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四季姫

 昼。

 空き教室。


 いつもの様にクルミと昼食を食べる。

 リスのようにメロンパンを食べるクルミ。

 クルミはほんと、いつもかわいいな。

 食事シーンを動画撮影して、ループ再生したいぐらいだ。


「クルミ」

「何?」


「今日の午後はここにこれない」

「えっ、また何かあるの?」


「うん。ちょっと園芸部に顔を出してみようと思って」

「えっ。ガーデンに?」

「うん」


 実は俺は華玲さんに返事をし。

 今日の放課後、園芸部こと「ガーデン」を訪れる約束をしていた。

 というか・・・クルミも園芸部をガーデンと呼ぶのか。

 やはり有名なのかもしれない。


「でも隼人、ガーデンには一般人は入れないよ」

「華玲さんについていくんだ」


「えっ、ちょっと待って。それって恋人枠ってこと?」


 ほーう。

 クルミもそこまで知っていたか。

 険しい表情で俺を見ている。

 ギロッとにらまれた。怖っ!


「違うよクルミ。俺はあくまで植物が好きな友達としていくんだ。

 ほらっ、松茸栽培の実績が評価されたみたい」

「でもー、恋人枠でしょ。まさか・・・隼人、私と別れたいの?

 一般人より、お金持ちのお嬢様がいいの?」


 泣きそうになるクルミ。

 ウルウル瞳だ。

 眉が八の字になっている。


「ち、違うって。全然違う、誤解だよ。本当にただの友達としていくだけだから」

「本当?」


「あぁ、本当だ。俺の彼女はクルミだけさっ」

「信じていいの?」


「勿論」

「うん。じゃあ信じるね」


 よしよし。

 俺はクルミの頭を撫でたのだった。

 にんまりと表情を緩めるクルミ。 


「隼人ー大好きっ」

「俺もだ」







 放課後。


 俺はクルミと別れ、華玲さんと園芸部の部室に向かっていた。

 園芸部の部室は校舎の最上階、4階にある。

 4階全てが園芸部なのだ。

 教室8個分の広さがある。

 とにかくデカイ。


 なんでこんな巨大なのか華玲さんに聞くと・・・

 「かなりのお金を学校に寄付しているから」、だそうだ。


 なるほど~。

 納得がいった。

 至極簡単な理由だった。



「結城君、知っているかもしれませんが、園芸部には会員以外入れません」

「うん、聞いた」


「今回は私のゲストということになります。

 もし気に入りましたら、私の推薦枠が一つ余っていますので、会員になることも可能ですわ」


 推薦枠・・・

 つまり恋人枠か。


「うん。考えてみるよ」

「後、問題ないかと思いますが、先輩たちとは仲良くしてくださいね」


「勿論。お姉さま方の機嫌をそこなわないようにするよ」

「まぁ、そんな気をはらなくてもいいですのよ」


「だといいね」

「つきましたわ」


 俺たちは4階に到着していた。

 華麗さんが扉を開けると・・・


 中は豪華な部屋になっていた。

 サロンといった感じだろうか。

 ここだけ明らかにお金がかかっている。

 学校のほかの場所と全然違う。


 多分、この学校で一番豪華な場所だと思う。

 心なしか・・・華玲さんの家の応接間に似ているかな。


「ごきげんよう」

「失礼します」


 俺と華麗さんは部屋の中に入った。

 部屋の中には2人の女性がいた。

 一人は黒髪のショートカットが美しい女性。

 すらっとしたモデルの様な体系で、凛とした雰囲気を漂わせている。

 キリっとした雰囲気を漂われる麗人。

 宝塚の男役みたい。


 もう一人は、腰まで伸びる長い黒髪の女性。

 綺麗な目をしており、幼い見た目を思わせるが、妙に迫力がある美人。


「七星先輩、春乃宮先輩、ごきげんよう」

「ごきげんよう、華玲さん」

「ごきげんよう。そちらの男子生徒は、華玲さんの恋人かな?」


 ショートカットの女性。

 七星先輩と呼ばれて女性が俺を見る。


「いいえ、残念ながら違いますわ。私の友人の結城隼人君です。今日はゲスト枠です」


「ほほーう。君が結城君か。私は2年の七星夏葵だ。君の噂は聞いている。松茸の子だね」

「ちょっと夏子、失礼よ。松茸の子だなんて。ごめんなさい、結城君。私は春乃宮春姫。よろしくね」


 2人とも美人で季語持ちか。

 どうやら四季姫と呼ばれている内の2人だろう。


「よろしくお願いします。七星先輩、春乃宮先輩」


 挨拶が済むと。

 華玲さんが俺を椅子にすすめる。


「こちらへどうぞ」

「ありがとう」


 俺が椅子に座ると・・・

 華玲さんが紅茶を持ってくる。

 

「ではっ、どうぞ」

「ありがとう」


 俺はギクリとしてしまう。

 華玲さんの家での出来事。

 紅茶に自白薬が入っていたことを思い出したのだ。


「安心してください、何も入っていませんわ」


 ニコリと微笑む彼女。

 俺もそう思うが・・・

 念のため心の中で唱える。

 『ステータスオープン』


種族   :バラティー

状態   :常温

備考   :


 うん。 

 大丈夫なようだ。

 俺はカップをとり飲む。


 ふむ。

 美味なり。

 体があったまってくる。


「美味しいね」

「そうですか、お褒め頂、嬉しいですわ」




 俺は紅茶を飲み、華玲さんと夕刻の一時を過ごしていると・・・


「植物園をみますか?様々な植物を隣の部屋で育てているのです」


 華玲さんが提案する。


「お願いするよ」

「はい、ではこちらに」


 俺は華麗に引きつられて隣の部屋に移動した。


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