キキョウの謎
俺は調理した松茸を部屋に用意し。
スキルを使う。
その検証を繰り返した結果。
重大な事が分かった。
松茸1本で、スキルを2回使えるようだ。
中々の成果だった。
俺は直ぐに松茸のネット出品を取り下げた。
このアイテム、松茸はかなり使えるのだ。
なるべくストックしておく必要がある。
それに・・・
スキルを使えば松茸を成長させ、松茸を作れるのだ。
少しでも松茸を備蓄しておけば、松茸が途切れる事はない。
できれば・・・
乾燥させるか何かして、常に常備しておきたいところだ。
毎回焼いて食べるのは大変だから。
俺は松茸の調理を方法を調べたのだった。
すると・・・
干し松茸にするのがいいようだ。
作り方は簡単。
『水につけて浄化→太陽光で乾燥させる』
これが大まかな作り方。
自宅でも簡単にできるようだ。
今日は遅いので出来ないが。
明日の朝一でやってみよう。
今夜は松茸を水につけて準備だ。
風呂場でバケツに水を汲み。
部屋の中においたバケツの中に、松茸をつけたのだった。
まずは3本程でテスト。
松茸はいっぱいあるので焦る事はない。
水つけが終わると・・・
今日は休む事にした。
松茸狩りに、野良犬との戦い。
中々ワンダフルな経験。
なんだか眠くなってきたのだ。
俺はベッドに入り寝ることにした。
◇
次の日。
俺は朝早くおきて松茸をベランダに干した。
一応鳥にも注意して、網戸の前に。
鳥に食べられたら元もこもない。
母さんと妹にも注意しといた。
勝手に食べないようにと。
学校に向う。
クルミからは昨日の夜連絡が来ていたので、久しぶりに一人で登校。
クルミは『松茸弁当を作るのに時間がかかる』ようだ。
教室につくと・・・
チラホラと人。
今日はいつもより早く来てしまったので、タカシも美波さんもいなかった。
なので。
俺は校内を回ることにした。
植物の身周りだ。
元気がない植物がないかチェックする。
校内、図書室、花壇と見回っていると・・・
プール脇の花壇で意外な人を発見した。
相手もこちらに気づいたようだ。
「結城君、ごきげんよう」
「華玲さん、おはよう」
朝一にもかかわらず、見事にセットされた縦ロールに俺は感心した。
「今日は早いですね」
「あぁ、特に理由は無いけど、華玲さんはここで・・・何を」
「何だと思います?」
うーん。
花壇の前だから・・・
「花の世話?」
「あたりですわ。私は園芸部に入っていますから」
あー。
そういえばそうだった。
聞いた事がある。
お嬢様の華玲さんにはお似合いだと思った。
花壇の花を見ると・・・
優しい印象の花・・・コスモス
細い幹にベル型の花・・・キキョウ
母の日で御馴染みの花・・・カーネーション
色とりどりの花が咲いている。
見たところうまく育てているようだ。
「元気な花たちだね」
「私が育てていますから」
前に華玲さんは、趣味は園芸といっていたが。
中々しっかりとやっているのかもしれない。
だが・・・
一つ元気がない花があるようだ。
枯れそうになっているキキョウがある。
俺の視線に気づいたのか・・・
「あの花はダメですね。上手く育ってくれませんの」
華玲さんは諦めているようだ。
だが・・・
そうなのか?
数々の花の状態を見てきた俺にとっては・・・
なんとかなるようにも思ったのだ。
俺は心の中で念じて見てみると・・・
『ステータスオープンッ!』
種族 :キキョウ
状態 :花、損傷中
成長段階:2/5
HP :3/50
備考 :根に傷有。直ちに対策する必要有。
うん?
あれっ。
損傷中表記。
それにステータスに備考なんかあったっけ。
なんか増えてる。
根に傷があるらしい。
ならばっ、調べてみようか。
元気のないキキョウの根元を穿り返す。
土を掻き分け根を確認する。
「な、何をやっているのですか?」
「大丈夫、任せて」
華玲さんの注意をしりぞけ、土を掘ると・・
あっ。
おうー。
根に鉛筆が刺さっていた。
どうやらこれが原因のようだ。
根を貫通している。
俺は鉛筆を引っこ抜き、ステータスを見ると。
種族 :キキョウ
状態 :花、回復中
成長段階:2/5
HP :3/50
備考 :無
おっ。
損傷中が消えた。
それに備考きれいさっぱり。
後はこのまま放置しておけば回復していくのだろう。
「華玲さん、これで大丈夫だよ、鉛筆が根にささっていたみたい」
「そうですか・・・。で、ですが、一体どうしてそんなことが分かったのですか?
土の中のことなど」
あっ。
うん。
よくよく考えてみれば変かも。
ステータス見たからだけど・・・
そうとはいえないので。
「よく見ると鉛筆が地面から出ていたよ。多分、風で土が飛ばされたんだと思う」
「そ、そうですか・・・おかしいですね。私がさっき見た時はそんなことなかったのですが」
「まぁ、キキョウの問題が分かってよかったよ」
「ですわ」
「そういえば結城君。うちのバラ園にきたいといっていましたね」
「うん」
「今日の放課後はどうですか?」
「いいの?今日で良いのかい?」
「はい。来てくれて構いません」
「ありがとう。では、伺わらせてもらおう」
「一緒に帰って目立ちたくありませんので、家のある駅で待ち合わせしましょう」
「了解、東洋ラン楽しみ」
「はい。ではっ、私は他の花壇の世話もありますので」
華玲さんは花壇を後にした。
俺は教室に戻った。
短編投稿しましたので、宜しければご覧下さい。
「君の名を呼ぶとき ~人を好きになる瞬間」
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又、同時連載中の以下2作ですが、次話投稿しました。
「もう、結構ですわ」
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