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友達レベル

 放課後。

 待ち合わせ場所。

 学校から少しはなれた駅で待っていると。


「隼人君、お待たせー」

「やぁ、美波さん」


 美波さんが息を吐きながら到着。

 クルミと一緒に来ると言っていたが、彼女の姿はない。

 どうしたんだろう?


「あれっ、クルミは?」

「そうだ。クルミね、部活抜けられなかったみたい。だから、2人で見に行って欲しいって。

 私の分まで楽しんで欲しいって」


「そうか・・・仕方ないね」

「うん。じゃあ、映画館に行こっか」


「だな」


 俺と美波さんは映画館に向った。







 ザワザワ ザワザワ

 映画館はにぎわっていた。

 ちょうどヒットしている高校生向けの恋愛映画があり。

 多くの学生の姿がある。


「はいっ、美波さん、チュロス。蜂蜜いっぱいバージョン」

「ありがと~」


 俺は売店でジュースとチュロスを買ってきていた。

 美波さんに渡すと、子猫の様に少しづつ食べる彼女。

 チュロスは食べかすを出さずに食べるのが中々難しいのだが・・・彼女はそのあたりを心得ているようだ。

 服にパンくずが落ちていない。

 滑らかな口運びだ。


 そんな美波さんに感心しつつ、俺達はスクリーンの列に並んでいた。

 別に特に並ぶ必要はないかも知れないけど・・・

 皆が並んでいるのでなんとなく並ぶ。

 それに、少しでもスクリーンの中に入りたかったし。


 見回すと・・・

 俺たちの前後には学生カップルの姿。

 両方とも手を繋ぎ、甘いムードをただよわせている。

 前も後ろも甘甘だった。

 繋いだ手の指を動かしている。


 ちょっと気まづかったが。

 それは美波さんも同じようだ。


「あはははっ、なんだかアレだね」

「だね、恥ずかしい」


「・・・うん」


 苦笑いする美波さん。

 俺も同意だ。

 この場にいると・・・なんだろう。

 カップルらしいことをしなければといけない気までしてくる。

 俺と美波さんはただの友達同士なのに。

 なんだかお互いを意識してしまう。

 場の空気か。


 すると・・・

 僅かに触れるお互いの手。

 美波さんの手が俺の手に触れた。

 偶々だと思うが、むずがゆい。


 前のカップルが手を繋いだままイチャつきだしたから・・・

 さらにキマヅイ。

 お互いに背中に手を回してなにやら囁いている。


「ねぇ、隼人君。あたし達も・・・手、つなごっか?」

「?」

「ほらっ、皆つないでるし。別に変なじゃないよね。友達だし」


 確かに。

 美波さんのいう通りかもしれない。

 この雰囲気だと返って手を繋がない方が浮く。


「そうだね」


 俺は手を伸ばして美波さんの手をとった。

 小さくて柔らかい感触。

 しっとりとした冷たい手。

 だが手の冷たさとは対照的に、俺の心は暖かくなる。


「隼人君、手、大きいねぇ」

「女の子よりはね」


「それにあったかーい」

「かなっ」


 お互いに手を繋いでいると。

 何故かドキドキしてきた。

 心臓が高鳴ってきた。

 何も話さないと返って緊張するので話題を探す。


「そういえば、美波さんは部活よかったの?バレー部」

「あははっ。理由つけてサボちゃった」


「悪い子だね」

「でもー。隼人君もだよ。美術部の部活あったんでしょ」


「大丈夫、俺も適当な理由をつけて休んだから。同じ部活のタカシが上手く言ってくれる。

 それに・・・活発な部活じゃないからね」

「ふーん。タカシ君か~・・・2人とも仲良いよねー。とっても」


「あいつは面白い奴だからな。美波さんとクルミも仲良いでしょ?」

「うーん。でも、男の子とは違うよぉ」


 何か意味深な笑顔の美波さん。

 俺はあえてクルミとの仲には触れないようにした。

 あまり触れてほしくなさそうだったので。


「そうなんだ」

「ねぇ、隼人君。あたしのこと好き?」

「ふぇ?」


 ドキリと心が震えた。

 いきなり聞きかれたので、変な声まで出てしまった。

 

 美波さんがじーっとこちらを見ている。

 俺の答えを待っているようだが・・・彼女の表情は読めない。


 何を考えているかは分からない。

 だが、真面目な質問の様に思える。

 ならば・・・答えようか


「友達として好きだよ」

「だよねー。良かった」


「うんうん」

「あたし達仲良しだよねー」


「あぁ。友達レベル3ぐらいだな」

「何それ?高いのぉ?」


「かなり高い。女の子の中では一番」

「よかったー。あたし、どんどんレベルあげちゃおっかな」


「健闘を祈る」

「うわぁ、なんだかエラソー」


「すまない」

「いいよー」


 俺はちょっと気まづくなって視線を動かすと。

 目に入ってくるのはとある観葉植物。

 思わず興味を惹かれてしまう。


 あれは・・・・パキラ。

 

 ―――パキラだっ!


 観葉植物好きなら一目で分かる。

 熱帯アメリカ原産の植物。

 観葉植物業界では代表的な存在が目に入ったのだった。


皆さん、忘れていませんか。

久しぶりに『ステータス』登場です~


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