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鉄血女帝アナスタシア 第五十二話

今日は天長節ですね。めでたい

「本当にいろんな事に詳しいのね、蒼龍。あなたが生きていた時代の兵器だけじゃ無くて、もっと昔の兵器についてこんなに知ってるとは思わなかったわ。これもリリエルさんのチートなの?」


 蒼龍は私に会ってから今日のことを想定して設計図を作ってくれていたらしい。1940年頃の日本の兵器で、1913年のロシアの技術に蒼龍の知識を加えて作ることの出来るギリギリのラインなんだって。でもそのままの設計図じゃ無くて航空機に関しては大学や日本軍(自衛隊)で勉強したことを反映させてるからオリジナルと比べてほとんど別物らしい。部品の共通化や工数削減の工夫をしているから、信頼性や生産性はオリジナルより高いそうだ。翼型も大学で研究したナントカカントカ型って言うのを採用したって言ってたわ。それに航続距離は短くなるけど自動防漏燃料タンクにしたから安全性もばっちりだって。もう“ワンショットライター”なんて呼ばせませんよって自慢げに言うけど、私、オタクじゃ無いから何言ってるのか全然解らないわ。ほんとオタクって面倒ね。


「ナナヨンは電子機器が無いので劣化版なんですけどね、航空機の性能はオリジナル以上です。前世の父親がミリタリーオタクの機械マニアだったんですよ。兵器に関する書籍や資料は図書館が出来るんじゃ無いかってくらい収集してましたし、それに、小さい頃から父親と一緒にガレージでエンジンを分解したり改造したりしていましたからね。兼業農家だったからトラクターやコンバインの操作や修理にも詳しいんですよ。それにヤンコフスキー家の工場で高品質な真空管やその他の電子部品を製造できるようになったのが大きいですね。真空管を使って高周波焼入れ装置を作ることが出来ましたから。この装置が有るか無いかで鉄の強度がぜんぜん変わってきます」


 蒼龍のオタク気質ってお父様譲りなのね。ミリオタの機械フェチでアニオタ・ドルオタかぁ。話を聞くだけでお父様も相当なオタクだわ。絶対お知り合いになりたく無いタイプね。


「大型のラジコン飛行機も良く飛ばしましたから、星形空冷エンジンにも詳しいですよ。今回提供した設計図通りに作れば離昇出力1900馬力、高度8000mでも1600馬力が狙えます。“ボクの考えた最強のレシプロ戦闘機”の完成ですよ」


 蒼龍が公開してくれた技術は本当にすごい。この高周波焼入れ技術も窒素肥料合成技術も特許は申請したのだけど、本当に安いライセンス費用で全世界に公開しちゃったわ。これで劇的に農業生産が向上するはずよ。日本の弘田先生に開発してもらった抗生物質やその他の医薬品も“ザンギエフ先生の功績ですから”って特許を無償公開してくれた。世界中で抗生物質の生産が始まりつつあるわ。これでもし欧州大戦が始まったとしても、ケガで死ぬ人を少なく出来るかもしれない。少しでも未来有る若者を助けたいの。


「蒼龍の前世では、蒼龍くらいの知識を持った人は多く居たのかい?その、なんだか別の世界の話のような、いや、別の世界なんだろうけど」


 うふふ、ルスランが顔をまっ赤にして蒼龍に話しかけてるわ。なんて可愛いのかしら。


「ルスラン、蒼龍は日本の東京大学を次席で卒業しているのよ。世界でもトップ20に入る大学の次席だから、同じ年齢だけに絞ると世界で上位100人に入るくらいの頭脳の持ち主なのよ。それに頭脳だけじゃ無くて体の方もすごいのよ!あ、変な意味じゃ無くてね、サッカー技術はこの時代なら間違いなく世界最高だし、あらゆるスポーツや格闘技も達人レベルなの。どう?こんなヤツでも実はすごいのよ」


「アナスタシア、“こんなヤツ”は余計ですよ」


「蒼龍・・・、そんなすごい人だったんだね」


 ルスランがものすごい尊敬の眼差しで見てる。もうこの二人結婚しちゃえば良いのに。あ、でもそうすると本来結婚するはずだった和美さんはどうなるんだろ?まあでもまだ出会っても無いから考えなくてもいいのかな?


「そうそう、ガングート級戦艦4隻の空母への改装工事が始まったって報告が来たわ。海軍の将官達はかなり反対していたけど、勅命で押し切っちゃったからね」


 露日戦争で大部分の海軍力を失ったロシアは、慌てて戦艦の建造を進めてるのよね。同時に4隻も。露日戦争で国庫は逼迫してるのになんてバカなことをしてるのかしら。まあおかげで欧州大戦までに空母を揃えることが出来そうなんだけど。先日まで艤装工事の最中で来年秋頃の竣工を目指してた。主砲を乗せる前だったから改装工事も短期間で終わるんじゃないかしら。でも、改装の設計図を持って行ったとき“空母って何?”って感じだったわね。海軍軍人なのにそんな事も知らないのって思ったけど、まだこの時代にはイギリスにも空母って無いのね。知らなかったわ。


「世界初の本格的な航空母艦ですね。甲板長193メートル甲板幅34メートル、しかも4隻です。一隻当たりの搭載機数は40機ほどですけど、今の時代ならこれだけで七つの海を支配できますよ」


 あー、また蒼龍がいやらしい笑みを向けて来るわ。私が世界征服なんて興味の無いこと知ってるくせに。


「そうね、それはいいかもね。私、この時代に戻ってきてつくづく感じるのは白人の人種差別意識の醜悪さなのよ。白人同士でも私たちスラヴ人は一段低く見られてる。白人の次がアラブ人でその次が東洋人、そして黒人やインド人は人間扱いさえしてもらえていない。ルスランだって最初は日本人のことを野蛮人って言ってたからね」


「こ、皇帝陛下、そ、それはお許しいただきたい。私が無知で蒙昧だったばかりに・・・・」


 ルスランがシュンってなっちゃった。別にいじめてるわけじゃ無いんだけど、そう言う差別意識が私たち白人の普通の感覚なのよね。


「肌の色によって差別するなんて不合理きわまりないですよ。その意識に拍車をかけたのがダーウィンの進化論っていうのも皮肉な物ですね」


 生物は環境に適応して進化したり淘汰されたりすると言うのが進化論の骨子だ。白人達はその進化論が天啓に思えたのよね。ヨーロッパの環境に適応して頭脳と肉体を進化させたのが白人で、アフリカやインドの熱く厳しい環境に適応して肉体だけ丈夫になったのが有色人種なんだから、頭の良い白人が有色人種を支配するのは科学的に正しいって。


「私が世界を支配して、武力によって平和と平等と民主主義を押しつけるのもいいわね。蒼龍が実現してくれた20世紀後半の世界じゃ人種による差別なんて本当に無かったから。戦争も飢餓も過去の物だったし、犯罪もほとんど無かったのよ。世界中全ての人が高等教育をきっちり受けて豊かになったのが大きいわね。でもごく希に犯罪をする人も居るんだけど、その対策で町中のあらゆる所に防犯カメラがあって顔認識や体格認識で誰が何処にいるか全て監視してて、表情や行動パターン、通話やSNSの内容から犯罪を起こしそうな人には事前に適切な治療が施されてたわ。すごいでしょ」


「アナスタシア、それ初めて聞きましたけど結構なディストピアじゃないですか?」


「そうかしら?普通に生活してたら関係することは無いんだし、民主的な手続きで決められたことなんだから良いのよ。ロシア国内の殺人事件も年間7000件くらいあったんだけどシステム導入後はほぼゼロになったからね」


 武力によって民主主義を押しつけるのは冗談としても、有色人種を差別意識によって支配しているこの状態は一秒でも早く解消したいわね。その為にはやっぱり欧州大戦で圧倒的な勝利を収めて、力によってイギリスやフランスから植民地を解放するのが良いのかも。私の知ってる歴史だと日本はそんな感じで英仏の植民地支配を諦めさせたからね。


 力による平和かぁ


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― 新着の感想 ―
私が子供のころは、「ソ連の科学、医学は世界一!」って感じの言説が結構有りました。まだあどけない子供だった私は素直に信じておりました。まさにプロパガンダだったのですね…。 アナスタシアのリアル進歩ロシア…
アメリカの役割をロシアがやるのかな。
更新お疲れ様です。 この時間軸では、医学でも科学技術でもロシアが最先端の国になりそうな感じですね(笑) それにしても、ダーウィンの進化論が人種差別を後押ししていたとは知りませんでした。 前世の差別の…
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