実験の成果
まだまだ俺の部屋。
クルミとまったりと過ごした。
二人でトランプをしたり、映画を見たり。
あまり体力を使わないことをした。
すると、外も暗くなった頃。
ピピッ!
アラームがなった。
「なんの音?」
「散歩の時間だ」
「散歩?」
「あぁ、実は近くの森に良いもの栽培してるんだ」
「栽培って、この部屋みたいにお花とか?」
「違うよ。もっと良いもの。クルミもいっしょにくるか」
「うん。いくいくー」
「じゃあ、いくか。もう暗いから、そのまま家に送るよ」
「よろしくねー」
俺とクルミは家を出た。
◇
暫く歩くいて近くの森に入る。
懐中電灯を持って夜の森に、レッツラゴー。
暗闇を進んでいく。
「うわぁー、なんだか暗くて怖いねー」
「大丈夫、大丈夫、何もでないよ」
「ねぇ、隼人、迷わないよねー」
「ばっちし、何度も来ているから大丈夫。目を瞑っても進めるさ」
「本当にお願いね。夜の森で迷子はいやだから」
「じゃあ、俺から離れるなよ。しっかりな」
「うん」
俺の服の袖を掴むクルミ。
夜の森を進んでいくと・・・
ちょっとした草原に着いた。
「ついた」
「ここ?」
「うん。ほらっ、アレだよ」
俺が懐中電灯で暗闇を照らすと・・・
そこには・・・
「あっ、ああああっ、あれ、あれっ、松茸さんだーっ!」
「その通り。俺は松茸を育てていたのさ」
「良い匂い、それにアレ、すっごく高いんでしょ。お高いんでしょう」
「高いもので一本7千ぐらいするな」
「うそー、ここに一杯生えてるよっ!数十本あるじゃんっ!これでいくらぐらいなの?」
「分からないけど、多分、50万とかそれぐらいじゃないかな」
「す、凄い・・・・隼人凄いっ。お金持ち~、私はお金持ちの彼女~」
「でも、ちょっとずるしているけどね」
「ずる~?」
「うん。松茸の栽培は難しいんだ。人工栽培は一度も成功していないし、環境に左右される。
本来ならこの森では松茸は育たないよ」
「どうやって・・・あっ、まさか」
「そう、俺のスキルを使ったんだ。試しに松茸の菌糸体、核をこの森に植えて。
その上でスキルで成長させてみたんだ。定期的に様子を身に来て栄養もあげていた」
「へぇー。色々やってたんだ」
「あぁ。細かい事が好きでね」
「ふーん」
「じゃあ、食べてみようか。実はここには七輪も隠してあるんだ」
俺は草むらの中からポリ袋を取り出す。
袋の中から七輪セットをとりだす。
薪に火をつけ、網をのせる。
俺は松茸を狩り。
鞄からペットボトルを取り出し、水で洗い、網の上に。
パチパチと火がたち。
松茸が焼けていく。
「良い匂いがするねー」
「あぁ。数日前も食べたけど・・・すっごい旨かった」
数分後。
「よーしできた。はい、クルミ、熱いから気をつけてね」
「うん」
「ふーふーしないとダメだよ」
「分かってるよ。子供じゃないんだからっ」
「ふぅー」「ふぅー」と息を吐いてから。
パクッ
松茸にくいつくクルミ。
「おいしいー」
頬がトロケそうな表情をする。
本当に美味しいのだろう。
目がキラキラ光っている。
俺は鞄からポン酢をとりだし。
おわんにいれる。
松茸にポン酢をつけて食べる。
「うん。旨い。凝縮されてるな」
「あっ、あたしもポン酢ほしいー」
「どうぞどうぞ」
パクッ
「こっちもいいねー」
「だな」
俺とクルミは夜の森で松茸を食べたのだった。
良い香り。
焼く事により旨み成分が凝縮された松茸は、最高に美味だった。
すると・・・
ワンワン ワンワン
んん?
何やら叫び声。
ワンワン ワンワン ワンワン
声が近づいてくる。
しかも複数の足音と叫び声。
なんだっ?
「は、隼人・・・・なんかガサガサいってるよ。前の草っ!」
た、確かに・・・
なんかとんでもなくガサガサしてる・・・
めっちゃ揺れてる。
俺はクルミを引き寄せて俺の背中に。
「クルミ、動くなっ!」
「うん」
俺はクルミをかばって、ガサガサ揺れる草を見る。
そこから出てきたのは・・・・
野良犬2匹。
よだれをたらした獰猛な犬達だった。