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植物系男子

観葉植物パキラは・・・

 成長が早く、真上に育つ事から住居が狭い日本でも大人気。

 初心者入門用にと、俺の部屋にもあるぐらいだ。

 小さな木みたいで大きく瑞々しい葉がトレードマーク。

 友達の家やイオンなど、大抵の場所でみることができる。


 『ステータスオープン』関連というか・・・

 植物のステータスが見えるようになってから。

 妙に植物知識がついてしまったのだ。

 ついつい街中の植物が気になってしまう。 


「んん?あれっ、どうしたの?隼人君。あの葉っぱに何かあるの?」

「違うよ、美波さん。あれは葉っぱではなく、『パキラ』だっ!」


「ぱ、パキラっ?ミントか何か?」

「熱帯アメリカ原産の観葉植物なんだ」


「へぇー。隼人君、詳しいんだぁ」

「あぁ。実は部屋でたくさんの植物を育てていてね。一言あるんだ」


「あたしもお花好き。でも意外、まさか隼人君が植物ねー」

「見えないかな?」


「うん。全然見えない」

「そ、そうなんだ・・・」


 ちょっとショック。

 草食男子ならぬ、植物男子を匂わせていたのに。

 なにげにクラスにある植物や、学校の花壇も定期的にチェックして世話してるんだけどね。

 『ステータスオープン』で時折状態を確認し、枯れないように栄養を補給している。

 素人には任せて置けないし、枯れていくのを黙って見てはいられないから。


 そして今もだ。

 俺は『パキラ』の異変を察知していた。

 わずかに元気が無いように思えるのだ。

 葉の色が薄い。

 俺の出番かな・・・


 心の中で唱える。


『ステータスオープンッ!』


種族   :パキラ

状態   :成体

成長段階:3/5

HP    :8/50 


 やはりか・・・

 パキラのHPは2割を切っている。

 デッドゾーンだ。

 これ以上放置すれば枯れるな。

 一大事だ。


 俺はすぐさま鞄の中を確認する。

 中には霧吹き、液体栄養、枝バサミなどが入っている。

 いつでも植物を救えるように常備しているのだ。

 

「美波、ちょっと行ってくる」

「ええっ、どこに?」


「パキラを救ってくるんだ。ここで待っていてくれ。列を守って欲しい」

「あっ、うん」


 俺は素早く移動し、映画館のスタッフに声をかける。


「すみません」

「何でしょうか?」


「あちらのパキラですが、少々様子が悪いです。あのままでは枯れますよ」

「パッ、パキラ?」


 んん?

 何の事か分かっていないようだ。

 やはりか・・・

 イオンでも同じ事があったな。

 スタッフなら店内の植物の名前ぐらい覚えていてもらいたいものだ。


「あちらの観葉植物のことです。俺は少々観葉植物に詳しい一般人でして。

 栄養を補給しても良いでしょうか?」

「あっ・・・はい、それは・・・」


「一刻をあらそうんですっ!今対応しなければ、パキラが手遅れになりますっ!」

「あっ、はい」


「ありがとうございます」


 スタッフの人の了承はとれた。

 俺はパキラの元に向。

 再びステータスを確認する。 


種族   :パキラ

状態   :成体

成長段階:3/10

HP    :8/50  


 うん。

 やはり至急対応が必要だな。

 葉を触りながら俺は対応方法を考える。 


 ・・・・・

 ・・・・・


 よしっ。

 栄養を補給すれば問題ないだろう。

 だがそれだけでは長続きしない。

 葉が多すぎるので少し葉を間引き、栄養を分散させる必要もある。

 

 俺は直ぐに行動に移る。


 シュッシュッ

 霧吹きで水をかける。


 ブサッ

 液体肥料を土に差し込む。


 バサッ バサッ

 いくつかの葉を切り取る。




 数分後。


種族   :パキラ

状態   :成体

成長段階:3/10

HP    :30/50 


 ふぅー。

 デッドゾーンの2割りは超えた。

 後は徐々に栄養を取り戻していくだろう。

 これでパキラは安全だ。

 今、一つの植物を救ったのだった。


 俺は満足し。

 美波さんが待つ列に戻った。




「やぁ、今戻ったよ。かわりない?」

「う・・・うん」


 微妙な返事。

 ふと周りを見ていると・・・

 何故か周りの客の注目を浴びているようだ。

 美波さんも小さくちぢこまっている。

 とても恥ずかしそうだ。


 近くからは。

 『なんだ、業者の方か』『園芸師か』『若いのに・・・』と囁かれている。

 どうやらいらぬ感心を引いてしまったようだな。


 美波さん恥ずかしそうにしながら。

 ポツリと告げた。


「隼人君、本当に植物好きなんだね」


 あぁ。

 俺は正真正銘の、植物系男子さ。

 心の中で返事をしたのだった。

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