紹介
「半沢さん、勘違いしないで欲しいけど、紹介するだけだからね」
「いいですよー、それで。楽しみです~生朽木さん」
俺は廊下を歩きながら空き教室に向かう。
隣には半沢さん。
見た目はそこそこいいが、ヤバイ女だ。
生がどうとか呟いてる。
ひょええええーー、怖い。
ガチャ
空き教室に入ると・・・中にはクルミがいた。
真面目な彼女らしく宿題をやっていた。
こちらを見てちょっと目を丸くしている。
俺と半沢さんの組み合わせに驚いているのだろう・・・めったにない組み合わせだからな。
「クルミ、こちら半沢さん」
「どうもっ」
「えっと、うん。こんにちわ」
「よし、紹介終わったな。半沢さん、この教室から出て行ってくれないか。
今から俺はクルミと勉強するんだ」
「えええっ!挨拶しただけじゃないですか?」
「挨拶も紹介の一部だ。というこで、さいならっ」
ドスッ ガチャン カチャ
俺は半沢さんを空き教室から押し出して、扉の鍵を閉めた。
ガチャ ガチャ ガチャ
『ちょっとー、開けてくださいよー』
半沢さんの叫び声が聞こえる。
扉のとってをガチャガチャ回している音が聞こえる。
とってが壊れないといいが・・
俺が学校の施設の心配をしていると・・・
クルミは不思議そうな顔でこちらをみている。
「隼人・・・いいの?・・・あの子?」
「大丈夫だ。半沢さんはちょっと個性的な子でね。あまり触れ合わないほうが良い。
クルミも十分注意したほうが良いよ」
「え・・・うん」
クルミは納得いかない顔をしている。
わけを説明したほうがいいだろう。
「実は、半沢さんがクルミのストーカーだったんだ」
「えっ!本当?」
「あぁ、盗撮している場面をさっき抑えた。画像は全て削除しといたから」
「でも・・・なんで?」
「半沢さんいわく、ファンらしい」
「ファン?」
「そう、アイドルのファンみたいなものかな。それのクルミ版」
「そ、そうなんだぁ・・・」
ちょっと引き気味のクルミ。
まぁ、ちょっとヤバイ自分のファンがいたら怖いよね。
「ということだから、十分気をつけたほうが良い」
「そうするねー」
「じゃあ、勉強しようか」
「うんっ」
俺達は宿題を始めたのだった。
暫く半沢さんの叫び声が聞こえたが・・・少しすると静かになった。
俺が扉付近を確認しに行くと・・・半沢さんの気配がない。
扉を開けて廊下を見ても・・・いない。
よかった。
諦めて帰ったのだろう。
ひと安心だ。
「どう、いた?」
後ろからクルミの声。
ちょっとおびえた様な声だ。
まるで外に殺人鬼でもいるんじゃないかという声。
「いいや、いない。これで安全だ」
「かな・・・」
俺が勉強に戻ろうとすると・・・
あっ。
見覚えるのある人を発見。
彼女もこちらに気づいたようだ。
こちらに近づいてくる。
「ごきげんよう、結城君」
「はい、七星先輩」
園芸部、ガーデンの先輩。
女騎士のように凛とした雰囲気の、七星先輩がいた。
先輩は俺と空き教室の中のクルミを見る。
「結城君。彼女は?」
「クルミです。俺の彼女です」
「ほーう。本当に華玲さんの恋人ではないのか?」
「はい。華玲さんとは友達ですよ」
「結城君の彼女、随分かわいらしい子じゃないか。これじゃー華玲さんも無理か」
クルミをみて、微笑みながら告げる先輩。
女の子が女の子を見る目ではなく・・・
なんだろう、男前だ。
「ところで結城君。今日は部活にこないのかな?」
「はい、華玲さんからは来週からでいいと聞いていますので」
「まぁ、そうだね。焦ることはない。2人の時間を邪魔して悪かったね」
「いえ、そんなことありません」
「ではっ、ごきげんよう」
「はい」
七星先輩はさっていった。
俺が部屋の中に戻ると・・・クルミがポワーンとしていた。
七星先輩をみて驚いたのかもしれない。
「あの綺麗な人がガーデンの先輩?」
「あぁ、七星先輩だ」
「へぇー、凄く綺麗な人だったね。私とは全然タイプが違う」
「まぁ、そうかな」
「隼人・・・ああいう人がタイプなの?」
「はぁ?」
「だって隼人、なんだか緊張してたもん」
「それは美人の先輩だからで・・・別にタイプでもないよ」
「ほんとー?」
「あぁ、本当だ。俺にとっては、クルミが一番だよ」
ポンポンっとクルミの頭を撫でる。
優しく撫で撫でする。
「もぅ・・・いつもそれでどうにかなると思わないでぇ」
っと抗議しながらも、ニコニコ微笑みむクルミ。
俺はさらにクルミを撫でたのであった。
新連載開始しました。
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『妊娠した私を婚約破棄するって、気は確かですか? 【連載版:ご当地グルメ編】』
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現在連載している、妊娠した私を婚約破棄するって、気は確かですか?【ヒグマ格闘編(石狩鍋) 】のIFバージョンになります。3章から大きく展開が異なります。
ヒグマ編では、途中からクマとのバトルになりますが、
こちらでは・・・
全国を転々としながらも、現地で恋をして、
観光地を巡り、美味しいご当地ご飯を食べる話です。
宜しければごらん下さい。