タコさんウインナー
次の日。
学校。
クラスはちょっと騒がしかった。
クルミと美波さんが女子グループの中心にいた。
「美波さん、髪すっごく奇麗」
「うんうん、朽木さんと同じくらい奇麗」
「二人ともとっても素敵」
「何かしてるの?どうやったの?昨日まで普通だったのに」
「二人ともサラサラー」
女子グループは色々質問していた。
クルミと朽木さんは。
「そうかなー?あたしは別にいつも通りだよ」
「そうだよ、前からミカの髪は奇麗だったし」
褒められて嬉しそうな顔をしながらも。
無茶な答えを返していた。
その証拠に。
「うそだー。絶対昨日より奇麗になってるよ」
「全然違うよー」
「うんうん。私もそう思う。二人も髪の毛すっごく奇麗」
追求されている。
まぁ、そうなるだろう。
しかし、クルミも美波さんも満面の笑みで適当に流していた。
そんな光景を・・・
俺はいつものように親友タカシと見ていた。
「なぁー、隼人っち。美波さんの髪きれいじゃね?すっごく奇麗な黒髪」
「あぁ、まぁ、そうだな」
「奇麗な黒髪は貴重だしー」
「だな」
「あんれー。隼人、あまり美波さんに興味なし?」
「別に、普通だよ」
「まぁ、隼人には奇麗な彼女、朽木さんがいるからな。
朽木さんの黒髪も奇麗だから、美波さんはどうでもいいか・・・」
「いや、別に・・・奇麗だとは思うよ」
「だよなー。朽木さんも奇麗になったし、美波さんの髪よくなった。
女子はどんどんかわっていくな。奇麗になっていく。俺らはあんまり変わらないけど」
「だなっ」
のどかなクラス風景だった。
気のせいか、俺は時折美波さんと目が合った気がした。
俺と目が合うと、彼女はニコッと笑うので、俺も笑みを返す。
多分、偶々だろうと思い。
あまり気にする事はなかった。
◇
放課後。
空き教室。
室内には俺とクルミ。
クルミはスマホを弄っている。
「ねぇー、隼人、この人と私、どっちが奇麗?」
むむっ。
めんどくさい質問をされた。
「えっ、うん、勿論クルミだよ」
俺は数学の宿題をしながら適当に答えた。
最近、数学の宿題が増えたのだ。
「もう、ちゃんと見てよ、ほら、このモデルの人と私、どっち?」
クルミがガっと俺の視界にスマホを進入させてくる。
強制進入されたので。
俺は宿題をやめて画面を見る。
うーん。
奇麗なモデルさんだ。
所謂モデル体系で、手足がすらっとしていて長い。
顔を整っていて奇麗。
「ねぇー、隼人、私とどっちが奇麗?」
いやー。
これ完璧モデルさんでしょ。
クルミは奇麗系じゃなくて、かわいい系だから。
でも・・・答えは違う。
彼氏として求められている答えはまったく違うのだ。
「勿論クルミの方が奇麗だよ」
「ありがとうー。でも、嘘言わなくて良いよ。ちょっぴりこの人の方が奇麗でしょ?」
むむっ。
なんだ。
ひっかけか?
妙な同意を求められる。
こういう時はどう答えれば・・・
少し考えてから。
「まぁ、世間の人はちょっぴりそう思うかも。でも、俺はクルミの方が奇麗だと思うよ」
「だよねー。やっぱり、私、もうちょっと胸大きい方が良いかもね」
うん
それには賛成だ。
今はBカップだからね。
日本平均より小さい。
「じゃあ、大きくする。一回大きくしてから日にちもたったし」
「いいのー?隼人、してくれるの?」
「あぁ、まぁ、別に良いけど」
「なら、お願い」
俺は勉強を中断するというか、やめる。
スキルを使った後は、疲れて勉強どころじゃなくなるから。
ささっと鞄に勉強道具を詰める。
こういうのはスキルを使う前にやっておいた方が良い。
少しでも労力を減らしたい。
「じゃあ、胸触るよ。B→Cにする感じで」
「うん、おねがーい」
ワサッ
俺は両手でクルミの胸を触る。
Bカップなだけあり、手にはちゃんと胸の柔らかな感触が伝わってくる。
そして。
祈るっ!
『クルミの胸、大きくなーれ』
『クルミの胸、大きくなーれ』
『クルミの胸、大きくなーれ』
・・・・・
10回ほど祈ると。
「うわぁっ、前と同じ感覚。胸がじわじわしてきた」
「だな、手の中に生命の躍動を感じる」
しばらくすると・・・
胸の動きが止まる。
「よし、上手くいったみたいだ」
俺が手を離すと。
クルミは服の中を、自分の胸を見始める。
「やったー、大きくなってる。これで平均値~♪」
「そうだな。やったなクルミ。平均的な女の子になれたぞ」
俺はどっと疲れと空腹になったので。
鞄から栄養食品とエネルギードリンクを取り出す。
きゅるるるるる~スポンっ!
ゴクゴクゴク
栄養を摂取した。
「ありがとー隼人、大好きっ!」
ギュ
俺はクルミに抱きしめられた。
大きくなったクルミの胸が顔に当たり。
疲れが少し癒された。
にしても。
絶壁だった胸が、今やCカップか。
成長したものだ。
前は抱きしめられても、胸の存在を確認できなかったからな。
とっても嬉しいし、達成感を感じる。
「隼人、今日はあたしがお弁当作ってきたの。一杯食べさせたあげるね」
「ありがとー」
クルミは鞄から弁当箱を取り出し。
タコさんウインナーをハシでつまみ、俺の口の前に。
「はい、あーんして、あーんだよぉ」
「あーん」
パクッ
俺はタコさんウインナーを食べた。
モグモグ
しょうゆ味が香ばしくて上手いっ!
「いっぱいあるからねー。遠慮しなくて良いよ。はい、あーん」
「あーん」
パクッ
俺は弁当を食べるのだった。
うむうむ。
美味なり。
クルミの料理、彼女の手料理は上手い。
空腹と疲れが癒されていった。