誘い
学校の授業中。
怠け者同盟活動中。
美波さんから同盟の副会長に任命された俺は。
せっせと授業を怠けながら会員行動をしていた。
つまり、LINEをしていた。
勿論、教師にはばれないよう慎重に。
前を抜いたまま、周辺視野で机の下のスマホ画面を見。
肘からしたの部分だけ動かしてスマホを操作する高等テクニック。
―――「ザ・サイレント・スマホコントロール」
を発動する。
俺:ガタッ ボキッ
美波:どうしたのぉ?
俺:シャーペンの芯が折れた・・・
美波:残念さん
俺:はぁー、HBしかない
美波:えっ。あたし全部Bだよぉ
俺:Bいいよねー、濃くて
美波:なんでHBしかないのぉ?
俺:うちの母さんが買ってくる。毎回BっていってもHBを
美波:あっ。うちのお母さんも同じだぁ~一緒だね
俺:おばさんはHB好きなんだよ
美波:国語の片山先生もHB使ってたね
俺:おばさん (笑)だからね
美波:ダメだよー。片山先生まだ20代って話だから
俺:ふふふっ、おばさんじゃんwww
美波:だめだって、気にすると思うから
俺:うん。やめとく。でもさっ
美波:なに?
俺:本当は美波もくそBBAって思ってるんでしょ?
美波:そんなことないよぉ
俺:俺チラッときいたよ。クラスの女子がクソBBAっていって楽しく笑ってるとこ
美波:・・・・・・人それぞれかなぁ
俺:あっ
美波:?
俺:なんでもない
美波:気になる~
俺:本当に何でもないから
美波:教えて教えてぇ~
俺:新しくいれたシャー芯が折れた
美波:ガーン
俺:ボキッ ボキッ
美波:また折れた?
俺:うん
俺はシャー芯をシャーペンにいれる。
さくさくと3本程いれておくが。
中々上手く入らずてこずる。
よしっ。
ちょっと時間かかったけど成功。
ちゃんと芯を補充できた。
暫く放置していたスマホを見ると・・・
美波:入った?
美波:どう?
美波:隼人君~
美波:はやはや隼人君~
美波:もしもーし
美波:・・・・・・
美波:寂しい・・・・泣いちゃう(グスン
あっ。
なんだかいっぱいLINEが飛んできていた。
メッセージがずらりと並んでる。
なんだか・・・やばしっ。
早く返信しないと。
俺:すまない。シャー芯いれてた。
美波:ふぇええええ~。寂しかったよぉー
俺:寂しがりやだな
美波:うん
俺:ナデナデ
美波:うれしいぃ~
俺:もっとナデナデ
美波:くぅうううう~
俺:もっともっとナデナデ
美波:ふはぁあああああ~
俺:もっともっともっとナデナデ
美波:ぐはっ
俺:?
美波:嬉しくて昇天しましたぁ~
俺:天国?ヘブン?
美波:隼人君、調子乗りすぎぃ~
俺:すまない
美波:いいよぉ~
俺:あっ
美波:?
俺:またシャー芯折れた
美波:今日は折れやすい日かもね
俺:だねっ。湿気高いし
美波:ジメジメするねぇー
俺:ちょっと芯補給するから落ちる
美波:うん。いってらっしゃ~い
俺:外出ドンっ!
俺はビシッとシャー芯を補給した。
なんだかんだLINEで毎日美波さんとやりとりしているので。
だいぶ仲良くなった感。
美波さんナチュラルに「ふぇえええ~」とかいっちゃてるしね。
最初はちょっとビックリしたけど・・・
かわいいからいいや。
かわいいは正義。
それに楽しいし。
美波さんとLINEしてるとテンション上がってくる。
充実の時間。
俺は高揚感に湧きながら。
まったりと授業を過ごしたのであった。
これまで退屈だった授業も、美波さんのおかげで随分楽しくなった。
◇
そんなある日。
授業中。
いつものようにこっそりLINEをしていると。
美波:ねぇ、隼人君。今日の放課後暇?
俺:うん
美波:よかったぁー
俺:?
美波:一緒に映画行こうよぉー
俺:2人で?
美波:うん
俺:・・・
俺はちょっと悩んだ。
俺にはクルミという彼女がいた。
さすがに美波さんと二人で映画に行くのはまずい気がした。
デートと勘違いされ、浮気認定されるかもしれない。
少し悩んでいると・・・
美波:嘘っ
俺:お、おうっ
美波:クルミと3人で行こ。クルミとは話してあるんだぁ
よかった。
それなら何も問題。
俺:いいよ
美波:嬉しい~
俺:楽しみだねー
美波:うんうん
俺:うん
美波:あっ、後っ
俺:なんぞえ?
美波:クルミは部活さぼって行くみたいだから、学校でこの話は無しね。
俺:お口にチャックします
美波:しーっね。内緒
俺:大丈夫。口は堅いほうだから
美波:誰にも言っちゃだめだよ。サボると先輩怒るみたいだから
俺:任せなさい
美波:あっ、なんかエラソー
俺:すまない会長
美波:そう、あたしが会長~
その後。
映画館や見る映画の話になった。
適当に話しながらも。
俺は久しぶりに行く映画館を楽しみにしていた。
何が起こるかも知らずに・・・