良い子
華玲家。
バラ園。
華玲風花は悔しがっていた。
チャンスを逃したことを悔いていた。
あと少しだった。
あと少しで朽木さんが綺麗になった秘密が聞けたのに・・・
すんでのとこで結城君に邪魔されてしまったのだ。
せっかく家に招待し、自白薬まで使ったのに。
まさか隼人君が薬に気づきなんて・・・
せっかく無味無臭のものを使ったというのに・・・
椅子に座って悔しがっていると・・・
足音が聞こえる。
音の方向を見ると・・・一人の壮年の男性。
袴を着た一人の紳士の姿。
華麗家の家長、華麗英輝の姿だ。
「まぁ、お爺様っ、お久しぶりですわ。家に戻られていたのですか」
「先程戻ってきたところだ」
「そうですか、イギリスはどうでした?」
「何、いつもと変わらん。霧の街よ」
「お爺様は旅人ですからね」
「ところで風花?」
「何ですか?」
「先ほど東洋ランが咲いている場所で一人の少年。風化と同じ高校の制服の少年を見たが、友達かい?」
「はい。私が家に招待したのです。彼と彼の彼女を」
「そうか・・・」
英輝は思案顔。
風花は疑問に思うのだった。
お爺様が人に関心を示されることは珍しい。
どんな有名人にも興味をもたれない。
これまで私の友人について質問されたこともなかったのに。
「彼の名はなんと申す?」
「結城隼人です。私と同じクラスになりますわ」
「そうか・・・結城隼人・・・ふふっ、覚えておこう。あの気配・・・何かの見間違いかも知れぬ」
そういうと・・・
風花のお爺様。
華玲英輝はバラ園を後にするのだった。
がっ。
バラ園を出る際に立ち止まり、振り返る。
英輝は風花を見、その後、机上の紅茶を見る。
自白薬が入った紅茶を。
わずかに目元を強めてから。
「風花、遊ぶのもいいが、程ほどにしなさい。分かっているね」
「はい。お爺様」
「それならいい。良い子でね」
英輝はバラ園を出て行ったのだった。
3章終了です。
次回4章、明日投稿です。




