アマゾネス編
アマゾネスは存在しないと思っていた。
神話に登場するアマゾネスの語源は「アマゾーン」「乳房のない」という意味であり、アマゾネスは乳房を切り落としていたという言い伝えが元であり、アマゾン川は一切関係ない。
関係ないと思っていた。
場所はブラジルアマゾン川流域、私は大手商社へ最高学府と呼ばれる大学を卒業し就職した。
私は会社で南米のレアアース買い付け担当になった。
稀土類と言っても玉石混交、巨億の富を産み出すレアアースもあれば、歯磨粉の中に入っている研磨剤もレアアースだ。
私は原住民の言う「青く光る土」がもしかしたら、キュリウム以上の高価なレアアースかも知れないと思った。
「青い光」というのが「キュリウムと同じ放射性物質かも知れない」と私に感じさせたのだ。
私は原住民が「青く光る土を見た」というアマゾン川上流を目指した。
途中からは密林になっており、道は途切れていたのでアマゾン川をボートで遡上し、そこからは密林の中に歩いて入って行くしかなかった。
しばらく密林の中を歩いているとガイドの原住民が「おかしい、獣の気配と鳴き声が消えた」と言い出した。
するとガイドが異変を察知すると同時に密林の茂みから一斉に立ち上がる弓を構えた半裸の女性達がいた。
「アマゾネスだ!
噂には聞いていたけれど、実際に見るのは初めてだ」ガイドの原住民が絶望に染まった声で言う。
それもそのはず、言い伝えの域を出ないが『アマゾネスと遭遇した男性は攻撃される』『子種を絞り取られ、その後殺される』『奴隷、性奴隷にされる』などロクな言い伝えがない。
現地法人の人々は蜘蛛の子を散らしたように逃げ出した。
私も彼らと一緒に逃げようとしたが、私と現地人ガイドだけはアマゾネスに囲まれ逃げる事は出来なかった。
私達はアマゾネス達に弓を突き付けられ彼女達の集落まで歩いて連れていかれた。
アマゾネス達は地層になっている崖の麓に集落を築いていた。
私はその地層を見て思った。
「これが『青く光る土』か」
私と原住民ガイドは洞窟に手を加えて作った牢獄に入れられた。
そして何故かアマゾネス達は私だけに青く光る液体を差し出してきた。
「飲めと言っている。これは地層から取れる『蒼き神の粉』を溶かした水らしい」原住民ガイドがアマゾネスの言葉を翻訳する。
「言葉がわかるのか?」と私が原住民ガイドに聞くと、アマゾネスが使っている言語はガイドが使っているポルトガル語と言語体系が同じなので、大体わかるとの事だ。
アマゾネスの使っている言葉はポルトガル語より、スペイン語に近いらしい。
弓を突き付けられて飲まない訳にいかない。
私は放射性物質が溶けているかもしれない液体を覚悟を決めて飲んだ。
するとアマゾネス達は液体を飲んだ私を見て、そのまま牢獄を離れて行った。
約三時間後、再び現れたアマゾネス達は早口で私に向かって何かを言った。
「何て言ってるんだ?」私は原住民ガイドに聞く。
すると原住民ガイドは悲しそうな声で言った。
「『この男は奴隷だが、お前はもう我々の仲間だ、牢屋から出ろ』と言っている」




