孫次郎『長慶』くんの『元服』
第三章開始。先行して2話UPします。
千熊丸くん、ついに11歳で『元服』しました!
三好千熊丸。三好孫次郎元長の嫡子として大永二年二月十三日に生まれました。あ、西暦で言うと1522年3月10日。魚座でーす!
今日、1533年11月10日、十一歳で『元服』して『大人』の仲間入りです!
ちなみに『烏帽子親』は『近衛様』こと『近衛稙家』様。現在、今日の『近衛家』に父、海雲と共にいます。
『元服』を終えた後、そのまま『猶子』の手続きのようです。
実は一週間ほど前から上京して、訓練受けてます。
何の訓練? 今上様(後奈良天皇様)にいろいろご挨拶しなければいけないので、失礼がないように作法やしきたりを覚えないといけないのだとか。
長慶おじさんも久しぶりだから復習兼ねて真剣に学んでます。
しかも与えられる冠位はなんと『正二位』!
おそらく『元服』直後の小童に贈られることなんてありえない冠位。右大臣、左大臣、『将軍』に与えられる官位。
しかも『非参議』。こうなると名誉職みたいなものらしいんだけど。それにしたって、いきなりやばいよね。
長慶おじさんの方がショックが大きかったよ。
命かけて、人生かけて戦国の世を生き抜いた長慶おじさんですら従四位下。
それを考えれば… ってことらしい。『令和のおばちゃん』から見ると今ひとつその価値がわかんないよ。ごめん。
本当はありがたき幸せって言わなきゃいけないんだろうけれど、どうしても面倒ごとに巻き込まれそうで素直に喜べない。
まあ、でも『阿波三好家』、『家族』を守るためなら、頑張るよ。
因みに元服後の名前は、一応『稀人』優遇で自分で決めることが許された。
なので史実に基づいて『三好孫次郎長慶』とさせてもらった。
『猶子』になった後は『近衛孫次郎長慶』。『近衛』といっても皇女様が降嫁後、分家を作って『阿波近衛家』になるのだそうだ。
『皇女様』『王女様』『公女様』が孫次郎の奥さんになるらしいんだけど、実は成人、女性の場合は『裳着』の儀式を終えてからということになっているらしい。
なので今回は自分より三歳年上の『皇女様』のみがお輿入れだ。
現在十四歳。子供じゃん。
孫次郎は形上『元服』はしたけれど、身体的には子供だ。なので子作りはまだ先のことになる。
本当は『元服』の時、前髪落とすらしいのだけれど、まだ子供ってことと一応『公家』になるので月代とかしなくていいと言われた。
よかった!
兜被ると蒸れるから、そっちの方がいいらしいんだけどね。
父、海雲は在家出家ということで剃髪してる。髪がなくても整った顔してるから、令和でも通じそうな気がする。
まあ、そんなこんなで何とか『元服』を終えた。祝いの膳の食材は『阿波三好』から大量に持ち込まれた。
本当なら『阿波』で家族や身内や家臣たちとの『祝膳』になるはずだったんだけどね。仕方がないけどね。
さあ、その『祝膳』。由緒ただしきものにしようと思ってたんだけど、義父のリクエストで『阿波三好』で新たに作られたメニューを食べたいと言われた。
えっと『令和の洋食』なんですけど。『お公家』さんて『肉食厳禁』じゃないんですか?
仕方がないから鶏肉料理メインにした。
鮮魚も本当は海の幸で持ち込みたかったんだけど。保冷ができないからね。
異世界なら魔法が使えるんだろうけど、ここじゃダメだった。やっぱり干物か塩漬けかなあ。
乾麺が作れるようになったから、スパゲティーもどきも作れるようになった。まあ、それも一品。
あ、料理人達は阿波から連れてきた。リクエストがリクエストだからね。
阿波の職業訓練所には料理人コースがある。食品衛生管理も徹底させたかったから。結構人気があって、ここを卒業できたら『お食事処』始めてもいいってことにしている。
連れてきた料理人もそこの卒業生達だ。『近衛』さんちの台所をお借りしてあれこれ料理を作ってくれた。
阿波ではすっかりお馴染みの『照り焼きチキン』『鶏の唐揚げ』『里芋のポタージュ』『マグロの燻製とほうれん草の和風スパゲティー』『栗と蜂蜜の栗きんとん』
などなど、一風変わった『祝膳』を振舞った。
『近衛家』の皆さんも初めて見る料理に驚きつつも喜んでくれた。
この時点では歴史で有名な近衛前久はまだ生まれていない。
元関白の『大証様』(近衛尚通様)にはお祝いしていただいた。
最初怖いお爺さんだと思ってたけど、脳内の長慶おじさんはいたく感動していた。それが伝わったのか、気に入られちゃったよ。
年齢に比べて新しもの好きみたいで、うち『阿波三好家』から『近衛家』への『貢物』はとても面白いと喜んでもらえているみたいだった。
『羽毛布団』や『こたつ』も。寒い冬には重宝しているそうだ。『阿波酒』もお気に入りだとか。
『祝膳』にしても味付けや調味料のこととか、『燻製』の方法等質問が多い。
どんどんイメージが好々爺になったいく。
そんなこんなで数日が過ぎ、いよいよ『主上』に拝謁する日が来た。




