お嬢様系女子
3時限目の後。
先生に頼まれて、地理の授業で使った器具を地学準備室に運びこむ。
器具を棚に戻し終わると・・・
ガタンッ
扉が開いたので音の方向を見ると・・・
華玲さんがいた。
茶髪で縦ロールにまいた髪の毛が、フワリと揺れている。
タカシ曰く、元クラスで1番かわいかった女の子。
今は1位がクルミ、2位が美波さんで、3位が彼女。
華玲さんは扉を塞ぐ形でいるので・・・
俺は部屋から出られない。
人の壁だ。
「結城君」
「何かな?」
「最近、朽木さんと美波さん、とても奇麗になりましたよね?彼氏としては嬉しいですか?」
「そうかな・・・気のせいじゃないかな」
「気のせい・・・・ですか」
「あぁ」
「結城君。なんでお2人が変わったのか、お心当たりはありませんか?」
「何をないよ。多分、成長期なんじゃないかな」
「そうですか・・・成長期・・・成長期ですか・・・本気でいっているのですか?」
「あぁ、クルミは女の子だからね」
「随分な成長期だことっ。まるでアヒルが鶴になったようですわっ」
意味深に呟く華麗さん。
こちらを観察している彼女。
俺は妙な雰囲気を感じた。
不穏な空気を察知したので・・・
ささっと部屋から出ようと移動するが。
華玲さんが入り口から動く気配はない。
「華玲さん、そこ、空けてくれるかなっ?」
入り口を塞いでいる彼女に告げる。
だが、彼女は動かない。
「あのー、華玲さん、そこ通りたいんだけど?」
「そうですか。イヤっていいましたら、どうしますか?」
「んん?」
「力づくで通りますか?」
いや・・・
そんなことしないけど・・・
お譲系の華麗さんに睨まれると・・・ほんのりプレッシャー。
ひょええええー、美人の睨みは怖いよー。
縦ロールだし。
だが。
俺は精神をふりしぼって、キリっと告げる。
「他の出口から出るまでさっ」
そう。
地学準備室は地学室につながっている。
なので地学室からでればいい。
ササッ。
俺は素早く動いて地学室に移動。
そして、地学室の入り口から出ようとするが。
ガチャ ガチャ
ドアノブを回すが・・・
あっ。
あかない。
外から鍵がかかっていた。
ガーン。
俺は再び地学準備室に戻った。
戻ってくると。
ちょっと笑ってる華玲さん。
俺は気にせずキリっとして。
「そこ、どいてくれるかな?次の授業遅れちゃう」
「ならっ、出しなさい」
「んん?何を?」
「スマホ、持ってるんでしょ?」
「えっ、かつあげ?」
「違います。LINEを交換しましょう」
あっ、なんだ。
ビックリした。
そのためにここにいたのかもしれない。
「いいよ。はい」
「ありがとうございます」
俺は華玲さんとLINEを交換した。
それが終わると。
「結城君」
「はい」
「もし、朽木さんが奇麗になった理由を話したくなりましたら、いつでもいいですよ」
ファサーっと縦ロールをかきわけ。
華玲さんが道を空けた。
がっ。
キーン コーン カーン コン
次の時間の予鈴がなったのだった。
「あ、急がなきゃ。もう、結城君のせいで遅れてしまいますわ」
華玲さんは慌てて教室に向ったのだった。
さっと走って。
俺はあっけにとられて彼女の後姿を見送ったが。
すぐに気を取り直して教室に向った。
授業に遅れちゃうっ!