訓練開始!カザロフ兵団副団長!その9
お疲れ様でございます
風が強い時って、大体季節の変わり目だったりします
もし私が女性に生まれていたら、ミニスカを押さえてヤダー、とか言ってたんでしょうか
見せたくはないが、スカートの丈は短くしたい ―――
この一見矛盾した動向について、少し考察してみたいと思います
さておき、本日のキララ、どうぞ
「なに?…コボルトごときが我等にケンカを売ってきただと?…」
ここはカザロフ南東部、魔犬達の縄張りである ―――
魔犬 ―――
この地域にいる犬種としてはカザロフスタン・マウンテンウルフと呼ばれている
2mを超える巨体、言語を扱う高い知能、崖を走り回れる身体能力を備え、時には群れで飛竜を捕まえて食っちゃうような、文字通りの魔犬である
「はい…どうやら我等を殺すのが目的ではなく、コボルト共に従って仕事をしろと言っているようです」
「…やれやれ、チビすけ共が随分バカにしてくれたものだな…そいつらを探し出して分からせてやれ。どっちが上か、とな。全部食うなよ?バラバラにして、その辺に散らかしておけ…」
「ワン!」
ガブリ (1979~存命 魔犬達の族長 一番でかい)
「ガブリ様、戦が始まるのでしょうか?…」
「戦?いや、狩りにすらならん。こっち来んなって教えて以上だ」
「そうですか…」
「ああ。まったく、食っても骨ばっかりで大して腹の足しにもならんから放っておいているだけなのに、あいつらバカだからたまに食われないと忘れるらしい。我々にちょっかいを出すとどうなるか、目にもの見せてくれる」
そうして数頭の魔犬が風のように走って行き、兵舎まで数kmといったところでフンフンと臭いを嗅ぎ始めた ―――
「…見つけたぞ。あのポチとかいう奴の臭いだ。あっちだ」
「他にも大勢の臭いがしますぜ?まずは近くまで行って様子を見ましょう」
「そうだな、他のヤツらに邪魔をされても面倒だ。ポチの首を取って帰って、何匹か食い散らかしてやれば十分だろう。ではコボルト共の巣を見に行くぞ」
そうして魔犬達が兵舎に近づいて行った時、ヌ゛ン!と密かに魔法陣の術式が走った ―――
「ウン?誰か踏んだな」
「どうしたワイス?」
「お客さんが来たそうだ。私の魔法陣を踏んだ。数は4…5か。四つ足の何かだ」
兵舎の中でテーブルを囲み、トランプでダウトをしていたワイス、ベルサリオ、アラン、アキラ ―――
ちなみに賭けているのは、それぞれの初恋エピソードである
「俺が行こう。どこだ?」
「13番だからあっちの方角だ」
「ア、じゃあ俺も行こうか?」
立ち上がったベルサリオに続き、アキラが立ち上がる ―――
「俺に着いて来れるのか?」
「問題ない。ちょっと後ろから見ている」
そうしてベルサリオが駆け出し、変身したアキラが飛んで着いて行った
数分後、ベルサリオはその魔犬の群れと遭遇した
「…なんだキサマは」
「魔犬か。この先はカザロフ兵団の駐屯所だ。何の用だ?」
ベルサリオが話している間にも、囲んで飛びかかる構えを見せる魔犬達 ―――
「キサマらを食い散らかしに来た。オマエが第一号だ」
「やってみろ。殺さないでおいてやる」
生意気な…
目つきが変わったリーダーの唸り声に呼応し、ジリジリと魔犬の群れが距離を詰める ―――
「かかれ!!」
同時に飛びかかって来た魔犬達に対し、回転しながら周囲に砂を撒くベルサリオ
「ウッ!」
目の中や鼻に入った砂のせいで怯んだ魔犬達が、顔を振りながら着地する
「やってくれたな小僧!この程度で我等が…って、ああッ!目が辛い!!」
「この砂にはトウガラシを混ぜてある。キャロライナ・リーパーという凶悪な辛さのヤツだ」
目も鼻も利かず、辛過ぎて悶絶している魔犬達 ―――
少しするとアキラがゆっくりと飛んで来た
「こいつらはどうする?」
「俺達を食い散らかしに来たと言っていた。俺はふざけやがって、と思った」
「だったらお仕置きだな。とりあえず全部絞めとくか」
スリーパーホールド ―――
手近にいた魔犬の頭を持ち上げ、ガッシリと首に腕を回すアキラ ―――
「…ちょ…待て…」
前足でガリガリ掻いて抵抗していた魔犬だったが、やがてガクンと力無く首を落とした
「アキラ、それはどうやるんだ?」
「ウン、首の左右にある頸動脈って血管をギュッと絞めて、血の流れを止めて失神させる技だ。喉まで絞めてしまうと反射的に暴れるから、こう肘の先をその位置に合わせてな…」
「こうか?」
ベルサリオが別の魔犬を捕まえてギュッと首を絞める
「そう、上手いぞ。もうちょっとで落ちる」
絞めていた魔犬の首がガクンと落ちると、なんか楽しくなっちゃったベルサリオ ―――
次々のその場にいた魔犬を捕まえては技の練習台にし、全部絞め落としてしまった
「良い腕前だな。騒がれると困る時には同時に口も塞ぐんだ。敵の拠点に潜入する時なんかに使える」
「なるほど。ところでこいつらはどうする?」
「ンー…放っとけば目を覚まして帰るだろう。多分また来るだろうけどな…そうだ、こうしてやろう」
一本のマジックを取り出したアキラは、魔犬達に逞しい眉毛、体には4WDの文字、お尻にTOYOTAと書いた ―――
「よし、こんなもんだろう。帰ろうか」
「その文字は何だ、アキラ」
「良い車だって書いてやったんだ。まあ分からんだろうけどな」
あんまり意味が分からないベルサリオであったが、とりあえず帰ってトランプの続きをする事にした ―――
後日譚・トランプ勝負 ―――
ワイス、ベルサリオ、アラン、アキラ、この4人でやっていたダウトですが、敗者ワイスで決着しました
同じカードを4枚揃えた者のダウトは必殺です
ベルサリオ、アランの話は多分面白くないと判断したアキラは、ワイスを狙い撃ちにしました
話を聞いてみたところ、ワイスは元はお貴族様のご令嬢、婚約者もいたそうですが気に入らない男だったそうです
ショットグラスのテキーラを空けて、カーッ、と息を吐いたワイス
そこからはワイスが普通に生きていた頃の思い出話が始まりました
要約すると、どうやら研究を重ねて飲んだらゾンビになる薬を作り、その男に飲ませて結婚を断ったそうです
ワイスの望みは、この研究が完成したらどこまで行っちゃうんだろう的な知的探求心を満たす事でした




