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奴隷転生の俺、最弱ステータスを敵にコピーできるチート能力で王国最強へ  作者: 賢い兄者
第二章 快光へと続く道

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第1話「快光」

意識が戻った時、最初に感じたのは静けさだったが、それは安心できるものではなく、嵐が過ぎ去った後に残る不気味な静寂に近く、体を起こそうとした瞬間に走る鈍い痛みと重さが、自分がまだ“終わっていない”ことをはっきりと伝えてきた。


視界をゆっくりと上げると、見慣れない天井、粗い木材、簡素な造りの室内、王宮ではない、だがどこか整っている空間に、ここがどこなのかを考える前に一つだけ分かることがあった。


生きている。


その事実だけが、妙に現実感を伴って胸に落ちる。


「起きたか」


低い声が横から飛んできた。


反射的に視線を向けると、そこにいたのは見覚えのある男、第一章で一度だけ見た顔、瓦礫の中から現れ、戦場を一瞬で支配した存在。


ゼイルだった。


壁に寄りかかるように立ち、腕を組みながらこちらを見ている。


「……なんで、あんたが」


声は掠れていたが、それでもどうにか言葉になる。


ゼイルは小さく笑う。


「迎えに来た」


それだけだった。


説明も、前置きもない。


だがそれで十分だった。


頭の中で、第二章の最後の光景が繋がる。


王、カイル、あの言葉。


――快光に迎えさせる。


「……そういうことか」


呟くと、ゼイルは肩をすくめる。


「不満か?」


「……ないわけじゃない」


正直に言うと、ゼイルは楽しそうに笑った。


「いい顔してるな」


そう言って一歩近づいてくる。


その足取りは軽いが、隙はない。


あの時と同じ。


強者の動き。


「王国にはいられねぇ、お前はもうあっちじゃ“使えねぇ駒”だ」


淡々とした言葉。


否定はできない。


事実だからだ。


「だからこっちに来いって話だ、単純だろ」


確かに単純だった。


だが、それだけじゃない。


「……利用するためだろ」


視線を外さずに言う。


ゼイルは一瞬だけ目を細めた後、すぐに笑う。


「当たり前だ」


即答だった。


「俺たちは強い奴しかいらねぇ、弱い奴は使い道があるかどうかだけだ」


はっきりしている。


だからこそ分かりやすい。


「で、お前は」


少しだけ身を乗り出す。


「使える」


断言だった。




その時、部屋の扉が開いた。


重くはない。


だが存在感のある音。


振り返ると、そこに立っていたのは大きな影だった。


ガルド。


天井に届きそうなほどの体格、大剣を背負い、こちらを一瞥するだけで空気が重くなる。


「こいつか」


短い言葉。


それだけで評価が低いことが分かる。


「弱ぇな」


はっきりと言い切った。




「……」


何も言い返せない。


事実だからだ。


だがその瞬間、別の気配が滑り込む。


気づいた時には、ベッドのすぐ横に一人立っていた。


小柄な影。


ミア。


音もなく現れ、こちらをじっと見ている。


何も言わない。


ただ、観察している。


値踏みするように。




「魔力、低いですね」


最後に聞こえたのは落ち着いた声だった。


部屋の奥、窓際に立っていた男、レクトがこちらを見ている。


視線が鋭い。


全てを見透かすような目。


「十五、ですか」


言い当てられる。


背筋が冷える。


「なるほど」


小さく頷く。


「それであの結果ですか」


評価が変わる。


ほんの少しだけ。




四人の視線が集まる。


強者。


完成されたパーティ。


その中心に、自分だけが異物として存在しているのがはっきりと分かる。




「決めろ」


ゼイルが言う。


「来るか、来ないか」


選択肢のようで、選択肢じゃない。


戻る場所はない。


逃げ場もない。


あるのは。


前だけ。




「……行きます」


答える。


迷いはない。




ゼイルは笑った。


「いいねぇ」


満足そうに。


「じゃあ今日からお前は快光だ」




その一言で、全てが変わる。


立場も、環境も、戦う場所も。

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