男気発揮っ!
俺は戦場を後にして帰宅した。
家に帰って部屋で休んでいると。
トントン
ガチャ
妹のヒナが入ってきた。
パジャマ姿のヒナ。
ちょっとモジモジしている。
なんだろうか?
「お兄ちゃん」
「なんだ?」
「私の友達の頭、撫でないで」
あっ、そのことか・・・
「なんで?皆嬉しそうだったけど」
「それは・・・その・・・とにかくなんでもっ」
もじもじ度が増す妹。
何か慌てているようなヒナなので、ポンポンっと俺は妹の頭を撫でる。
優しく諭す。
「まぁ、落ち着け」
ニパーっとおとなしくなる妹のヒナ。
「私は撫でてもいいけど、友達はダメっ」
むむっ。
どうやら焼もちかな。
ヒナは中2にもなって甘えん坊だからな。
俺がヒナの友達にポンポンしたのが気に障ったのだろう。
「分かった、次からはそうするよ」
「うん。ちゃんとお願いね」
「あぁ、約束する。ヒナの友達の頭は撫でない。ヒナだけにする」
「約束だよ」
「あぁ」
俺は妹の頭を撫で撫でしたのだった。
◇
学校。
クルミと学校に行き、教室に。
俺が机に付くと・・・・美波さんが寄ってくる。
「隼人君隼人君~、あれ、持ってきた?」
美波さんは小声で俺に耳打ちする。
くくくっ、勿論持ってきましたとも。
アレをね。
「ふふふっ、あぁ、物は用意した。どうぞ」
俺は松茸が2個はいった袋を渡す。
「ありがとー、大事にするね」
「いや、大事にしないで食べてね」
「うん、大事に食べちゃう」
「頑張って」
子袋の中身を確認し、「よしっ」っとガッツポーズする美波さん。
どうやら隼松茸のファンになったようだ。
美味しいからね。
袋から顔を上げる美波さん。
「そういえば隼人君、昨日はどうだったの?ガーデンに行ったんでしょ」
「あぁ、部に入ることにした」
「やっぱりか~」
「あれ、驚かないの?」
「うん、なんとなく予想してたんだぁ~」
ほーう。
クルミの反応とは違うな。
美波さんとはよくLINEしてるから、なんとく分かったのかも。
「で、どうだった?四季姫にはあったの?綺麗だった?」
「多分だけど・・・七星先輩と春乃宮先輩にはあった」
「会ったんだぁー、いいなぁー、2人とも美人だよね」
ふむ。
どうやら2人とも四季姫だった模様。
「確かに、ちょっと普通の人と違った空気があったな」
「あたしとも違う?」
「勿論」
「はぁー」
ため息をつく美波さん。
「でも、美波さんは美波さんで良いとこあるよ」
「なんか無理やり褒められたー。で、あたしの良いとこってどこですかっ?」
うわぁ・・・
まさか質問された。
ただのお世辞だったのに・・・
えっと・・・っと考えていると。
「あれ、ミカ何貰ったの?私にもちょーだいなっ。くださいなっ」
おっ。
クルミが寄ってきた。
なんだかデジャブ感があるぞ。
「前と同じものー」
「えー、松茸ー。いいなー。隼人、私1回しか貰ってないよー」
そういえば・・・そうだっけか。
「クルミも欲しいの?」
「うん。またお弁当つくってあげる」
しかしな~。
今はなるべく多く松茸を備蓄したいからな。
このままホイホイ上げるのは問題な気がしてきた。
ずるずるお願いを聞いていると、なんだか人間関係に的によくないと思うのよ。
よーし。
ここは心を鬼にしよう。
いくらかわいい彼女でも、ダメなものはダメと言おう。
NOと言える日本人になるのだ。
俺は男気を発揮する。
「クルミ、ダメだっ!」
「ふへっ?」
「今栽培中だから、難しいんだ」
俺は男らしくきっぱりといってやった。
どうよっ?
俺の男気はっ?惚れ直したかな?
チラッとクルミを確認すると・・・
すっごく不満顔。
プックラと頬を膨らませている。
「ずるーい。ずるいよー。ミカは2回で私は1回だよ。そんなのおかしいよっ」
あれっ・・・間逆の反応。
なんだか怒ってる。
それに確かに。
いわれるみると・・・・不公平なのかもしれない。
プイッと顔を尖らすクルミ。
うん。
俺が悪かったかな。
「じゃあ、明日2本持ってくるよ。それで終わりね」
「いいよぉ。許してあげる」
よかった。
クルミの機嫌が直ったようだ。
「隼人君、あたしにもちょーだいなっ、くださいなっ」
美波さんが調子にのりだした。
「ダメだっ!」
「えぇぇぇぇええええ、そんなぁ~」
クルミの真似か・・・
プックラと頬を膨らませて不満顔する美波。
プイッてされた。
「うんうん、隼人、それでいいよ。ミカも控えめにしないと」
「あー、それ、クルミがいうのー」
チラチラこちらを伺う美波さんだが・・・俺は心を曲げなかった。
松茸は絶対に渡さんっ!
うちの松茸はなっ!
娘を守る親父のごとく気合を入れる。
「二人とも、控えめになっ!」
俺達の朝が過ぎて言った。
新連載始めました。 (こちらは数話で完結予定です)
宜しければどうぞ。
↓
『3日後、婚約破棄されます。』
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