閑話休題!魔法中女プリティー☆彡キララ その2
すみません、本日はちょっと遅くなってしまいました
何をしていたかって?
ちょっとした人助けです
それでは本日のキララ、どうぞ
「ンッ、ンッ、…ンッ、ンンッ…」
喘ぐな気色悪い、目ん玉のくせに―――
ここはキララの家の、風呂場である
台所にあった食器洗い用のスポンジを新しく卸し、キララは現在、本に化けたグリの各ページを丁寧に洗っている
手触りからして、濡れて破けるような事は無さそうだ
羊皮紙か何かだろうか?
「ねえグリ、アンタって羊皮紙で出来ているの?」
「…んー?」
ダメだこいつ
すっかりヘブン状態であり、まともな受け答えは難しいようである
「…ああ、ぼくのページは、人間の皮だよ。羊皮紙と同じように、人間の皮をなめして紙にしてあるんだ」
…マジですか
私そんなもん洗ってたの?
この件については、深堀りしてはいけない
キララは考えるのを止め、遠い目をし始めた
「材料になったのは、生贄や敵を呪って死んでいった戦士だよ。ぼくは呪いの書なんだ。地獄の怨霊達を呼んだり、誰かを呪殺する方法が書いてあるよ」
あー、あー、
聞きたくありませんでした
その情報、要りませんからもう止めて
私今普通に触っちゃってるけど、そんなもん触って大丈夫なんだろうか
今夜あたりに何か出てくるとか、そんな事ないわよね?…ね?
「ちょっと、いたいいたい、キララ、優しく擦って?」
黙っていろ、目ん玉
さっさと終わらせたいんだよ
とんでもねー物触らせやがって
「ごめんねー、ここんとこの手垢、頑固にこびりついてるから。優しくじゃ落ちないの。我慢して?」
「…んー、じゃあ我慢するけど、なるべく優しくしてね?」
「OK了解、さっさと終わらせましょ」
そんなこんなで、現在は扇風機の風を当てながら、グリを1ページずつ乾かしている
キララはスマホでYoutubeを見ながら、グリのページが乾いたら、めくる
そんな作業を続けている
当のグリは、ご満悦である
このスッキリ感―――
まだちょっと濡れてて気持ち悪いけれど、それ以上に手垢がなくてサラッサラのページの感覚が、ヘブン
今夜のグリは、きっと良い夢を見るだろう
「…ねえ、グリ?」
動画を見る合間に、ふとキララがグリに話しかける
「…んー…なあに?」
グリは既に夢見心地だ
「私やアキラさんが戦う敵って、どんな相手なの?…私達、負けたら死んだりするの?」
「…うん、死ぬだろうね。挑んでくる敵を生かしておくような、甘い連中じゃないよ」
「…そう…分かった」
なるほど、これは戦争なのだ
私が生きて人生やり直す為には、戦って勝つしかないのだ
そもそもキララは、根性の出来が通常の人間とは違う
企業でのし上がる為に、多くの者の人生を奪ってきた
とっくの昔に、殺し合いには慣れているのである
相手がどこかで首を括るのが分かっていたとしても、キララは手を下す
グリのページが、乾いた―――
パラリと次のページをめくる
書いてあるページの、文字は分からない
だが挿絵を見たら、大体分かってしまった
「ねえ、グリ?これってひょっとして、呪った相手の心臓を破裂させる方法とか書いてある?」
日曜日が終わっちゃいますね
でも、私は一日が過ぎるのを、日々待っています
七夕まで、もう少しなんです
それでは、おやすみなさい




