バラの罠
東洋ランを眺めていると・・・
おやっ・・・
一つ元気がない花が・・・
俺は心の中で唱えた。
『ステータスオープン』
種族 :東洋ラン
状態 :花 損傷中
成長段階:2/5
HP :8/100
備考 :根の損傷
おやおや。
やはり傷ついているようだな。
俺は東洋ランに近づき根元を見る。
うーん。
土を掘り返してみると・・・
おやっ
やっぱり根が傷ついている。
根が土の中にある大きな石に押しつぶされていた。
どうやら無理な伸び方をしてしまったのか、雨の影響で石がずれたのだろう。
俺はレンガを取り除く。
これでよし。
自由に伸びるようになっただろう。
土の中に異物があると、旨く育たないことがあるからな。
種族 :東洋ラン
状態 :花 回復中
成長段階:2/5
HP :9/100
備考 :
うん。
ステータスを見るに、問題を解決できたようだ。
これでよし。
でも・・・
めちゃくちゃよわっているから。
目の前の東洋ラン。
ここに何度もくることはできないだろうから・・・
念のためスキルで成長させておこうか。
俺は心の中で祈った。
『東洋ランよー、元気になれ~』
『東洋ランよー、元気になれ~』
『東洋ランよー、元気になれ~』
・・・・・
10回ほどとなえると。
ニョキニョキ
見事元気になった東洋ラン。
ステータスを見ると。
種族 :東洋ラン
状態 :花 回復中
成長段階:2/5
HP :90/100
備考 :
急激にHPが回復している。
よーし。
これでよし。
今日は昼に松茸弁当をたべたからな。
疲労も空腹も感じない。
じゃあ。
もう十分に鑑賞したから戻ろうかな。
クルミと華玲さんがいる場所に。
そう思った瞬間。
んんっ!?
殺気?
どこからだ?
一瞬とんでもない圧力を感じた。
背筋がぞーっとさかだった。
俺は周りを見回したが・・・
誰もいない。
この場にいいるのは俺のみ。
気のせいだったのだろうか・・・
俺は疑問に思いながらも、バラ園に向かったのだった。
◇
その頃バラ園では・・・
クルミはバラティーを飲んでいた。
「朽木さん、そういえば、お聞きしたいことがったのですが、宜しいですか?」
「なに?いいよー」
「最近、随分色々変わったと思うのですが。髪質や肌など。何かしているのですか?」
「何もしてないよ。普通だよ」
「本当に何もしてないのですか?」
「うん、よく聞かれるんだけど・・・ほんとうに何もしてないから困っちゃう」
「そうですか・・・不思議なこともあるものですね」
「だね・・・ハハハ。この紅茶美味しいー」
「もういっぱいいかがですか?」
「もらうね」
クルミは紅茶を飲んだのだった。
なんだかとってもいい気分になっていた。
紅茶を飲むよ心が高揚してくるのだ。
気持ちよくなってくる。
「華玲さんはいいの?」
「大丈夫ですわ、私は喉が渇いておりませんので」
「そうなんだー」
クルミは紅茶を飲む。
どんどんいい気分になってくる。
とても楽しい気分に。
おかしいなー。
紅茶を飲んでいるだけなのに・・・
とってもハッピーな気分に。
目の前に華玲さんがとても親しい人に見えてくる。
これまであった壁がないように感じる。
まるで親友みたい。
トロンとゆるんだクルミの瞳。
華玲はそんな彼女に尋ねるのだった。
「朽木さん、もう一度聞きますね」
「うん、何でも言って」
「最近綺麗になりましたよね。何か秘密があるんじゃないですか?」
クルミは思った。
私が綺麗になったのは隼人のおかげ。
でも、これは秘密。誰にもいわないって約束した。
でも・・・
今はとっても良い気分。
面前の華玲さんも良い人に思える。
親友に見える。
親友のミカにも話したのだから・・・
華玲さんになら話してもいいと思った。
「これは秘密なんだけどね・・・」
「何ですか?」
「実は、隼人のおかげなんだ」
華玲はクルミの言葉を聞き、歓喜に震えたのだった。
ついに。
朽木さんが綺麗になった秘密を知れると思ったのだ。