レベルアップ
休日の昼。
俺の部屋にクルミが来ていた。
時々彼女は俺の部屋に来るのだ。
クルミが俺の部屋を見回して一言。
「へぇー、いつ来ても奇麗にしてるね。それに花が一杯」
「大切に育てているからね」
クルミはひまわりの花びらをチョコチョコ触っていた。
かぶれなければ良いが・・・
「すぐにお茶を持ってくるから」
「うん」
俺が部屋を出て、お茶を持って戻ると。
クルミはベッドに腰掛けてスマホをいじっていた。
ひまわり鑑賞は終わったようだ。
「ねぇー隼人。私、ちょっと思ってたんだよねー?」
「何を?」
「分からないの?」
「うん」
「ヒントはここだよー、ここっ」
顔をクイクイ動かす彼女。
何をやっているのだろうか?
子犬のマネだろうか?
「鼻がムズムズするの?」
「おしいっ!」
「えっ、じゃあ、花粉症?」
「違うよー、鼻だよ鼻、私の鼻どうかな?」
むむっ。
妙な事を聞かれた。
これは異な事を。
「鼻が・・・花?」
「ほらっ、もうすこし高い方が良いかなって。ピーンって」
「いやー、今のままでも良いと思うけど」
「隼人、真剣に考えてよ。ほらっ、この人みたいな鼻がいいと思うの」
スマホでモデルさんを見せてくるクルミ。
画面に映っているモデルさんの顔は・・・整っている。
「確かに・・・いい鼻だ」
「でしょー、あたしもこれにしたいんだぁ。かわいいでしょ」
「だな」
「隼人ー、お願い」
おっと。
お願いきました。
ちょっと久しぶりにクルミにお願いされた。
ふぅー。
しょうがないな。
ならっ。
クルミの頼みならやりますか。
「分かった。ちょっと待っててね」
俺はお茶を机の上に置き。
クルミの鼻に触れる。
そして祈る。
『クルミの鼻よ、あの鼻の様になーれー』
『クルミの鼻よ、あの鼻の様になーれー』
『クルミの鼻よ、あの鼻の様になーれー』
・・・・・・
10回ほど唱えると。
ニョキニョキニョキ
クルミの鼻が伸びた。
僅かに変化したのだった。
「できたっ」
手鏡で鼻を見るクルミ。
「やったー。ありがとー隼人、大好きっ!」
ギュッと抱きしめられる。
俺は抱きしめられたまま、鞄の中から栄養食品とエネルギードリンクを取り出し。
ぐびっと飲んだ。
ゴクゴク ゴクゴク
スキルをつかった反動による、疲れと空腹を回復させる。
すると・・・
ピコンッ
【熟練度が一定条件に達しました。スキル「成長促進」が、スキル「成長促進LV2」になりました。】
あっ。
声が聞こえたのだった。
久しぶりに聞こえた声だった。
なんかスキルがLV2になったみたい。
ってか。
レベル制だったんだ。
このスキル。
ステータスオープンの件もあるから。
ゲームっぽい仕組みだとは思っていたから・・・
まぁ、おかしくはないか。
俺はクルミに抱きしめられながらも。
レベルアップしたのだった。