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再び襲撃~白煙の戦闘

 家に帰り。

 自室で松茸栽培の準備をし。

 山に行こうと廊下に出ると・・・

 

「隼人お兄様っー!」


 いきなり叫ばれて。 

 ダダダダッ バシュ

 小さな何かに抱きつかれた。

 

 な、何奴っ!思ったら。

 あ・・・

 なんだ・・・妹の友達だ。

 たしか・・・アキちゃんだったかな。

 今日もうちに来ていたようだ。


「こんにちわ、アキちゃんだよね」

「はい、アキです。ちゃんと私の名前覚えてくれていたんですね、嬉しいです」


「当たり前だよ。こんなかわいい子の名前を忘れるわけないだろ」

「アキがかわいいなんて・・・お兄様も素敵ですっ」


 俺の手を握ってくるアキちゃん。

 小さい手だけどがっしりとつかまれた。


「えっと、ヒナと遊びに来たの?」

「はい。私ヒナちゃんと仲良しなんですよー。

 今皆でトランプをやっているんですけど、お兄様も一緒にどうですか?」


「俺は遠慮しておくよ。やることがあるからね」

「残念です。一緒にトランプしたかったです・・・あっ、そうだ。お兄様のやること、私が手伝いましょうか?」


「いいや、気持ちは嬉しいけど、自分でやらないといけないことだから」

「そうですか・・・」

「また今度ね、アキちゃん」


 ポンポン

 俺はアキちゃんの頭を撫でた。


「うへへへっ、撫でられちゃった~♪」

「じゃあ、もう行くから」


「はい、いってらっしゃい。お兄様」


 俺はアキちゃんに見送られて家を後にしたのだった。







 暫く歩き・・・いつものように森の中に。 

 慣れた手つきで松茸栽培をしていると・・・


 ワンワン ワンワン

 ワンワン ワンワン


 くっ。

 この声は・・・

 まさか・・・・予想していたが。 

 とうとう奴らがやってきたか・・・


 声の方向を見ると、2匹の野良犬。

 凶暴な目つきをした犬達がこちらを見て睨んでいる。

 「ぐるうううううう」っと吼えている。


 俺は全ての松茸を鞄にいれた。

 いつでも逃げれる準備は整った。


 ここはどうするか・・・

 戦ってもいいが、戦わなくても良い。

 だが、背中を見せてはいけない。

 野良犬は、背中を見せた瞬間、すれ違いざまに噛み付いてくるからな。


 それに人間より犬の方が足が速い。

 逃げれば確実にやられる。

 今の日本でも年間数人は野良犬に殺されている。

 野良犬はクマや狼同様、立派な猛獣なのだ。

 ペットの可愛らしい子犬と比較してはいけない。



 それに・・・

 一つ試したいことがあった。

 俺は準備を十分にしてきているのだ。

 対野良犬戦闘の準備を・・準備は万端。


 ならば・・・デェエルっ!




 俺は犬を睨みつける。

 お互いに睨み合いながら隙を見つける。

 ササッ

 俺は一瞬の隙をついて鞄から痴漢撃退スプレーを取り出す。

 

 だが、その瞬間。


 ワンワン 

 野良犬が駆けけてきた。

 俺がスプレーを取り出した隙を見計らって、攻撃を仕掛けてきたのだ。

 一瞬の隙をついてくる野良犬。

 野生の感が働いたのだろう。


 バシュ

 ジャンプして俺の腕に噛み付く。

 「ぐるるるるっ!」と頭を振り、腕を噛みちぎろうとしている野良犬。

 だが・・・俺はノーダメージ。


 犬に噛みつかれるだろうと、腕と足には分厚い布を巻いている。

 レゲエダンサーみたいな格好の俺。

 かまれたところで痛みはない。分厚い布を牙が貫通しないのだ。

 


 俺はもう一方の手に持っている痴漢撃退スプレーを構える。

 野良犬の目の前、数cmの距離からかける。


 シュパー

「くぅ~んっ!」


 犬の嗅覚は人間よりも何倍も鋭いのだ。

 泣き声を上げ、俺の腕から口を離し戸惑う犬。

 目から涙を流し、首を振っている犬っころ。 

 苦しそうに「くぅ~ん」と叫びながら頭を振っている。


 だがっ、逃がさない。

 俺は片手で犬を押さえる。

 ぎゅっと動きを止め、固定する。


 ポケットからスマホを取り出す。

 だが、ただのスマホではない。

 海外通販で買ったとある装置をつけ、即席のスタンガンになっている。

 

 スイッチを押すと・・・ 

 バチバチバチッ!

 電撃を撒き散らすスマホ。

 俺は電撃溢れるスマホを野良犬の首筋にあてる。


「ぐるううああああっ!」


 悲鳴を上げて震える野良犬。

 だがまだ終わらない。

 俺は鞄から爆竹を取り出し、火をつける。

 

 ―――「ふきとべっ!派手に・・・散りなっ!」


 野良犬の口の中に爆竹をつっこんで口をふさぐ。


「ぐるるうるるうわああああぁぁぁあああっ!」


 と必死に首を振る犬。

 なんとか口の中から爆竹を吐き出そうとするが。 

 俺は全力で犬を押さえ込む。

 同時にスタンガンを当て続け、筋肉を硬直させて口を閉じさせ続ける。


 バチバチバチッ!

 バチバチバチッ!

 バチバチバチッ!


 轟音が鳴り響く。

 野良犬の口の中から爆音がなり、白い煙が出てくる。


「きゃ、きゃふん・・・」


 バタンッ

 野良犬は口から煙を鳴きながら倒れた。

 完全に気絶している。

 目は白目を向いているし、口からは泡が吹き出ている。

 足はピクピクと痙攣気味。

 戦意はゼロ、戦闘不能状態。

 勝負は決したのだった。



「きゅうぅ~ん」


 もう一匹の野良犬が情けない声をあげる。

 完全にビビッている。

 俺に頭を下げ、しっぽを振っている。

 まさに服従のポーズ。


「くぅーん、くぅーん」


 媚た声を出す。

 俺と野良犬、どちらが強いのか分かったのだろう。

 野生の犬は強さに敏感だからな。 

 先程までは威勢がよかったのだが、中々の変わり身の早さだ。


 所詮は犬。

 人間の科学力の前には無力。

 種族差の力を見せてやった。



 俺は気絶している野良犬を持ちあげ、もう一匹の方に投げ飛ばす。

 

「ほらっ、持っていけ」

「くぅ~ん、くぅ~ん」


 泣き声をあげる野良犬。

 そして・・・

 俺の方を気にしながらも。

 気絶した犬を首を噛んで、引きずりながら森の奥に消えていった。

 敗者は去っていったのだ。




 ふふふっ。

 中々の戦闘だった。

 ネットで野良犬対策方法を色々調べ、準備したかいがあった。

 ここまでやっとけば、野良犬達には暫くは教われないだろう。


 だが・・・・一つ懸念もある。

 逆に・・・とんでもない数の犬達を引き連れて、復讐に来る可能性もあるにはあるが・・・

 まぁ、可能性は低い。

 気にする程でもないかな。

 低い可能性を考慮する必要はない。

 そんなこと起こりえないだろうから。



 俺は爆竹の煙が漂う森の中で、勝利をかみ締めたのだった。


新連載始めました。 (こちらは数話で完結予定です)

宜しければどうぞ。

『3日後、婚約破棄されます。』

※ページ下部にリンクがございます。

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