一難去ってまた一難
ルクアは予定ではもっと早く起きるはずだったのにやってしまったと思い、急いで準備を始めたが、ふと冷静になり思った。ケインとユキももしかしてまだ寝ているのではないかと。
とりあえず急いで準備を済まし二人の部屋に行くルクア、まずはユキの部屋の扉をノックしてみるが返事がない。隣のケインの部屋をノックしてみるも返事がない。もしかして起きないから置いていかれたのかと思い気分が沈むルクア。すると二人の部屋から慌てるような声が聞こえだした。
「スマン寝坊した」
「俺も今さっき起きた所だ」
男二人どんよりした気分でタメ息をつき壁にもたれかかりユキがでてくるのを持っている。
「ユキは準備おせぇな」
「ケイン女性の準備が遅くても笑顔で待ってやるもんだ」
真剣な顔でもっともらしい事を言うルクア。これも全てレタス達の教えである。
それから十分程経ちユキがお待たせと笑顔で出てきた。ケインは顔を引きつらせ今にも怒りだしそうだが、ルクアは笑顔で挨拶を返す。
ユキが来るまでの時間にどうするかケインと話しており、とりあえずお腹が減っているので朝ご飯を食べる事にした。
三人は宿から出るときに怪しい奴がいないか確認し、小走りで宿の店主に聞いたお店に向かう。お店は近くなのですぐに着き無事ご飯にありつけた。
ご飯を食べ終え昨日の予定通り塀から脱出しようと裏道に入ろうとした時オニヅカの連中に見つかってしまった。
「朝ご飯食べているとは呑気な奴らだな」
「もう嗅ぎ付けやがったか」
「優しいだろご飯を食べ終わるまで待ってやったんだからよ」
男達はニタニタ笑いながらこちらを包囲していく。数は十五人程だ。
「こんなに害虫が沢山いたら町の人達も安心して暮らせないわね」
どうにか逃げようと考えていたルクアとケインだが突然ユキが相手を怒らす事を言い出した。
「バカ、何で相手を煽る事を言うんだ」
「私は元々こういう奴らが嫌いなのよ」
そうだったと思いだすルクア、ユキは金に汚ない所はあるが義賊までするような正義感溢れる奴だったと。
ユキの言葉でますます怒りだすオニヅカの連中、町の人達も騒ぎになりだし周りから離れて行く。
「お前ら覚悟は出来てるんだろうな」
「男は殺して構わねぇ、女は捕らえ女に産まれた事を後悔させてやる」
男達がジリジリ距離を詰めながら、良く悪党が吐く言葉を口にしている。
「気持ち悪いから近寄らないで」
ユキが男達の股間に向かって氷の礫を発射する。それにより前にいた五人の男は股間を押さえうずくまり苦しそうな声をあげている。
それを合図に周りの男どもがやっちまえと襲いかかってきた。
今回は周りに人もいなくなったので遠慮なく銃弾をぶっぱなすケイン。百発百中で相手の太ももを撃ち抜いていく。
ルクアは見えない手で相手にパンチを喰らわせ前方に吹き飛ばしていく。
あっというまに戦闘不能になるオニヅカの連中。
「これは何の騒ぎかしら」
左の方から足音と共に声が聞こえてくる。さっきまで人は居なかった筈と思い左側を見ると見覚えがある男?が立っていた。ゼロック警部である。
苦い思い出があるルクアとユキは焦るがもう逃げられない距離までゼロック警部が近付いていた。
(待てよ、今回は俺達なんにもしていない、むしろ被害者だ)
そう思い前を向きなおるルクア。
「久しぶりね貴方達、今日は赤髪の女性はいないのね、なら捕まえるのは簡単かしら」
その言葉で警戒心を強める三人。
「この前の伯爵邸での事やこの状況について聞きたいわね」
伯爵邸の事は流石にヤバいと思った三人が戦闘態勢をとる。
「嘘よ、伯爵邸の事にはお咎めなしよ、伯爵様が許したから、それよりこの状況よどうしたのかしら」
伯爵邸の事は罪に問われないと聞きホッとする三人、ユキがちょうど良いと思いこの状況について説明をはじめる。
オニヅカについて話すとゼロック警部も知っていたのか納得してくれ、逮捕してくれるようだ。すぐに部下を呼びオニヅカの連中に手錠をかけるゼロック警部達。
「貴方達助かったわ、こいつらには手を焼いてたから、けど残党がまだ沢山いるから気をつけなさいよ」
それだけを言い残しゼロック警部は去っていく。
そうだった他にもいるんだったと思い気分が沈む三人。
(何でこうなるんだ、普通に旅をしたいだけなのに)
(これから命を狙われ続けるなんて嫌よ)
(めんどくせぇ事になったな)
三人は心の中で嘆くのだった。




