貴族令嬢専用部活 ガーデン
授業中。
今日は真面目に授業を受けようと思っていたら。
ピコリンッ!
LINEが飛んできた。
ぐはっ!
俺の勉学を阻む敵の出現・・・
画面を見ると・・・華玲さんからだった。
華玲:松茸、好評でした
俺:嬉しいよ
華玲:もう少しお売りいただけますか?一つ5万円で。
俺:ぎょえっ!そんなに高く。大丈夫?
華玲:大丈夫ですわ。あの松茸は価値がありますの
俺:そうなんだー
華玲:一つ質問よろしいですか?
俺:なんなりと
華玲:松茸に名前はありますか?他にはない独自品種のようですので
うーん。
松茸の名前かー。
そうえいば考えてなかったな。
普通の松茸だと思っていたし。
名前をつけるとしたら・・・どうしようか?
まぁ、生産者は俺のわけだから。
自分の名前からとるのが無難かな。
星や彗星を発見した人みたいに。
ならっっと
俺:隼松茸で
華玲:いい名前ですわ。この名前で広めておきますね
俺:お願い~
華玲:それと隼人君、一つ提案があります?
俺:何?
華玲:私とお付き合いしませんか?
んん?
お付き合い?
俺:お付き合いって・・・
華玲:恋人になるということですわ
やっぱし。
そっちだったか。
社交的な付き合いという意味ではなく。
俺:あの・・・俺、知ってると思うけど、クルミがいるよ
華玲:私は気にしませんわ
俺:・・・・冗談?
華玲:本気です
うおっ。
なんだ。
堂々2股交際申し込みだ。
最近の女子はこういうものなのか。
確かに・・・何かのアンケートでも・・・
女友達の彼氏を好きになったら、普通に奪い取る人が多いって聞いたし。
TVでも浮気も不倫も流行ってるみたいだしな。
大人も偉い人もやっているから。
世間的には普通のことなのかもしれない。
だがしかし。
俺はそんなことはしない。
やっぱり二股はいけないだろう。
俺:やめとく
華玲:そうですか。残念ですわ
俺:クルミがいるからね
華玲:隼人君、最近人気ですから。妙な女には注意したほうがいいですわ
俺:忠告ありがとう
華玲:ミーハーな人が多いですから
俺:だね。今日もラブレターもらった
華玲:見せてくださいましっ
俺:却下
華玲:けちですわ
俺:すまない
華玲:あっ、そうですわ、ご連絡がありました
俺:?
華玲:園芸部に入りませんか?
俺:俺が?
華玲:美術部に入っていることは知っています。兼部でも大丈夫ですわ
俺:園芸部か・・・
華玲:実は、結城君の力をお借りしたいのです
俺:?
華玲:園芸部コンペティションがもうすぐあるのです
俺:コンペ?
華玲:はい。園芸部の日頃の研究成果を各高校で競うのです
俺:へぇー、そんなことがあるんだ
華玲:隼人君に入ってもらえば、優勝できるでしょう
俺:期待高っ!
華玲:あの松茸を見ればわかります。植物に卓越していることが
俺:うーん、考えとくね
華玲:お願いしますわ
俺:おう
俺は授業に戻った。
よーし。
今度こそ授業に集中するぞっと思ったら。
ピコリンッ
再びメッセージ音。
美波さんからlLINEがきていた。
くぅ・・・俺の勉学の道は遠い。
こんなにも遠いのか・・・
普通に授業を受けるということは・・・
美波:やっほー
俺:うん
美波:あれっ、元気ない?
俺:今日は真面目に授業受けようと思っていたとこ
美波:ダメ
俺:ええっ?
美波:怠け者同盟副会長なので、ダメです
俺:そんなぁ~
美波:大丈夫、ノートなら私が見せてあげるから。
俺:????
美波:????
俺:ノートとってるの?
美波:全然、まっしろ
俺:どういうこと?
美波:あたしが友達からノート借りるから、それコピーさせてあげる
俺:あーなるほど
美波:凄いでしょ
俺:因みにその友達って、クルミ?
美波:あたり~
俺:はぁー
美波:がっかりしな~い
俺:そういえば、うちの高校の園芸部知ってる?
美波:知ってるよ~ガーデンでしょ
俺:ガーデン?
美波:お金持ちのお嬢様が多いから、ガーデンって呼ばれているの
俺:マジで
美波:うん。ブルジョワで、貴族令嬢のお茶会って感じなんだって
俺:へぇー
美波:入会審査があるから、普通の子は入れないし
俺:ええええっ!
美波:あたしも最初聞いたとき、「ええぇぇぇえええっ!」ってなった
俺:だよねー
美波:っで、ガーデンがどうしたの?
俺:俺、ガーデンに入るかも?
美波:ガビーンッ!・・・・・なんでっ?
俺:誘われた
美波:えぇぇぇええ。って、隼人君一般人じゃん
俺:まぁ、そうだけど・・・
美波:あっ、分かった。華玲さんでしょ
俺:正解
美波:あれだねー、恋人枠だぁ
俺:恋人枠?
美波:うん。ガーデン部員は一人だけ一般生徒を誘うことができるらしいのぉ
俺:へぇー
美波:っで、大抵は自分の恋人をいれることが多いから、恋人枠って言われてる
俺:ほーなるほど、なるほど
美波:隼人君、クルミと別れて華玲さんと付き合うの?
俺:いやーそんなことないよ
美波:だよねー。ちょっと質問?
俺:何?
美波:もしクルミと別れたら、あたしと華玲さん、どっちと付き合う?
俺:うーん
美波:えっ、迷うの?
俺:いや、勿論美波さん。ダントツ
美波:よかったぁー。勝利~
俺:それで、ガーデン部員は他には誰がいるの?
美波:えっとー、内のクラスでは華玲さんだけかな。少数精鋭らしいから
俺:まぁ、入会審査があるなら当然か
美波:うんうん
俺:だねー
美波:後は、四季姫が有名かな
俺:四季姫?
美波:名前に季節の季語が入ってる、綺麗な人が4人いるの
俺:へぇー
美波:一人は同じ学年だよ。他の人は皆先輩だけど
俺:ほうほう
美波:隼人君も遠くにいっちゃうね
俺:かわんないよ
美波:じゃ、ガーデンに入ったら、内部のこと教えてねー
俺:おう
美波:お姉さまに気をつけないとダメだよ
俺:うん
美波:あっ
俺:?
美波:そういえば、松茸おいしかった。ありがとぉ
俺:よかった
美波:すっごく美味しかったよぉ。松茸しゅごい。何だか元気でたし
俺:だな。キノコパワー
美波:もう少しくれる?
俺:ど、どうかな・・・
美波:お願ーい
俺:じゃあ、後2本だけね
美波:やったー
キーン コーン カーン コーン
授業終了のベルがなったのだった。
はぁー。
やばっ。
全然勉強できなかった・・・
ずっとLINEしてたよ、俺。
俺:授業終わった・・・
美波:だねー
とほほっ。
俺の勉学の道は遠かった。