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異星人はエイリアンに科学の力を一切与えていない。


しかし異星人の捕虜になった者は異星人の実験設備の訳のわからないハイテクノロジーさを見ている。


異星人の科学は人類の科学を遥かに越えていると思われている。


人類は異星人がエイリアンを操る方法も解明出来ていないし、異星人がエイリアンを改造する方法も解明出来ていない。


エイリアンが明らかに改造されていると言うのは、海がある地域には水陸両用・・・水掻きがあるエイリアン、寒い地域には寒冷地仕様の毛皮に覆われたエイリアンが配置されている事でも推測されている。


物量作戦でも勝てない。


エイリアンがどれくらいの量いるのか不明だが、人類の数十倍いるのは間違いない。


そして人類との違いはその全てが戦士であるのだ。


人類の戦える者の数は総数の約1/5ほどしかいない。


それ以外は女性であったり、老人であったり、子供であったりする。


そしてエイリアンの全てが全く武器を必要としない。


エイリアンは堅い外殻に覆われていて、身体能力は人類を遥かに凌駕する。


そして溶解液を吐く。


武器は一切、装備していない。


何をエネルギー源としているのかは不明だ。


睡眠、身体を休める行為が必要かどうか・・・全てが謎に包まれている。


人類にはもう反撃しようにも重火器もなく、燃料もなく、そして疲弊しきっていた。


「降伏しよう」誰かが言い出した。


本来なら「意思疎通も出来ない相手に降伏しても、無抵抗のところを蹂躙されるだけなんじゃないか?」という意見は出て然るべきなのだが、異論は全く出なかった。


それほどまでにもう人類は疲弊していて、為す術は残されていなかったのだ。


降伏の意思表示は最初全く伝わらなかった。


「やはり降伏しようとしても無駄か」そう思われた時「駄目で元々、どうせ殺される」と思われていた降伏の使者の若い女性の降伏の意思が何故か伝わり、侵攻が止んだ。


いや侵攻は止んだが、侵略は続いた。


止んだのは戦闘だけだ。


「異星人には一切抵抗してはならない。


異星人の行おうとしている事の邪魔はしてはならない」これは降伏後最初に出された通達だった。


この時、まだ異星人とは意思疎通は出来ていない。


いないだげに『こちらに敵意はない』という態度を異星人に伝えなくてはならなかったのだ。


異星人が住居に入ってきたらその住居を異星人に明け渡さなくてはならない。


次第に人類は住む場所を追われていった。


異星人の意思を伝える者が現れた。


異星人はテレパシーで意思を伝えてくる。


エイリアン達も異星人にテレパシーで指令を下されていた。


エイリアンの行動原理のカラクリがわかったのは、人類が全ての武装放棄に応じた後だった。


それだけではない。


人類は文明の利器もほとんど手放していた。


その代表的な物は『電力』だ。


いまさらエイリアンの行動原理がわかったところで、人類に反抗の機会は残されていない。




異星人は人類をどうしたいのか?


元々異星人が欲したのは『地球』であり『人類』ではない。


人類は異星人が地球で暮らす上で、邪魔をしてくるハエのような存在であったらしい。


「鬱陶しいから駆除しないと」と思っていたら、「降伏します、これからは一切の妨害行為はしません」という意思表示が人類からあったという。


「邪魔にならないなら、別に生かしておいても良いかな?」と人類の扱いは一時保留にして現在に至る・・・という訳だ。





「異星人ほど知能は高くない。


エイリアンほど戦闘にも肉体労働にも向いていない」異星人にとって人類は「毒にも薬にもならない存在」だった。


異星人にとって人類は「殺す価値もない」存在だった。


しかしその見方は反転する。


エイリアンは武器を装備しない。


装備するだけの器用さがないのだ。


異星人も知能は高いのだが、人類のような『手』は持っていない。


人間の開発した物は異星人の使っている物を悉く凌駕していた。


「イルカは人間よりも知能が高い」と言う者がいる。


しかしイルカは道具を使わない。


当たり前だが手がないからだ。


異星人は人間の「器用さ」に利用価値を見いだした。


つまり人間に生産をさせる事にしたのだ。





異星人にとって、エイリアンはかつての人間の「軍用犬」「軍用馬」と似たような位置づけだ。


異星人にとって人間もエイリアンと同じように生産し、繁殖する物でしかない。


かつて人間が「もっと早い馬」「もっと肉が柔らかく旨い牛」を生産したように異星人達は「もっと器用な人間」を繁殖で作り出そうとした。






まだ人類が畜産されて数年しか年月が経過していなかった。






「待ってくれ!


妻をどこに連れて行くつもりなんだ?」


通訳役のテレパシーで異星人の意思が伝えられる少女が俺に言う。


「もう婚姻制度は廃止されたはずだ。


この女はもうお前の妻ではない。


この女はこれから異星人様の意向で『器用な子供』を沢山産むべく、他の男と繁殖行為をする事になった」


「そんな・・・俺は妻とは離れたくない!


妻が他の男に抱かれるなんてイヤだ!」


「我々人類に異星人様に逆らう権利はない。


それに先程も言ったはずだ。


婚姻制度はとっくの昔に廃止された。


この女はお前の既に妻ではない。


諦めろ。


これ以上、異星人様な決定に異を唱えるなら、お前を私は処分しなくてはいけない。


・・・頼む。


これ以上私に同胞を殺させないでくれ」


少女は表情を変えずに小声で呟いた。


少女はたまたまテレパシーを持っていただけで、異星人からの意思を伝える役をやっているのだ。


少女に拒否権はなく、多くの異星人の意向に異を唱える人間を処刑してきたのだろう。





「頼む!


俺は妻とは離れたくない。


確かに婚姻制度は廃止されたかも知れない。


でも俺と妻とは既に家族なんだ!


動物でも婚姻制度はなくても雄と雌は家族になるだろ!?


あれと同じなんだ!」


「わかりました。


特例中の特例です。


お前とこの女の家族関係の維持を認めましょう」


「本当ですか!?」


「本当です。


しかしお前の要求を飲む代わりにこちらの要求も飲んでもらいます。


お前にはこの注射を受けてもらいます」


「その注射・・・。


洗脳じゃないですか?」


「洗脳では決してありません。


健康を害する物でもありません。


異星人様は決して嘘はつきませんし、つけません。


また、異星人様は私共に嘘をつく事を許されていません。


そこは安心してもらって良いかと思います。


・・・と言うか、異星人様に希望を出す事が既に畏れ多いのです。


この話を飲む気がないのなら、この話は最初から無かった事になるでしょう」


「わ、わかった。


その注射を俺に打ってくれ」






「ではこの女と一緒に我々について来てください」


「えっ!?


俺は妻とここで家族として過ごしていけるんじゃないの?」


「お前は約束通り、この女と家族のままでいられる。


この女の子供の父親とお前の子供の父親は同じ男だ。


子供同士は兄弟だし、お前とこの女は間違いなく家族だ」

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