和解
クルミと公園でまったりしてから。
俺は帰宅した。
ずっと椅子に座って話をしていたら・・・いつの間にか時間が経っていたのだ。
時が過ぎるのは早いものだ。
部屋で机に向かっていると・・・
ピコリンッ!
スマホがなった。
メッセージ音。
誰からかと思えば・・・華玲さんだ。
華玲:今日はごめんなさい。
何を?
っと聞かなくても分かるだろう。
自白薬を紅茶に忍ばせ、クルミに飲ませたことだ。
ただの悪ふざけだったかもしれないが。
でも。
まぁ、大事にはいたらなかった。
ならばっ。
女の子のしたこと。
ちょっとしたいたずら。
許してやるのが男というものだろう。
俺:気にしてないよ
華玲:・・・ほんとですか?
俺:本当。ほんのわるふざけだったんでしょ?
華玲:そうですわ
俺:ならよかった
華玲:不思議です
俺:?
華玲:もう少し怒ると思っていましたわ
俺:もうしないでほしい
華玲:・・・・・
俺:えっ?
華玲:ごきげんよう
俺:華玲さん?
俺:かーれいさん?
だめだ。
返事がない。
華玲さん的には会話が終わったのだろう。
それか寝たのかもしれない。
まぁ、いいか。
一応彼女も謝っていたようだし。
俺は調べ物にとりかかったのだった。
パソコンを見て、松茸栽培に適している場所を探す。
前に育てていた場所。
野良犬に追われた場所で育ててもいいのだが・・・いつ襲われるか分からないし。
野良犬たちに松茸を食べられるかもしれない。
できるのなら、安全な場所を求めていた。
となると・・・
どこか・・・
なるべく人がいる場所の方が良いかもしれない。
野生動物が現れる程の場所は・・・色々問題がある。
俺はネットで地図を見ながら・・・家周辺の場所を探し回った。
近くの森。
公園。
学校か・・・
俺は調査を続けたのだった。
でっ。
ある時ふいに思い出した。
そういえば・・・
松茸干してたんだった。
俺はべランダに移動して松茸を回収する。
見たところ・・・
上手くできたっぽい。
水分が抜けてしおれた松茸が出来上がっていた。
干し松茸を持って部屋に戻る。
松茸の効果を実験をすると。
どうやら通常状態の松茸とかわらないようだった。
つまり、1本の松茸でスキルを2回行使できる。
常備薬としては上出来だった。
◇
次の日。
学校に行くと、華玲さんはのほほんとした顔。
特に変化はなくいつも通り。
クルミもいつも通り。
特に華玲さんに対して悪い印象を持っていないようだ。
まぁ、俺が通学路で「華玲さんは謝っていたから許してほしい」とクルミに告げたからな。
クルミもクルミで、あまり気にしていないようだった。
「うん、あまり気にしてないというか・・・紅茶飲んだだけだし」っと。
俺は席に着き、鞄から色々机に入れていると。
「おっつー、隼人」
おっ。
タカシだ。
いつも元気だな。
「よう、朝からハイテンションだな」
「だってよー、隼人、聞いたぜ」
「何を?」
「昨日華玲さんの家いったんだろー。いいなぁー、俺も行きたかった」
えっ。
誰に聞いたの。
昨日の今日で。
随分早いな。
「どこ情報だ?」
「いやー、誰だったかな、普通にクラスの奴が話しているのを聞いた」
「そ、そうか・・・」
「あれ、デマだった?」
「いいや、行ったのは事実だ。クルミといっしょにバラ園を見に行ったんだ」
「バラ園かー。じゃあ俺はいいや」
途端に興味を失うタカシ。
バラ園に興味ある男子は少ないか・・・
「あっ、そういえばタカシ、キノコ好きか?」
「キノコって、竹のことキノコ論争か?」
「いや、お菓子の話じゃなくて・・・本物のキノコだ」
「え・・・隼人」
ささっと身を引くタカシ。
真顔で引かれる。
あれっ。
なんだか誤解されてないかな。
「隼人、まさかお前・・・そっち系なのか」
「ちっ、違う、ホモとかそういう話ではなく、食べるキノコは好きかと思って。
しいたけとか、松茸とか」
「あー、そっちね。普通」
普通かー。
まぁそうだよね。
キノコ好きなんてめったにいるわけないか。
俺もキノコが特別好きなわけじゃないし。
今までキノコ好きの奴に出会ったことすらない。
「でっ、何よー?」
「?」
「キノコがどしたん?」
「あぁ。キノコが生えている場所とか知らないかと思って。
俺、植物に興味があるんだ」
「そういえばそうだっけ」
「えっ!・・・・タカシ、なんで知ってるの?」
俺・・・
タカシに植物のこと話したっけ・・・
話したことないと思うけど・・・
「驚くなよー。朽木さんが前にいってたし。隼人、お前時々教室の花世話してるじゃん」
「見てたの?」
「まぁ、珍しいことしてるなーと」
うわぁー。
なんだか恥ずかしいな。
でも・・・
さすが目ざといタカシなだけあるな。
よく見てるからな、タカシは。
「そうだ、植物が好きなんだ」
「そ、そう・・・」
なんだか微妙な反応のタカシ。
多分、単純に植物に興味がないんだろう。
乗ってこない。
まぁ、男友達ならしょうがないか。
くぅ~。
誰か植物話ができる友達がほしいぜ。
キーン コーン カーン コーン
予鈴がなったのであった。