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ルークス~最後の希望~  作者: 文月ゆら
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第三章 奪還⑤

「総理、プロメテウス計画が進んでいます。これ以上進行すると…もう…」

「…二人とも、老いぼれのわがままとして、頼まれてくれないですか…?日本の、いや地球の危機なんだ…」


 総理にそこまで言われると、断れない。

 そう思った二人は条件を出し、頼みを聞いた。


「よし、分かりました。男に二言はありません。それで…二人の条件は?」

「まず一つは、今回のラルドウイルスによる感染者、例の施設にいる感染者たちの状態を把握したいんです。なので、施設にいる感染者を隔離し、観察ができる場所を確保してください。地下は…新田さんによって破壊されたので…。出来れば、研究と治療が同じ場所で出来るように…」


「分かりました。確保しましょう。ところで…破壊って……」

「あ…幹部たちを説得しようと…その…ラボに仕掛けた爆弾を…」


 ラボに仕掛けた爆弾を爆破させ、感染者が地下から出てきた。そして条件付きで射殺…と言うことは、感染者はもういない…。西条は朋子に聞いた。


「あ、あの…ラボに爆弾を仕掛けてそれを爆破させたんですよね。と言うことは、感染者たちは…」

「感染した職員たちは…亡くなってしまって…あ、でも、キャリアの女性は無事よ…?爆弾を仕掛けた時に、彼女だけ避難させたから」


 朋子は笑顔で言った。そう言う問題じゃない…と西条は突っ込みたかったが、ここは抑える。キャリアの女性が生きているのなら、薬は作ることが出来る。それに、経過の観察も可能だ。


「女性が無事なら良いです…。それと、二つ目の条件です。研究や治療、総理の頼みは聞きます。なので、それ以外の行動に干渉したり、行動に制限だけはしないで頂きたい」

「うん、分かりました。私はこの関西が無事で、地球がこれ以上悪くならなければいい。あなたたちの条件は飲みます。では、契約成立ということで…」


 大道寺は右手を西条に差し出した。西条もまた、その手を強く握る。

 西条の隣にいた真理子は、その様子を見てまた大変なことになったな…と心の中で思っていた。


 今日はゆっくり休みなさいと、総理は二人に部屋を用意した。

 温かいシャワーを浴び、温かい食事をとる。そして温かい布団で眠る。

 それがこんなに嬉しく、ありがたいとは思わなかった。

 二人は長い間に蓄積した疲れを、久しぶりにゆっくり消化した。


 翌朝、朝食をとったあと総理から話があった。

 研究所と治療、観察ができる場所を確保できた。あとは研究所のメンテナンスをするだけだとのことだった。


「今日は彼女についていき、我々の施設や計画を聞いてくると良い」


 そう総理に言われ、西条たち二人は朋子と一日を過ごすことになった。

 議事堂の横に併設されている一際大きな建物。それが真理子たちが仕事をする場所だった。総理直属の精鋭部隊・PSBCのメンバーを紹介され、彼らの任務やこれから自分たちが活動を行うことになる拠点など、さまざまな説明を受けた。


「彼らがPSBC、つまりPrime minister Special Best Corps のメンバーね。左から、佐伯君、中崎君、半田君、佐々木君、安田君。彼らは元々は警察組織のメンバーだったんだけど、事態が発覚した際に総理が自ら選抜した。そして、このチームを作った。ちなみに、このチームの隊長が佐伯くんね。それともう一人いるんだけど、今はここにいないみたいだから、また後で紹介するわね」


「佐伯です。初めまして。お二人のことは聞きました。とても優秀な研究員だそうで。我々がお二人をお守りしますので、ご安心を」

 

 施設の隊員たちとは異なる雰囲気に、少し戸惑う二人。朋子がそれを察したのか、活動の場となる場所を案内する。


「そしてここが私たちの主な活動場所。あの施設に比べると狭いけど、別に区切られてるわけではないし、所員たちとの会話も制限なし。むしろ、情報共有はうちのモットーね」


 朋子の言う通り、ここでは誰もが会話し、笑い合っていた。本来の人間の姿を垣間見た気がする。施設では仕事内容について話すことは禁じられていたからだ。


「俺とマリちゃんの場所は…」

「私もまだ聞いてないわ。でももうすぐ教えてくれるんじゃないかしら。それよりも西条君…一つ聞きたいんだけど…私のこと、疑っていたわよね。気付いてたの?」

「ええ、まあ…」

「いつから…?」

「気づいたのは、本当に最近です。実は少し前から、怪しい行動をしてるなと思っていて…で、たまたま電話をしているのを聞いて。それから、色々と考えてたら実はガイアの仲間なんじゃないかって」

 

 朋子は「なるほどね…。さすがだわ」と感心した。真理子も関心の眼差しを西条に向けていた。

「新田さんっ!」

 誰かの声が聞こえ、朋子は振り返る。 

「飯田君…走らないの。また転けるわよ?」

「大丈夫ですよ…。それより来てたんですね?」

「ええ。この二人が例の二人よ。今日から私たちと共に仕事をすることになったの。まあ、色々と教えてあげて?」

「はい!了解です!僕は飯田です。お二人、お名前は?」

 飯田のテンションに引きながらも、二人は自己紹介をした。

「よろしくお願いします!あ…新田さん、総理がお呼びでしたよ。何でも、お二人の研究所のメンテナンスが終わったとか。部屋で待ってると…」

「そう?ありがとう。じゃあ、行きましょうか」


 二人は飯田に軽く会釈し、朋子の後を追った。

この辺りの話は平和ですね…

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