妹の友達
家に帰ると・・・玄関には複数の靴。
見た感じ女の子の靴だ。
また妹の友達が来ているのだろう。
俺が2階に上がると・・・
「隼人お兄様っ!」
ドカドカドカ バシュ
あんっ?
うおっほっ!
びっくりした・・・いきなり抱きつかれた。
すっごい勢いでタックルされたので、押し倒されるかと思った。
心なしか、森であった野良犬のタックルより鋭かった気がする。
侮れんな・・・・この子。
猛獣に比肩するとは・・・末恐ろしい。
「えっと、アキちゃんかな?」
「はい、お兄様っ」
アキちゃんが頭を俺の右手に近づけてくるので・・・
ポンポン
ついついいつもの癖で撫でてしまった。
やわらかい髪の毛だ、っと感じていると。
あっ。
すぐに気づいた。
しまった。
昨日妹と約束したんだった。
妹の友達の頭は撫でないと・・・
俺はすぐさま手を引っ込める。
「んん?」
俺が撫で撫でをやめたからか。
顔を上げて不思議がるアキちゃん。
「どうしたんですか?お兄様。撫で撫でしてください」
「いやっ、撫でるのはよくないかと思って」
「いいですよ。アキは撫でてほしいんですぅ」
「うーん。ヒナに禁止されていてね。だからごめんね」
「ならっ、秘密にしましょう。ヒナちゃんには秘密にすればいいです。アキはそれでいいです」
いやー。
うーん。
それはまずいと思う。
あまり良い結果にならないと思うかな。
「今日は終わり。はいっ」
チョコンとアキちゃんを脇にどかす。
「じゃあ、俺は部屋に入るから。ヒナと仲良くねっ」
ささっと俺は自分の部屋に避難した。
逃げるが勝ちよ。
部屋の中に入って。
ふぅーっと一安心していると。
「隼人お兄様のお部屋です~」
ぎょっ!
うおおおっ!
いつのまにか隣にアキちゃんが。
おかしい・・・さっきまで扉の外にいたと思ったら。
あっ。
扉が開いていた。
どうやらこそっと入ってきたらしい。
まったく気づかなかった。
なんて静かな移動。
「お兄様、植物が好きなんですか?」
「あっ、まぁね」
「私もお花好きなんです~」
「そ、そうなんだー」
中々部屋から出て行く気配がないアキちゃん。
部屋の中の花を見回している。
うーん。
なんとかして穏便に追い出さないと。
俺は近くの花を一本とることにした。
「はい、アキちゃん。このお花上げるから、ヒナのところに戻ってくれるかな。
俺、少しやることがあるんだ。アキちゃんとはもっと話していたいんだけどね」
「いいんですかーお花っ」
「うん、ほらっ」
俺が花をあげると・・・
「うわぁあああ、素敵っ!」っと喜びの声を上げるアキちゃん。
すっごいテンションあがってる。
「じゃあ、ヒナと仲良くね」
「はーい。ありがとうございます。お花大事にします」
アキちゃんは部屋を出て行ったのだった。
ふぅー。
よかった。
だが、今度からもっと注意しないとな。
なるべく妹の友達に見つからないようにしよう。
部屋に入る時には十分注意しないといけないな。
俺は心に誓うのであった。
◇
森に松茸栽培に行く準備をした。
後は部屋を出て、森に出向くのみ。
だが、十分に注意しなければ・・・俺は妹の友達に会わないように。
俺はこそっと扉を開けて廊下を伺う。
よーし。
視界クリア。
誰もいない。
ちっこい女の子達の姿は見えない。
俺は鞄を背負って意気揚々と階段に向かうが・・・
階段に入ったところ・・・
うおっ!
うおおおっ!
死角で待ち伏せされていた。
ちょこんと階段に座っている女の子。
「隼人お兄様っ!」
またしてもアキちゃんだ。
笑顔でかわいい女の子だけど・・・
ちょっと怖いぐらいだ。
座敷わらしというか、幽霊みたいな位置取り。
で、なんで階段にいるんだろう?
しかも死角に・・・この子は一体・・・
後・・・俺があげた花を髪の毛に刺している・・・
髪飾りになっている模様。
「あれっ、アキちゃん、なんでここにいるの?」
「トレイにいったら、足をくじいたんです」
えっ。
そんなことが・・・
うちの廊下には、足をくじく要素なんて微塵もないと思ったけど・・・
涙目で、申し訳なさそうに足を押さえているアキちゃん。
あまり腫れているようには見えないというか・・・すごく健康に見える足。
さすがに無視は出来ない。
「そ、そうなんだー。お大事にね。救急ボックス持ってきたほうがいいかな?」
「お兄様、お願いします」
「・・・うん」
俺はアキちゃんをほっておけるわけなく。
救急ボックスを取りに行った。
そして。
救急ボックスからシップを取り出す。
「アキちゃん、シップはるね。ちょっと冷たいかもしれないけど、我慢してね」
「はいっ、お兄様、お願いします」
ペタッ
アキちゃんが抑えている足の部分にシップをはった。
「これで大丈夫かな。足、痛くない?」
「大丈夫です。お兄様のおかげです。ありがとうございます」
「うん、じゃあ、俺は行くから。お大事に」
「はい。いってらっしゃい」
俺はアキちゃんに見送られて家を出た。
なんだかとても不思議な気分だった。
心がざわざわして落ち着かなかった。
森の中に入ると・・・
昨日の野良犬たちはいなかった。
いつもよりシーンと静まり返っている森。
何やら不穏な空気が漂っている気もしたが・・・
俺はかまわず松茸を栽培し続けた。
問題なく松茸を栽培することができた。
俺はホクホク顔で家に帰ったのだった。
大量大量~GET!!!!
短編投稿しました。
「ざまぁ」が書きたくなり、さらりと書いてしまいました。
冒険者系の「ざまぁ」になります。
宜しければご覧下さい。
↓
『生産職の俺は彼女を寝取られたので、パーティーを抜けて自立することにした』
※ページ下部にリンク有り。
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現在、更新が停止している作品 (2週間以上)ですが、連載を再開する場合は、活動報告で連絡したいと思います。