第二十八話 心を重ねる夜【後編】
***
柊と颯が語り合う、その頃。
――ふすまの向こう側では。
「美しき兄弟愛、ですわね♡」
「篝様のご助言で、共霊が成功したようですね。
さすが篝様」
ふすまに、ぴたりと耳を当てる灯と宵。
「こらこら、盗み聞きなんて良くないよ」
背後から、音もなく篝が現れた。
「篝様♡お身体の具合は、大丈夫ですの?」
「うん。二人とも、心配かけたね」
そう言って、二人の頭を優しく撫でる。
「……温かい、霊力だね」
小さく、感心するように篝は呟いた。
そして、ふすまの向こう側に目線をやる。
「共霊は、救う力なのか。
それとも、壊す力なのか」
ふふ、と口元を緩めた。
その笑顔に、宵と灯もつられて微笑む。
「答えはきっと、彼らが教えてくれるね」
***
Side:柊
「温かい……」
僕は、自分の手を見つめた。
身体中が、ぽかぽかしている。
僕の体温だけじゃない。
全身を包んでくれる、優しい温度。
『なんか、これまでとちげぇな』
脳内で響く颯の声が、いつもより近く感じた。
「うん。安心する感じ」
僕だけど、僕じゃない感覚が、
僕と君の感覚に変わっていた。
「颯」
『あ?』
「僕の中から、抜けられる?」
『……ん』
共霊の解除。
今まで一度も、意図的にできなかったことだ。
だけど、今ならできる気がした。
「ここに来て」
その瞬間、僕の身体から、
ふわっと、白銀の光が抜け出た。
――もう、大丈夫だ。
僕は、抜け出た颯と掌を合わせ、
そっと、霊力を送り込んだ。
触れ合った掌から、熱が伝わり合う。
「強くなろう」
僕は、颯をまっすぐ見つめた。
――『守れるのは強者だけ』
篝くんの言葉が、胸の奥深くに落ちていた。
『当たり前だろ』
颯も同じ熱を持って、僕を見ていた。
『アイツ、絶対倒すぞ』
戒。
まずは、あの男だ。
「うん」
もう、一人で立たなくていい。
君となら、進める。
読んでくださってありがとうございます。
明日から第二章です。
※次回更新:2月5日21時
第二十九話 迎えに来た異端【前編】




