」
「いえ、不眠症は当事者にとっては深刻な問題です。
呆れたりしません。
しかし、もう少し話を聞かさせていただけませんか?
不眠症ほど原因が多岐にわたる症状も珍しいのです。
病気が原因の場合もあります。
精神的な物が原因の場合もあります。
勘違いもあります」
「勘違い?」
「はい、昼寝をしてこれ以上寝れないくらい沢山寝ている人が『夜眠れない、不眠症だ』と思うのです」
「本当にそんな人いるんですか?」
「すごく多いですよ。
睡眠時間なんて正しく把握している人は意外に少ないんです。
本人は5分しか寝ていないつもりで2~3時間寝ていたりするケースはいくらでもあります。
あなたもあるんじゃないですか?
寝過ごしたと思ったら、まだ夜中だったとか・・・またその逆で2~3秒目を閉じただけのつもりで寝過ごしたり・・・」
「あるあるですね」
「でしょう?
あと睡眠時間は足りているのに『睡眠の質が悪い』とか」
「『睡眠の質』?」
「そうです。
あなたの周りに鼾をかく人はいませんか?
そして鼾が止まってしばらくすると『グガッ』と突然大きな鼾をかき、鼾を再開するっていう・・・」
「あぁ、いますいます!」
「あれ、静かになっている時って実は呼吸止まっているんですよ。
あの症状を『睡眠時無呼吸症候群』っていうんです」
「呼吸が止まってるんですか!?
体に悪そうだな・・・」
「体に悪いも何も、下手したら死にますからね。
あの症状の人が『寝ているはずなのに疲れが取れない』なんて思うんですが、それも一種の不眠症ですね」
「不眠症って下手したら死ぬんですか?
何か怖くなって来ました」
「安心すべきか警戒すべきかはもっと話を聞かなくてはわかりません。
不眠症のまま運転して眠くなり居眠り運転をして他者を巻き込む大事故を起こす場合もあります。
前置きは長くなりましたが、あなたがどんな症状なのか色々質問させてもらえますか?」
「わかりました」
「あなたはアルコール、タバコ、カフェインを摂取する習慣はありますか?」
「いいえ、下戸ですしタバコの臭いは苦手です。
カフェインは・・・熱い飲み物は飲む習慣はないんでコーヒーは全く飲みませんね。
飲み物はもっぱら冷えた麦茶です」
「昼寝はしますか?」
「しません。
学校がありますので昼寝の習慣はありませんね。
学校が休みの日も昼寝はしません」
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~30分後~
「貴方は意味なくイライラする事がありますか?」
「はい、最近意味なくイライラする事が増えました」
「貴方は顔が火照ったり、突然汗をかいたりしますか?」
「はい、その通りです」
「貴方に適合する不眠症の症状は二つしかありませんでした。
一つはあり得ない。
『更年期時の不眠症』です」
「まさか!
僕はそんな歳じゃないですよ!」
「ですよね。
で、あれば可能性は一つしかありません。
『月経前の不眠症』です」
「・・・具体的に何をすれば良いんですか?」
「赤飯でも炊いて下さい」




