スマホ
俺の部屋。
スキルを使って疲れたので、ベッドで横になっていると・・・
クルミは部屋の中で花を観賞していた。
じーっと花を見て回っている。
色々な種類を育てているので、すぐに飽きる事はないだろう。
「どの花も元気いっぱいだね」
「あぁ、ちゃんと世話しているからな」
「スキルも使ってるの?」
「あまりスキルは使わない。疲れるから」
「だよね。一個一個してたら大変」
「その通り」
「私も何か部屋で育てよっかなー」
「毎日世話するのは大変だよ」
「世話しなくてもいいのもあるんでしょ」
「うん。サボテンとか」
「あのチクチクの奴かぁー、痛そう」
「別に触らなければ大丈夫だよ。試しに部屋に一個置いみれば」
「うん。この部屋みたいに緑豊かになるかも。
でも・・・隼人の部屋にくればいいかな。この部屋に来ると色々見れるから」
「だね」
「えいっ」
うぉおおっ!
ビックリした。
いきなりクルミがベッドに飛び込んで来た。
俺の横でゴロンする。
「私も休憩~」
「ほーう」
クルミの黒髪がわさーっとベッドに広がっている。
乱れた黒髪。
ベッドに横になりながら、クルミと手を繋ぐ。
「ねぇー隼人」
「なに?」
「最近ミカと仲いいよねー」
「そ、そうかなー」
「あっ、今口ごもったっ!」
「普通の仲だよ」
「うん。私もミカと隼人が仲が良いのは嬉しい」
「ならよかった」
「でもねー」
「?」
「ミカって最近もてるんだよ?奇麗になったから」
「だろうね。元々奇麗だったし」
「でもねー、告白断ってるの。とっても不思議」
「ほーう」
「なんでだと思う?」
「分からない」
「そう・・・・」
「・・・・うん」
スサッとベッドから起き上がるクルミ。
落ち着きがないというか、元気だ。
俺がスキルを使って疲労困憊状態だからかもしれないが。
とほほっ。
「はい、休憩終わり~」
「俺はまだ寝てる」
「じゃあ、スマホ見ちゃおー」
「ふへっ?」
クルミが俺のスマホをとった。
中身を見ようとしている。
画面をタッチしているが・・・
「あっ、鍵かかってるー!」
「ふふっ。こんなこともあろうかとね。設定しておいたんだ」
「あやしー。パスワード教えて」
「えっ、何で?」
「だって私彼女だよ。隠し事なんてないでしょ」
「・・・・・」
「見られて困るものがあるの?」
「ナイナイ」
俺はさっとスマホを取り返そうとするが。
クルミは腕を伸ばしてスマホをとられまいとする。
俺は後ろからクルミに抱きつく様な感じになる。
「きゃっ、えっちっ」
「早くかえせよー」
俺はさっと手を伸ばし。
ガシッとゲットっと思ったら。
スカッ
手が宙を切った。
ぐぬぬ。
中々くるみが抵抗する。
「隼人、なんでそんなにムキになるのー」
「別にいいだろー」
ワチャワチャベッドの上でもみ合う俺たち。
「きゃっ」
「うおっ」
二人してベッドでからまる。
服が乱れ、ちらりと見えるクルミのお腹。
ベッドの上で抱き合う。
至近距離で顔と顔を見合わせる。
お互いに見詰め合っていると・・・
「もう、お兄ちゃん、うるさいっ!」
ガツンッ
ドアを開けて中2の妹登場。
ポカンとした顔をして・・・
俺とクルミがベッドの上で抱き合っている姿を見ると。
「お母さんっ!お兄ちゃんが部屋で彼女とエッチなことしてるっ!」
大きな声で叫び。
ドタドタドタっと下に向って走り出した妹。
下からは。
『もう、ダメだっていったでしょ。まったくあの子は~』
っと、母の声も聞こえてきた。
俺とクルミは直ぐにぱっと離れて服を正す。
母が部屋に来た時には、俺とクルミは机をはさんで勉強している風。
母はニッコリと笑ってから。
「あらっ、朽木さん、ますますかわいくなったわね」
「はい。お母様、お久しぶりです」
礼儀正しく挨拶するクルミ。
母は笑顔で微笑みながら。
「変なことはしないようにね」
っと軽く注意してから。
「今日は扉、開けとくわねっ!」
といって。
下に戻っていった。
俺とクルミはお互いに顔を見合わせてから。
「なんだか誤解されちゃったね」
「だな」
冷めたお茶を飲んだのだった。
ゴクリ。
苦かった。