変化
帰宅。
自室で松茸栽培に行く準備をしていると・・・なにやら騒がしい声。
女の子の声が聞こえてくる。
黄色いにぎやかな声。
方向からして・・・中2の妹、ヒナコの部屋か。
友達が来ているのかもしれないな。
松茸栽培に行くために。
リュックを背負って部屋から出ると・・・
廊下で見慣れぬ女の子に出会った。
小さい子。
多分妹の友達だろう。
それ以外の子がいるのはおかしいからな。
「きゃっ、隼人お兄様っ!」
んん?
目の前でいきなり顔を赤くする女の子。
オロオロと震えている。
でも、お兄様って・・・
俺は目の前の子の兄ではないと思うけど・・・
両親に隠し子でもないかぎり。
「えっと・・・ヒナコの友達?」
「はい。私、アキっていいます。アキですっ」
「アキちゃんか。こんにちわ」
「こんにちわです」
かわいらしい女の子だ。
中2だけど、ヒナコより幼く見える。
っと。
よく見ると、髪の毛に何かついているようだ。
糸くずかな。
ヒョイ
俺は糸くずをとる。
「ついてたよ、何か」
「あっ、ありがとうございます」
「何、たいしたことないさ」
ポンポン。
俺はアキちゃんの頭を撫でた。
あっ。
しまった。
ついついクルミにやる癖で撫でてしまった。
目の前のアキちゃんは、嬉しそうに顔をほころばせていた。
「くぅぅうう~」っと唇を震わせている。
「ごめん」
「いいえ、ありがとうございますっ」
あれっ?
何故か感謝された。
何故だろう?
すると・・・
ガチャ
妹の部屋から出てくる女の子達。
妹のヒナコと、その友達ーズ。
俺がアキちゃんの頭を撫でている姿を見ると。
「はぁっ」と口をあけて固まる少女達。
だがっ、すぐにニンマリと笑顔になり、テンションがあがる子達。
「いいなぁーアキ、隼人様に撫でられて」
「ずるいー。隼人様かっこいいな。私も撫でられたーい」
なにやら黄色い声があがる。
俺をキラキラした目で見ている。
隣の妹。
ヒナは複雑な顔をしていた。
「もぅ・・・お兄ちゃん・・・」
ちょっと困り顔。
俺は松茸栽培に早く行きたかったので、アキちゃん撫で撫でをやめるが。
妹の友達が俺の前にささっと移動する。
「隼人お兄様、私も撫でてくださいっ」
「あ、あたしもーお願いします」
二人とも頭を差し出す。
期待の目で見てくる。
しょうがないなー。
撫で撫で。
撫で撫で。
俺は二人の女の子の頭をなでた。
「えへへへ」っと嬉しそうな二人。
妹のヒナコは・・・「お兄ちゃん・・・」と唸って固まるのみ。
なんだか妙な空間になったので・・・
撫でるのをやめて。
「皆、ヒナコをよろしくなっ!」
「「「は、はいっ」」」
俺は階段をおりていった。
後ろからは・・・
「かっこいいなー」「いいよねーヒナのお兄様。すっごくかっこよくて」
「まだ手の感触残ってる。今日は頭洗わない」「あたしもー」っと聞こえる。
なんだろう。
知らなかったけど。
俺は妹の友達に人気があるらしい。
謎だな。
小さい子はよく分からない。
◇
無事山で松茸を狩り、ホクホク顔で家に向かっていると。
喉が渇いたので、ちょっと喫茶店によった。
華玲さんに松茸を売ったおかげで、金は無駄にあるからな。
気にせずお店に入れる。
いっぱいコーヒー飲んじゃお。
お店の中でコーヒーを飲んで一息入れていると・・・
なんだろうか・・・
周りの女性にチラチラ見られている気がする。
コーヒーを持ってきた女性定員も妙に笑顔だったし。
不思議だ・・・
一体何がおこっているのやら。
暫くして。
近くの女子高生二人組みが寄ってくる。
二人ともきゃっきゃっ騒いでいる。
テンション高い二人組み。
「あのーすみません」
「何かな?」
「モデルさんか、俳優さんか何かですか?」
えっ。
俺が・・・
そんなことないけど。
「普通の一般高校生ですが」
「えー、うっそー」
「それ本当ですかー?」
「はい、勿論」
「あのー、一緒に写真いいですか?」
「お願いしまーす」
何故か頼まれた。
写真かー。
別に減るもんじゃないからいいか。
「いいよ。でも、ネットにUPしたりしないでね」
「ありがとうございまっす」
「やったねー」
パシャリ。
俺は女子高生二人と写真をとったのだった。
二人ともとっても興奮して笑顔だった。
何故か握手を求められたので、さくっと握手もした。
「きゃああああ」っと騒ぐ女の子。
うーん。
はて。
何故だろうか・・・
よく分からないな。
誰かと勘違いされているのか?
俺は不思議に思いながらも、コーヒーブレイクした。
妙に視線をあびるので・・・
ついついハイペースでコーヒーを飲んでしまった。
おかわりを頼むと、女性定員がこれまた笑顔でやってきた。
何故そんなに笑顔か不思議だったので。
チラッと店員の顔を見ると・・・
あっ。
目があった。
彼女はポっと顔を赤くする。
手に持っていたコーヒーポットがガタガタ揺れる。
その結果。
ガシャンっ!
コーヒーがコップから漏れた。
女性定員の手元が狂ったのだ。
コーヒーポットからこぼれたコーヒー。
机の上がコーヒーまみれになった。
「す、すみませんぇぇええええん。お客様っ!お怪我はありませんか?すぐに机をお拭きいたしますっ!」
「なに、大丈夫ですよ。俺には一滴もかかっていませんから」
「すみません、すみません」
女性店員はフキンをもってきて机を拭いた。
何度も誤るので逆にこっちが悪い気までしてきた。
「本当に大丈夫ですよ」
俺は紙ナプキンで机を拭くと、ふいに女性定員と手が触れた。
ポーっとこちらをみる女性定員。
一瞬かたまったの後、頭を振って仕事に戻っていった。
うーん。
なんだろうな。
今日はよく視線を浴びる日だ。
俺はお店を後にする時、会計の場でクーポン券をもらった。
お店からのお詫びらしい。
それと、何故か女性店員のLINE番号が書かれた紙を貰ったのだった。
カスタマーサポートかな。




