エピローグ
世界から日本が消えた、その一〇〇年後。
現在二一八〇年。ここは【日本国東西議事堂】の跡地。その周りにはたくさんの人が集まっていた。
「お集まりの皆さま。司会を務めさせていただきます、人工知能を搭載したアンドロイド・ゼウスと申します。これより、“二〇八〇年国際的ウイルス感染症撲滅記念式典”を開催いたします。開催にあたり、この時代に活躍した主な人物四人を称えようと記念像を設置いたしました。それでは、テープカットのご準備を…」
オーケストラの演奏が始まり、数名が前に現れた。そしてゼウスの合図により、テープが切られた。
「ここに現れました四人は、自らを犠牲にしながらも、地球を救った人物です。そして中央にいる女性は、我々人工知能に最後の希望を託した人物、安藤真理子様です。彼女は自らの業績である、研究・分析結果を私のメモリーカードに記録しました。そして、浄化が始動し日本が落ち着いた後、私は自身を起動させました。その時にこのメモリーカードに気づきました。私はこのメモリーカードを解析し、安藤様の最後の意志を受け取りました。このビデオを今、新たな新人類の皆様にお見せいたします」
彼が、ホログラムを起動させると、最後の瞬間を記録した真理子の姿、共に活躍した西条、朋子、大道寺たちの姿がそこにはあった。
そして、映像が流れ始めた。
『今日は二〇八〇年八月一〇日、火曜日。あと数分で日本が終わります。私は安藤真理子。研究員です。もう一人、西条隼人という男性がいます。私と彼は、この時代に起きたウイルス感染の被害を研究し、目の当たりにしました。ウイルスの正体はラルドウイルス、薬は完成しましたが治療の効果を確認する術はありませんでした。今までの研究、分析結果も添付してあります。もし、いつの日か人類が誕生し、日本が再建された日が来たなら、これを見てください。事態発生から今日までの全ての出来事を記しておきます…事態が発生したのは…』
そこから真理子の映像は一〇分に渡り、流れ続けた。
「安藤真理子様…あなたが望んだ世界、私が造っていきます…ご覧ください、今の日本を…」
ゼウスはそう言うと、両手を前へ広げる。辺り一面の草原、鳥や昆虫、小川が流れ、木々が生い茂る。ゼウスの目の前には数百人の人間が存在している。皆、清々しい表情でゼウスを見つめていた。
神が人類を創ったという。神によって創られた人類が人工知能を造った。その人工知能により日本は消えた。そして今、人工知能たちが新たに日本を再建し、人類を誕生させていった。
ある学者が考案し、人工知能が実行した三つの計画。それにより地球温暖化は進行を止まった。あの時爆発した二つ目のオゾン爆弾、それは地球にとって必要なものだった。
爆発したオゾンは地球を包み込み、太陽からの有害な紫外線を吸収した。
そしてまた、昔のような木々や動物で溢れた世界が戻った。
どこからか笑い声が聞こえる。ゼウスが空を見上げると、真理子たちの笑顔が空に映った気がした。
「安藤真理子様…あなたが創ったラルドウイルスに対する抗ウイルス薬、あれはあなたの希望通り“ルークス”と名付けました。そしてあなたの言う通り、パンドラの箱に最後に残ったのは希望でしたよ。あなたの最後の希望、確かにこのゼウスが受け取りました。これからの人類が光り輝き、希望に満ち溢れるよう、私にお任せください…」
ルークス…ラテン語で光をさす。真理子が最後にゼウスに託したもの。それはこの地球の希望…光だった。
長い話でしたが、最後まで読んでくれた方、本当にありがとうございます。
初めての作品にしては、まあまあの出来だったかと自負しておりますが、読み返してみるとやっぱり拙いですね…。
次作品も考案していますが、それは拙い文章にならないよう努力していきます。
今回の物語の中で解かれていない謎…。
それは“もうひとつの物語”の中で謎解きをします。
長らくお付き合いいただきありがとうございました。




