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 放課後。

 俺は校内を歩いていた。

 弱っている植物がないかチェックだ。

 頻繁に『ステータスオープン』と念じるのは面倒なので。

 だいたいは眼で見て怪しいものは判別するようにしている。

 かなり慣れてきたので、だいたい上手くあたるようになってきた。


 図書室にくると。

 室内には観葉植物、パキラがあった。

 映画館にあったものと同じ種類。


 この部屋にある物も弱っているようだ。

 葉の色が良くない。

 元気がないのだ。


 念のため心で念じる。


『ステータスオープン』


種族   :パキラ

状態   :成体

成長段階:3/5

HP    :9/60 

 

 やはりかー。

 デッドゾーン。

 HPの2割以下になっている。

 俺は鞄から霧吹きと液体肥料を取り出す。


 シュッシュッ

 霧吹きで水をかける。


 ブスッ

 液体肥料を刺しこむ。


 それと・・・・

 このパキラ。

 直射日光にあたって葉が痛んでいるようだ。

 日光は確かに大事だが、当てすぎてはいけない。

 このパキラの位置を変えなければいけないな。


 俺は図書委員の女の子に声をかける。


「君、いいかな。パキラが弱っている」

「パキラ?」


 おやおや。

 またこれか・・・

 彼女は室内の観葉植物の名前を把握していないようだ。

 映画館のスタッフもそうだったが・・・

 マイナー知識なのかもしれない。


「あそこにある環境植物のことだよ」

「あー、あの木みたいな奴ですか?」


「そうなんだ。一応アレでも植物でね。

 あのまま日光があたるところに置いておくと、強すぎる日光で葉がやられてしまう。

 明るい日陰に移した方が良い。具体的には・・・あそこかな」


 俺が指差した先を見て。


「・・・・はい」


 っとコクリと呟く彼女。


「俺が移動させても構わないかな。女の子には重いだろう」

「大丈夫ですよ。お願いします」


「そうかい。邪魔したね」




 俺はパキラの元に移動し、鉢植えを持つ。

 

 うっ・・・

 重いな。

 中々だ。

 さすがに・・・

 俺と同じぐらい身長のあるパキラは違う。

 このパキラ・・・180cmぐらいあるぞ。

 日本で売っているパキラでも20年ぐらい育てれば2m超えるって話だからな。

 このパキラは年代物かもしれない。

(因みに現地、熱帯アメリカにあるパキラは、7~15mに成長する立派な木である)




 うんしょ。

 うんしょ。

 ホイっとな。


 移動完了。

 パキラを明るい日陰に移動させた。

 

 ふぅー。

 これでよし。

 このパキラもスクスク育つだろう。

 



 俺が一息つき。

 パキラの葉を撫でていると・・・


「あらっ、結城君。とても珍しいことをしていますのね」


 声の方向を見ると・・・

 華玲さんだ。

 縦ロールを揺らしながら登場。


「なに、植物が困っていたからね」

「詳しいのですか?」


「少々心得があってね」

「そうですか・・・この部屋にあるパキラは大きいですからね」


 ほーう。

 一目見てパキラと分かるとは・・・

 中々の女子力。

 素晴らしい。 


「華玲さん、よく分かったね。これがパキラだと」

「私の趣味も園芸なのです。家にはバラ園がありますわ」


「そうなんだ」


 さすが華玲さん。

 お嬢様っぽいし、伊達に縦ロールというわけではないようだ。

 バラ園は普通の家では持てない。

 実は密かに俺も持ちたいと思っていたので調べたのだ。


「結城君は、家で何か育てているのですか?」

「色々だよ。普通の一軒家だからね。特にこれといったものはないかな」


「そうですか・・・植物に興味があるのでしたら、今度私の家に来ますか。

 珍しい花もありますよ。それに・・・調子の良くない花もありますが」

「調子の良くない花?」


「はい。原因が分からずに枯れてしまうものがあるのです。

 それと、東洋ランを知っていますか?」

「東洋ラン・・・あの珍しい花が、華玲さんの家に?」


「はい」

「そうかい」


 俺はとてつもなく見に行きたくなった。

 東洋ランは名前の響きもよいし、何より古風な見た目がたまらない。

 平安時代っぽいというか、古き日本を感じさせる花なのだ。

 一目実物を見ておきたかった。


「ではっ、近いうちに行っても良いかな」

「勿論ですわ。お待ちしています」



 ふふっ、楽しみだな。

 早く東洋ランを見てみたい。

 思わぬ幸運だ。



 俺は華玲さんと約束したのだった。


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