睦言:『婚姻の儀』②
お色直しも済んだ後の翌日、本当に内輪だけのお披露目ということで『はるちゃん』も御簾を使わず、団欒した。ここでの『祝膳』は『阿波のもの』をふんだんに使った膳だ。
とりあえず、チキン系を使ったものがメインになった。
メインは『チキン南蛮』。マヨネーズが作れるようになったのでタルタルソースもどきも作れるようになった。
デザートはチーズケーキだ。レアは食べたかったけれど、冷蔵ができなくて無理だった。
とはいえ、フレッシュチーズはどうやって作ったか。実は京都には天皇家のための御用牧場(乳牛院)というものがあるらしい。そこで、『はるちゃん』が『近衛邸』に移る前に主上に所望してくれたのをわけてくれた。
それとお酢でフレッシュチーズを作って、ケーキを焼いてもらった。砂糖はまだなくて、使ったのは楓砂糖だ。頑張ってくれたよ、阿波の料理人さん達。
ふわふわっとしたスフレチーズケーキ。牛乳の量の問題で大きいのは作れなくて小さいものになったけれど。美味しかった。
女性は甘いものが好き! はどの時代も同じらしく、『はるちゃん』は目を輝かせていた。
皇女様とはいえども普通の女の子と変わらない。そんな風に迎え入れた『近衛家』の皆も実父の海雲も『はるちゃん』を見る目は優しい。
ただし『はるちゃん』に『よし様』呼びされた時は、海雲が吹き出しそうになったのを我慢してたのにはちょっと納得いかない。いいじゃん、別に。
本来は『長慶』というのは諱になるはずだったんだけど、お上から『稀仁』という意味なをいただいたので、『長慶』はミドルネームぽくなってしまい、普段使いになっちゃったのだ。
なので『孫次郎』でもあり『長慶』でもある。通称はどちらでもいいらしい。
ただし、まだ十一歳の小童には変わりないので『千熊丸』と海雲には呼ばれている。
『孫』ができるまでは『千熊丸』と母にも言われてる。
いわゆる『息子』ができたら『千熊丸』を引き継がせるってことらしい。
『近衛』であっても『阿波三好』ということなのだろう。
子供か… 子供を含む直系子孫(嫡子)に関しても主上から『娘』は『皇家』もしくは『公家』に嫁がせよ。と言われた。その代わり、『宮家』から嫁達がくるらしい。自分もだけど、子孫もガッツリ囲い込まれるってことなんだろう。
自分の世代で作ったものもだけど、『はるちゃん』が持ち込んだ『石板』や『未来記』? の写しを管理しなくちゃならなくなったから、責任重大だよね。
しかも『源氏物語』まで、渡されているらしい。それって、国宝じゃないの? 『皇家』にあったやつでしょ?
他にもいろいろある? ん〜 管理どうしようかな。贅沢かもしれないけれど、色々ありすぎて頭を悩ませちゃうよ。
と、まあ、これが『婚姻の儀』のあらましだ。
そうやって、数日のんびりと過ごした後、四国への下向ということで、『はるちゃん』と一緒に主上にご挨拶する為に参内することになった。




