第三十五話『メルシィ(ちゃん)』
「憎たらしいことにドラゴンを討伐したお前達、お疲れ」
雑....。
「さっさと報酬」
態度悪....。
「ハァ、これだからガキはよォ―――
報奨は別日にそれぞれ城で渡すことになってる
その前にまず表彰式もある」
表彰式、ねえ。
人前か、大丈夫だろうか俺とシロ。
「とりあえず解散だ、さっさと帰れ」
<表彰式か....胸張りなよ、
君は世間的には国の救世主なんだから>
はぁ......。
ならお前はドラゴン密猟者か?
俺とシロは対人が苦手なんだ。
<胸張って言うなよ情けない
いいか?
今回の表彰によるメリットとデメリットをよく考えろ>
良くも悪くも名が売れるってことか?
<そう、君が各地を旅する以上、【名前】は看板になる
それにドラゴンスレイヤーの肩書なんて、どこへ行っても箔がつく。>
なるほどなぁ~。
確かに、俺がいろんなところに行く以上、『国を救った存在』なんて肩書、あるのとないのとじゃ全然違う。
<てことで僕が直々に作法教えてやるよ、>
いいのか?
<僕にデメリットないだろ、それに暇だしな>
てか、作法とかなんで知ってんの
<作法とか一般常識だろ>
そうなのか。
<そうだろ>
こいつに一般常識説かれるとかムカつくな。
◆◇◆
数時間後。
天才君とガーヴェは早々に帰り、俺たちはデューク達と話し込んでいた。
悪魔は退屈したのか、すやすやと眠っている。
そんな折、部屋の扉が開いた。
「あ~いたいた!
やっ、ドラゴン討伐お疲れ様〜」
「誰——って、図書館の司書さんじゃないですか」
扉の先にいたのは以前俺のことをいじってきた司書さんだった、急に後ろから声かけてきたあの人。
氷魔法のことについて聞いた人だ。
てかキャラ変わったな?
「何でこんなところに———」
「ん〜、
私の名前はメルシィ、って言えばわかります?」
メルシィ........というと、担当教官の内の一人、ドラゴン討伐当日に寝坊した人。
後ろを見れば、ステラさんとナラルティアさんが縮こまっていた。
——この人もなのか....。
どうやら今回の教官は例外なく『ヤバい』らしい。
「びっくりしました〜?
実は私、元冒険者でして
二人とも同じパーティだったんですよ。
今はそれぞれ別のことしてるんですけどね
ですが、今回みたいな緊急時には色んな国の色んな場所で呼ばれたりするんです。
本来なら私達の内の一人でもいいんですけど
なんせ相手はドラゴン、それに人の手によって召喚されたものですからね〜
みんな呼ばれちゃいましたね
あ、ちなみに私は普段いろんな図書館を回って色々お手伝いしています」
はぇ〜。
「で、メルシィさんはどうしてここに?」
「実はこの後三人でお茶するつもりだったんですけど、面白い話を聞きましてね~
ここに寄った次第です。
あ、そうですよ、お茶するんですよ。
元パーティメンバーだったとはいえ、この世界は広いですから
お互い好きなことばっかりやってたので、会うのは久々なんです。
合宿中もたまに会ったけれど、それどころじゃなくて話せなかったし~
だから結構楽しみなんですよ
それに加え君にも会えましたからね、今日は吉日かもですね」
テシリアさんとメルシィさんとイクサ様が三人で会う。
いわゆる女子会か。
にしてもこの人たち元冒険者でパーティ組んでたのか。
なんか、いろいろとすごいな。
にしても。
「前図書館で会った時とは雰囲気が違いますね?」
「まあ、図書館ではお静かに、って言うでしょ?
だから自重してたの、それに今日は気分もいいですからね
にしても君、あの悪魔と関係があるんですか?」
「メルシィさん、知ってるんですか?」
「ん~、私が知ってるのは、『君のお陰で生きながらえてるクズ』ってことだけですね、」
悪魔に対してだけ当たりが強い..........
まぁ悪魔はテシリアさん関係でなんかやらかしたらしいな....。
「あ、そうそう、本来の要件を忘れてました。
カエデ君、もといホロウのみなさん、呼ばれてますよ~
五階の応接間に客人がいるそうです
楽しんでってくださいね
それではまた表彰式で会いましょう
それと、くれぐれも悪魔に唆されないように」
「まぁ、はい」
そういってメルシィさんは急いだ様子で立ち去って行った。
あの人時間に余裕があるから話してたんじゃなかったのか?
かなりマイペースな人らしい。
「面白い人でしたね」
「お前ずっと黙ってると思ってたら、
そんなこと考えてたのか」
すっごい嵐みたいだった。
「やっとどっか行った......」
「ステラさん、苦手なんですか?」
「あの人の声耳に残るのよ、
訓練の時も集中力の向上って言ってずっと耳元で....」
なるほど....。
にしても客人か....。
誰だろうか、悪魔を憎んでるとかじゃないといいんだが。
わざわざ、ギルドで話すってことはギルドの関係者なのか?
よくわからんが、まぁ行くしかないのだろう。
「んじゃちょっと行ってくるわ」
「おう」
デュークに声をかけ、部屋を出る。
後ろにはシロとユーガもいる。
階段を上り、それらしい扉の前につく。
ドアの脇にはガーヴェがいた。
「お前達、くれぐれも余計なことはするなよ」
見慣れたはずのガーヴェが、別人のように緊張していた。汗まで浮かべている。
不穏な気配を胸に抱えながら、扉を開く。
「ご機嫌よう.....
ホロウ諸君」
ガーヴェ( ・᷄д・᷅ )「なんでまだいるんよお前ら....」
↑ミュウと関わりたくなくて悪態をつくギルマス
ガーヴェ( ・᷄д・᷅ )「おしゃべりしてただぁ?女かお前ら」
カエデ( ´•ω•`)「色んな意味で怖いこと言うな」
読んでくださってありがとうございます!
よければ感想などいただけると、とても励みになります。
お気軽にどうぞ!




